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20240312【フィリピン】Matejowsky, T. (2012). Labor Migration, Overseas Remittances, and Local Outcomes in the Contemporary Philippines. In I. Sirkeci, J. H. Cohen, & D. Ratha (Eds.), Migration and Remittances during the Global Financial Crisis and Beyond

  • フィリピンほど、海外への契約労働者の派遣と海外送金の流入に経済的に深く依存している国はないだろう(DeParle 2010)。

  • このような市場調整は、国内経済の健全な発展を阻害し、フィリピンを世界市場の変動にさらし、高度な技術を持ち教育を受けたフィリピン人労働者が、より経済的に割の良い雇用機会を求めて海外に流出する「頭脳流出」の傾向を助長している。

  • 海外への労働力の継続的な流出は、経済的な意味合いだけでなく、フィリピン人の国民的アイデンティティの感覚を大きく左右するため、重要な社会的側面も持っている(Pedez 2002)。

  • 家庭レベルでは、海外契約労働は、労働者とその扶養家族の側にかなりの犠牲を強いる。家族離散、配偶者の貞操、受け入れ国内での希薄な社会的支援ネットワーク、請負業者、旅行代理店、外国人雇用主による搾取の可能性といった感情的な不安は、海外フィリピン人労働者が直面する苦難のほんの一部に過ぎない。さらに厄介なことに、親や配偶者、その他大切な家族の一員を失うことは、伝統的な家庭の安定や共同生活のパターンを大きく崩すことになる(Assis 1995)。

  • このような苦難にもかかわらず、ほとんどの海外フィリピン人労働者は、一度に数カ月から数年間留守にするにもかかわらず、精神的な存在とまではいかなくても、生計を支える者として、それぞれの家庭内で確実に影響力を維持している。

  • 要するに、この海外労働移動と所得送金のサイクルは、国内で十分な雇用機会を創出できない国家に対する現実的な対応にほかならない。フィリピン人が海外就労のリスクを喜んで引き受けるのは、海外就労が所得と上昇志向を生み出すための数少ない手段であり続けているからである。世界的な経済不況が世界市場に大打撃を与え続けている現在でも、フィリピンからの労働者派遣は衰えることなく続いている。ほとんどの海外フィリピン人労働者(OFW)世帯は、母国への送金額がますます増加傾向にあるため、危機の悪影響からほとんど免れている(DeParle 2010)。

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