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リング【Part1】


キャラクター

八高 踊やたか よう•••頭だけは頼りになる主人公。高校2年生
 職業:放浪の賢者 ランキング:圏外

樋浦 零ひうら れい•••攻略部長。高校2年生
 職業:パズルマスター ランキング:2位

霧崎 ペルきりさき ペル•••運動が得意。攻略部副部長。高校2年生
 職業:時計屋さん ランキング:圏外

小鳥遊 夜一たかなし やいち•••元いじめっ子。陽気。高校2年生
 職業:飛び降り人 ランキング:6位

小鳥遊 茜たかなし あかね•••口が悪く勝気。中学2年生
 職業:魔導士 ランキング:8位

片鈴 雷射かたすず らいしゃ•••小学4年生にして天才。
 職業:死刑執行人 ランキング:3位

木兎多 高陽つくた かや•••踊の親友。高校2年生
 職業:槍使い ランキング:圏外

宝来 翠智ほうらい すいち•••自称茜の保護者。三十七歳。
 職業:帰宅部 ランキング:1位



1呪いのゲームを攻略せよ!


「今、命が危ないゲームが大流行してるんだって。
それでみんな寮にこもりきりらしいよ」
「えー怖っ!」
下駄箱で隣のクラスの女子生徒が大声で話す内容に私の足が止まる。
「あ、八高さーん!八高さんのクラスは何人休んでる?」
急に話を振られた私はビクッとした。盗み聞きしていたのがバレた…?
「7人だけど…」よかった、バレてなかった。
「やっぱし、呪いだよ!この世の終わダァ!」
そういうと話し方が独特な彼女は大げさに腕を振る。
私はチラリと彼女のカバンに目をやった。
『世界の都市伝説』というタイトルが見える。
なんだ、ただのホラー好きみたい。
命が危ないゲームなんて、ね。
「命が危ないゲームか」私はまたまたビクッとする。
なんだ。私の親友木兎多 高陽がいつの間にか隣にいたんだ。
「ねえ、踊!ゲームといえば、さ。
樋浦さんのお父さん、ゲームの攻略会社の社長さんなんだって!」
「え、樋浦さんの?」
樋浦さんは学園の理事長の息子。イケメンなんだ。
そして、全校生のアイドルでもある。でも、すごく怖いらしい。
「そう。だから、こんなピンバッジ買ってみたんだけどサァ」
高陽がロゴらしきゲーム機型のピンバッジを見せる。
二次元かされたゲーム機の画面には『R.G』との文字。
「この文字、なに?」
「会社の名前がレイ・グラスって言うんだって。その略みたい」
なんだかとってもおしゃれな名前だ。
レイってっゼロのことなのかな?
「そ・れ・と!怖がりな踊に言っとくけど、さっきの人、岡瑠音オカルトっていう名前で、名前の通りオカルト好きなんだけど、噂じゃ、嘘つきらしいよ。だから、大丈夫だよ!」
「あ。そうなんだ」私はちょっとホッとする。
そんなゲームがあったら、怖いもん。でも、嘘をつくのはよくないよね。
それにしても、世の中には面白い名前の人がいるんだ。
このときは、『嘘つき』っていう言葉は私の中にそれほど響かなかった。

「「じゃあね」」
高陽と別れると自分の部屋に戻った。
ここ、寮性の私立輪縞学園わじまがくえんの寮は一人部屋なんだ!
窓からはきれいな中庭が見渡せるの。
ただ、今は寮の3階を工事しているみたいでとってもうるさいんだ…
だから、課題は食堂等でやるようにしてるんだ。
あれ?今日は工事の音が聞こえないような。
ラッキー。さっさと数学の宿題を終わらせよう。
とにかく、食堂のご飯もおいしいし、本当に最高の学園なんだ。


謎のゲーム


夕食を食べて帰ってきた私は、カタッと小さな音で振り返った。
いつの間にか、ベッドの上に小さな箱が置いてある。
「なに、これ?」
『高校2年生八高 踊様』と間違いなく箱には書いてある。
八高 踊は私の名前。
いったいどうして?
箱にはゲーム機らしきものが入っている。
私が取り出すと、勝手に電源がつく。
画面に文字が浮かび上がった、【リング】と。
「リング?なにこれ?」
電源はないのかな。ゲームといえば、まさか、あの噂の…
『このゲームに電源はありません』
いきなり機械から男性の声が流れた。
まるで私の心の中を見透かしたような言葉。
丁寧な言葉だけど、どこか威圧感がある。
「あなたは誰?」
『私は帝{ミカド}です。このゲームに参加してください、八高様』
「なっ…!」
私はゲーム機を壊そうと頭上に掲げる。
『ゲーム機は壊そうとすると爆発します。あなたに拒否権はありませんよ』
「え?」なぜ私の行動がわかるの?寮には私しかいないのに。
『私はあなたのそばにはいませんよ。ゲームをプレイしますか?』
「断ったら?」
『八高様の家族から二人目の犠牲が出ることになります』
「ハ、ハッタリ言わないでよ!」
『私がくだらない嘘をつくとでもお思いですか』
すると、ゲーム機の画面が切り替わった。
「代償を決定してください?」
ゲーム機には私にそっくりのアバターが表示されている。
【キャラネーム:八高 踊 家族:4人 血液型:A型 年齢:17歳…】
なに、これ…まるで私のことを全て知っているみたい。
いったいどうなっているんだろう。
私は試しに顔をクリックしてみた。
すると…
[代償:目]
[代償:鼻]
[代償:耳]と出てくる。
『目、鼻、耳、右手、左手、心臓、両足の中から代償を選択してください』
うーん、やっぱり利き手はダメだよね。
別に、このゲームのことを信じたわけではないけど……
私の利き手は左手だから……よし、右手にしよう!
『右手ですか。無難ですね』
「どういうこと?」
『心臓を選ぶとゲームオーバーになった場合、現実世界でも死ぬんです。
試しても構いません。ススメはしませんがね…』
そういうと帝の声はプツンと途切れてしまった。
「どうしよう…」
私が迷っているとランプが点滅した。
なんだろう?

