プロの現場での映像転送方法について
※記事を投稿した時点での情報です。商品が売り切れになっていたり、価格が変更されている可能性があります。購入される際はご注意ください。
皆さんこんにちは。前回に引き続き、テレビの現場での裏側というか、普通は知らない情報をお伝えできればと思います(かなりマニアックですが)
今回は映像転送方法について。と言っても「難しい」と思われるかもしれませんが、簡単に言うとHDMIとかの話です。
前置き
一般の方向けの規格
皆さんはデスクトップパソコンをお持ちの方なら、PC本体とディスプレイをどうやって接続していますか?
現代であれば、大半の方がHDMIケーブルかDisplayPortケーブルでしょう。まだD-Sub15pin(VGA)ケーブルやDVIケーブルも現役かもしれませんね。
これらの規格の問題点
「プロの現場でもこれは使われているんじゃないの?」と言われると、もちろん使われている部分もありますが、大半が後ほどご紹介する規格を使用しています。
HDMIやDisplayPortの問題点はズバリ、
長距離に弱い
と言うことです。
詳しい方ならご存知かもしれませんが、HDMIなどは10mを超えてくるとノイズが出やすくなり、プロの現場ではまともに使うことができません。
今では10mのケーブルも存在しますが、踏まれることもあったり、屋外だと電力が不安定だったり、コンディション的にいいケーブルでもどうしてもノイズが出てしまうことがあるのです。
特にHDMIケーブルは抜けやすい!
こんな問題もあります。
DisplayPortは爪がついており、コネクタのスイッチを押しながら出ないと抜けなくなっているものも多いです。
しかし、HDMIケーブルはそのまま抜けます。特に5mを超えるケーブルを使用する際はケーブル自体が太く重いので、機材を動かした拍子に抜けるなんてことも。
プロの現場においては映像転送ケーブルが抜けるなんて、それ以上のハプニングは無いくらいです。
じゃあVGAやDVIは?
確かにこの2つは古いですが、ネジがあり、DisplayPortよりも抜けなさそうです。
しかし、VGAに関しては音がついてこない上にアナログ信号のため、話になりません。
DVIに関しても古い規格というのもあり、4Kに対応できません。
プロの現場では・・・
では何が使われているの?
ズバリ!
SDI規格
です!
画像のようなものなのですが、ケーブルの構成としては
「BNCコネクタ」と呼ばれる端子と「同軸ケーブル」と呼ばれる線となっております。業界ではまとめてBNCケーブルって言ったりします。
同軸ケーブルは、実はご家庭にも存在しています。テレビのアンテナからテレビに接続されているケーブル。あれも同軸ケーブルです(厳密には抵抗値などが違いますが)。
SDIのメリット
SDIには以下のようなメリットがあります。
長距離に強い(最長約100m)
端子にネジがあり、抜けにくい
プロ向けの機材(カメラやモニターなど)ではSDIの方がメジャー
遅延が事実上ない
非圧縮
HDMIよりケーブルが細い
スポーツ中継などの長距離での映像転送が必須の現場には最適なんです。
そして、遅延がないというのもポイント。テレビの現場では、様々な箇所で遅延が起きますが、ケーブル自体は事実上無遅延のため、少しでも遅延を減らすことができます。
プロ向けの機材にはSDI端子があります
普段はそんなSDI端子なんて見かける機会は無いと思いますが、業務用ビデオカメラや業務用モニター(ディスプレイ)には必ずと言っていいほどSDI端子があります。それほど業界ではメジャーなんです。
少々汚いですが^^;
スポーツ中継などに用いられる中継車にも、SDI端子がついており、そこに全てのカメラを接続し、中継車の中にいる「ビデオエンジニア」と呼ばれる方が放送する映像を選びオンエアしています。
東京オリンピックなどの際は何十カメとカメラが存在します。すると画像のようなカオスな状況になります。でもご覧ください。ケーブルが細いので、非常に取り回しがいいんです。これ、映像だけでなく音声も含まれていますからね。すごいものです。
ケーブルの長さによって太さは変えるのですが、コンパクトにおさまっていますよね。
非圧縮の魅力
「非圧縮」ということにも大きなメリットが存在するんです。
圧縮しないということは、解凍しなくてよいということなんです。
カメラ側も圧縮する必要がなく、モニター側も解答する必要がないため、内部の処理も簡素になり、熱暴走対策にも一役買っています。
SDIいいでしょ?
SDIの魅力、わかっていただけたでしょうか?
言ってしまえばこのようなケーブルがあるということは技術的にもそう難しくなく、当然なことなのですが、そこを追求すると長くなるのでやめておきます。
とにかく、プロの現場ではSDIが使われているんです。
一般の方にも知ってもらいたい!
