天皇制とヤフコメ

眞子さまの結婚の件、ヤフコメを見て、ゾッとしました。ご本人が複雑性PTSDになっているという報道があって、実際に痩せてガリガリになってしまったという状況なのに、ヤフコメを見ると、「吾輩は納得しとらん、こんな結婚は認めん、吾輩の税金に手をつけたら許さん」とか、酒に酔っ払ってややこしくなった昔の上司を思い出させるようなコメントのオンパレードです。感覚的には、「吾輩の聖なる天皇家に土をつけるな」という、まさに娘を婿に取られる父親の嫉妬心のような感じなのかな?と思いました。まぁ、、ネットいじめの究極系、集団リンチのようだと感じました。

おそらく、ヤフーに書き込んでいる方は、ある程度、思想に信念というか、偏りがある方々だったと思います。もし自分が眞子さま的な立場に立ってたら、、と想像すると恐ろしいです。個人的には佳子さまが心配でなりません。できれば、妹君も早急に結婚し、姉君の近くへ引越し、二家族でNYを拠点に暮らし、たまには旅行にいって羽を伸ばしてもらいたいものです。本来、天真爛漫な性格のご姉妹、という気もするので、たまにベガスにでもいって泥酔しながらポーカーで楽しんで頂きたいものです。

、、ということはどうでもいいのですが、ヤフコメが異常だ、というのは、あれを読めば、ほとんどの国民が感じていると思うのです。彼らは、まるで何かにとりつかれたかのように、執拗に小室さんを攻め立てるわけですよね。僕はそれがとても興味深いと思いました。

そもそも天皇制ってなんだ?というところから考え直すきっかけになりましたので、以下に思ったことをメモしておきます。(正確性は欠くと思いますので、気になったら詳しくは調べて頂ければ。。)

まず、天皇というのは、神武天皇の伝説から始まるわけですが、それは天照大神の物語から繋がっているわけですよね。これは、昔の方々が日本という国を作るために、一つのアイデンティティーとして「古事記」という「日本建国の創作ストーリー」をまとめたことが始まりです。このストーリーで日本をまとめる、というやり方は、実は非常にうまくいって、その証拠に、今でも伊勢神宮は完全に神格化されています。

庶民に強く天皇というものが根付いたのは、おそらく、伊藤博文が大日本帝国憲法を制定した後でしょう。憲法づくりとは、即ち、国家づくりであるのですが、国家づくりに必要なものは、「機軸」です。何を軸として国をまとめるか、ということです。高校の時、「機軸」がテストに出たのを覚えています。

伊藤らはドイツをはじめ欧米の憲法を学ぶわけですが、諸外国の「機軸」は基本的に「宗教」です。キリスト教ですね。では日本は何か?といったとき、おそらく伊藤らは非常に悩んだと思われますが、最終的に天皇を機軸にしよう、となったわけです。

そして明治維新が始まり、教育も大きく改革されました。最たるものは、教育勅語で、それがいわゆる「天皇崇拝」が一般庶民に広まった主要因の一つではないでしょうか。

少し私の想像が入りますが、江戸以前の天皇と明治~昭和初期の天皇というのは、後者の方が天皇の意味合いが非常に濃くなったと思われます。おそらく、日本史上、もっとも国民の心に天皇の意味付けが強くされたのがこの時期だと思います。

それもまた、非常にうまくいって、日本は天皇を中心に国がまとまります。そのイメージが湧くのは、よく戦争映画にある「天皇陛下万歳!」といって集団自害するようなシーンです。その感覚、今では信じられませんが、、当時はそうやって日本という国は一つにまとまっていたわけです。そして、実際に日露戦争、日中戦争に勝つ程に、非常に強かったわけです。伊藤博文の大日本帝国憲法はうまく行き過ぎたくらいに、日本を強くしたのではないでしょうか。

その後、紆余曲折を経て、敗戦を迎えます。ここが大きな、そして、急激な大転換になります。GHQは日本の既存の権力をどんどん潰します。陸海軍は当然廃止され、軍隊を持てなくなり、財閥も解体されます。しかし、様々な権力構造を壊したGHQは「天皇制」を残す決断をします。GHQの面々は、おそらく、非常にインテリジェンスに富み、国造りとは何か?ということをよくわかっている専門家だったのだと思います。その国の機軸、それを奪うと国としてまとまらない、と判断し、(おそらくリスクを取って)天皇家を残しました。

ただ、残された天皇家は、ほぼ全ての権力を失い、「象徴天皇」という、いわば、マスコット的な見世物としての役割だけを残すことになります。

とはいっても、昭和初期に中心だった世代の方は、まだまだ教育勅語で育った世代であり、根強く天皇を信奉していました。戦後、昭和の時代においては、象徴天皇というのは、これまたうまく機能していたと思います。

しかし、玉音放送以降、天皇はどんどん人間らしくなっていきます。昭和天皇でいえば、「昭和天皇独白録」という書物の発行が有名です。かの戦争の舞台裏を昭和天皇が赤裸々に語った記録を綴ったものです。昭和天皇の人間らしさがにじみ出た書籍です。近代史好きな方にはおすすめです。