私は家庭用としても普及させたい
家庭用には対応機種が全くといいほど存在しませんが、それに私は疑問を感じています。
というのも、今までの話を聞いてデメリットもそう無いですし、家庭用にもSDI規格が存在していてもいいではないですか。
確かに、HDMIやDisplayPort、最近ではThunderboltが親しまれやすいのもわかりますが、その中にSDIがあってもいいと思うんですよね。
会社におすすめ!
家庭で使用されないとしても、会社におすすめです。
大きな会議や講演会。太いHDMIケーブルとか使っていませんか?
この記事を読んだのをきっかけに機材を一新してみませんか?
SDI(BNCケーブル)なら細く、安定して長距離に強いです。
汎用性に対応も可能
「そんな、講師がノートパソコンを持参するような講演会、会議ではSDI端子なんかに対応できないだろ」
というような声が聞こえてきそうです。
大丈夫です。そこだけ短いHDMIを用意しましょう。
短いHDMIなら、SDIに変換するまで安定して細いケーブルを使用できます。
HDMIからSDIにする変換器もある
演台に変換器を仕掛ければいいではないですか。
こんな商品があります。
小型で、演台の中に忍ばせやすいです。また、SDI出力端子が2つあり、演者が見るモニターと、お客さんが見るスクリーンに映すプロジェクターなどに2つ出力可能です(スプリッター機能もあるということ)。
すぐに対応機器を用意する資金がなくても・・・
すぐにSDIモニターやSDIプロジェクターなんて買えないよ。そう思った方もいらっしゃるかと思います。大丈夫です。ステップアップすればいいんです。
まずは配線だけSDIに一新してしまいましょう。それだけでもスッキリしますし、実際に機材を購入した際もすぐに接続できます。
変換器をまた使えばいいのです。
この変換器結構値落ちしにくいので、機材を新しくした際には売却することも可能かと思います。
変換を2回経由するのが不安かもしれませんが、構造上信号を対応させるだけの変換なので、よっぽど長距離を太いHDMIケーブル1本で接続するよりいいと思います。
私みたことあるんですよね。太いHDMIケーブルを使っている講演会で、ケーブルがパソコン側ではなくプロジェクター側が抜けた瞬間を。
変換器ご紹介いたします。
こちらも同じサイズ感です。吊り下げ式のプロジェクターであればプロジェクターの上に置けるサイズです。
SDI Loop Outという機能があり、ここからまたSDIを出力することも可能です。
機材一新したい方、ご覧ください
商品一覧
思い切って全てSDIにしてしまおうと思ったら、こちらをご覧ください!
講師用のノートパソコンへの接続用です。
2度目の登場ですが、この変換器は講師のノートパソコンに対応するために必要です。
SDIモニター商品ページ
SDIプロジェクター商品ページ(ご購入はお問い合わせください)
こちらは業務用製品でAmazonではないのですが、ご希望の画面サイズ・スペックをお選びいただきご購入ください。
重要なBNCケーブルです。ご希望の長さ、本数をお選びいただき、ご購入ください。
100m以上を接続するのであれば、100mごとにリピーターを接続することを推奨いたします(この製品は電源不要の「VP-634」2台までの電源供給可能)
配線図
これだけ商品リンクを貼られても必要数がよくわからないかと思いますので、配線例を作り、簡単な配線図を作りましたので掲載しておきます。ご参考までに。
ゲームには不向き
この規格の特徴
「遅延がない」と聞いて、ゲーマーの方は「最適じゃん!」と思ったかもしれません。
でもちょっと待ってください。
この規格はあくまでテレビ業務用です。そのため、60Hzを超える映像転送はできません。今回ご紹介したのは3Gという種類のSDIですが、この規格はフルHDの60Hzが上限です。
これだけでなく、12Gという種類のSDIも最近あるのですが、それは4Kに対応しただけで、60Hz以上は出すことができません。
120Hzや240Hzなど、高リフレッシュレート映像には対応しておりませんのでご注意ください。
実はこんな機能も・・・
タイムコードも転送可能
プロのカメラマンや、制作担当の方が気にされている「タイムコード」。
こちらも同時に転送が可能です。
しかし、現在はワイヤレスでタイムコードを同期してしまった方が管理が楽なので、さほど重要な機能ではありませんが。
まとめ
今回は「SDI」と呼ばれる規格についてご紹介いたしました。
ほぼメリットだけの規格ですね。
テレビ業界では常識の規格ですが、一般の方々にも知ってもらいたく、この記事を書きました。
他にもテレビ業界で疑問に思っている点などございましたら、ご質問いただければまた記事書きます!
ではでは、また次の機会に〜
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