さらに、時代は進み平成天皇となります。私の平成天皇への印象は「超まじめで爽やかな好青年が、そのまま年を重ねて天皇になった」という感じです。ニコニコと手をふって、人間らしいエピソードも沢山あり、素晴らしい人格者というイメージです。子供が見たら、「すごく優しそうなおじいちゃん」ですよね。もう完全に人間です。目の前にしても、気取らずに普通にお話できちゃいそうです。

そんな今の時代でも、GHQの作った「象徴天皇」という制度は変わらずあるので、私達は天皇について、実は多くを学びません。少なくとも、「忠誠心」を掻き立てるような崇拝教育は一切されません。

つまり、教育の現場では、天皇は象徴なのにアンタッチャブルな存在、普通の一般市民には、テレビでたまに映る偉い人、になってしまったのです。戦争世代であった私の祖父母の天皇に対する姿勢と、父母の姿勢は全く違います。そうなったのは、教育されてないからですよね。また、国家運営において、大事な機能を何一つ担ってないから、学ぶ必要性も薄いからでもあります。私達の子供の世代になると、その傾向はどんどん強くなっていくと思います。

明治~昭和初期に一気に高まった「天皇崇拝」の思想は、この70年あまりで急激に萎んだわけです。そして、この先もこのトレンドは変わらないと思います。

ただ、それってすごく矛盾を生むと思いませんか?「象徴」であるためには、国民がその重要性を理解しなければいけません。でも、敗戦の影響で、学校でも天皇家について多くを学ぶこともできない。語弊を恐れずいえば、日本人は「なんだかよくわからない一族を象徴として崇拝している」という状態にどんどん近づいているわけです。

この状況を打破するために、右翼的な発想で解決策を考えるなら、今の教育はGHQが一時的に作ったものなのだから、教育内容を立て直し、古事記から伝わる日本の天皇家への理解と畏敬の念を深めるべきだ、ということになるのかもしれません。明治の時代に思いを馳せれば、これが自然な方法かもしれません。

あるいは、左翼的にいえば、天皇制の廃止、ということありえるのかもしれません。そうすれば、必ず「日本人のアイデンティティとは何か?」という議論になりますが、究極のリベラル主義者であれば、日本人である前に地球人である、我々は世界で協力しあっている一つのパーティでしかない、ということを主張するかもしれません。(すみません、適当です。)


私は天皇の象徴性がどんどん薄れているというふうに捉えています。一方で、今回、眞子さまの結婚にイチャモン、(失礼、)ご意見を言われている層は、まだまだ「天皇家の象徴性」を維持している層なのかもしれません。故に小室さんに嫉妬心、(失礼、)嫌悪感を抱いているようにも映りました。一方で、その方々のことを狂っている、(失礼、)過激すぎる、と捉えている方々は、「天皇も普通の人間」と強く認識されている方々だと思います。

もちろん、こういう思想というのは、傾向の問題であって、どちらよりか?という話だと思いますが、将来に渡っては「天皇も普通の人間」「一般家庭の私達と同じく普通の幸せを掴んで欲しい」と思う思想に寄った人が増えて、「そもそも選挙権すらない天皇家って人権侵害されてるんじゃないの?」という声が大きくなってきそうです。

そう考えると、将来、天皇制の廃止、ということも現実味を帯びるのかもしれませんが、一方で最近の世の中は、右傾化していて、行き過ぎたリベラリズム/グローバリズムを修正するかのように、自国ファーストの考え方も台頭してきています。つまり、ナショナリズムなわけですが、日本におけるナショナリズムに、天皇は欠かせません。したがって、思いの外、今の時代においては、天皇の重要性が高まっているようにも思います。

まぁ、今はまだまだ、「戦後」から抜け出し切れておらず、天皇制は「アンタッチャブル」な認識の方が多いと思いますが、30年、60年と世代が変わっていくごとに、徐々にアンタッチャブル感がなくなってどこかのタイミングで時代に合わせて改革されるのでしょう。それは、右の方向なのか、左の方向なのか、私にはわかりませんが。。

ということで、、言いたかったことは以上です。そういえば、タイトルにヤフコメと書いてましたが、この議論でいえば、天皇家が神聖であるべきと強く考えて小室さんに不満を垂れる人が、保守系/明治系寄りにあたりますでしょうか。ま、実際は、ヤフコメは、普段のストレスの掃き溜め的に適当に書いている人も相当多そうですし、見ると気持ちが荒むので、見ないほうがよいと思いました。あんなものは見なくても、自分の人生には影響ありません。

あ、あと、教育勅語で思い出しましたが、高市早苗さんという方は幼少期に両親から教育勅語を聞かされて、子供の頃にそれを暗唱するまでになっていたそうですね。バッキバッキですね。非常に明治的だと思いました。別に教育勅語が悪いというわけではありませんが、まぁ、、時代的には遡っているよな、と感じた次第です。彼女が政権中央で、裏の支配者的に動いているような気もする岸田布陣なので、どんどん右傾化するかもしれませんね。まぁ、そういう時代なのかな、、と思います。




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