【FROM:管理者チオ】
【TO:八高 踊】
踊さんもついに参加したんだね。
ゲーム内の死亡と現実世界とのリンクのことは帝から聞いた?
今日は戦わない方がいいよ。一通りヘルプを読んで明日に備えて。 END

管理者からメール?いったいどいうこと?
そもそも、管理者ってなんなの?
私の頭の中は疑問でいっぱいだ。

【FROM:八高 踊】
【TO:管理者チオ】
あなたは管理者?このゲーム、どうなっているんですか?
なぜ、私にメールを? END

私は返信を待つ間にヘルプを読んでみた。
どうやらリングはcpを100稼がないとアバターが死んでしまうみたい。
他にも無職は危ないなど色々なことが書いてあった。


ピコン♪
ここでランプが点滅。返事が来たはず。
って、あれ?

【FROM:八高 踊】
【TO:小野 魔由】
おねがいです!助けてください。
私は今、友達の代償を取り戻そうとしたんですが、やられてしまって。
cpも稼げていないし、もうすぐ次の復活代償の右手を失ってしまうです。
そうしたら、次の代償は目と心臓で…
おねがいです!助けてください。 END

管理者の人じゃない。
でも大変!魔由さんの代償はほとんど残っていない!
私は魔由さんのページに飛んでみた。
まだゲームを始めたばかりだけど、そんなことは言ってられない!
そして、足をクリック。すると、【妖狐】と敵の名前が。
私はもう一度クリック。今度は、【通常戦で対戦しますか。頭脳戦で対戦しますか】という問いかけが出てきた。頭脳戦の成功率は32%みたい。
失敗したら通常戦で先制攻撃を受ける。私は頭だけは自身がある。
通常戦ならレベルが低い私は負けるかもしれない。
私は頭脳戦をクリック。その瞬間私の意識は飛ばされた。

Bランクの敵と頭脳戦⁉︎


そこは、真っ暗な空間だった。
前方にあかりが見える。どうやら成功したみたい。
その場所だけ明かりに覆われていた。二つの椅子があり、一つは埋まっている。座っているのは尻尾がいくつもある狐だ。
『ヒャッヒャッ。早く座れ!対戦だ!』
私は言われるままに椅子に座る。
ヘルプはまだ少ししか読んでいない。大丈夫だろうか…
と、ここで、リングが点滅した。
【チオが観戦を希望しています。許可しますか?】
一人じゃ心細い。私は許可を選択。
すると。空間に背の高い男性が現れた。
男性は狼の仮面をかぶっている。
『踊さん!僕はあなたに戦闘はしないで、と言ったはずですよ』
もしかして、この人は私にメールをくれた管理者?
「すみません。代償がもう残ってない人がいて…」
『いえ、いいんです。相談してくれたら力になれたのに…
それにしても、頭脳戦を選んでいてよかった。
妖狐はBランクの敵。最低でもレベル100ないと倒すのが難しい』
レ、レベル100⁉︎
『通常戦なら一発でしょう』
さらりと言ったチオの言葉に冷や汗が浮かんでくる。
グラフィックは可愛い敵だけど、一発だなんて。
私はリングの画面を見る。
と、通信メールがとどいた。

【FROM:管理者チオ】
【TO:八高 踊】
敵に伝わるとまずいことは通信メールを使ってください。
頑張ってください!あなたなら勝てるはずです。
僕がサポートします。

通信メールってこんな使い方もできるんだ。
私は選択画面に目を落とす。
【あなたの攻撃ターンです。
 ・ためる・上段攻撃・下段攻撃・クリーン攻撃・会話】
何を選べばいいだろう?クリーン攻撃というのがあるけど…
私は敵の手元を観察。敵は考えるそぶりを見せた後、コマンドを決定。
あの動きは回避系のコマンドを選んでいるはず。なら…
スクリーンに結果が表示された。
敵が結果を見て驚く。
そう、私は会話の脅すを選んだ。
ヘルプに書いてあったのだけど、恐怖値というのがあって、
私は45、相手は60らしい。会話は脅すと睨むの2種類。
脅すは成功率は低いけど、一気に恐怖値を上げられるんだ。
ちなみに、相手の恐怖値を100にすると使い魔にできて、
反対に100にされると1ターン行動できなくなる。
そして、私の脅すは成功。妖狐の恐怖値が100になった。
次は私の防御ターン。
選択肢は【・ためる・ジャンプ・しゃがむ・クリーン防御】
さっきは選ばなかったけど、クリーン攻撃と防御が気になる。
「あの、ク…」
『ク?』
まずい!妖狐にばれてしまう!
「クルミ!」
『え?』
「クルミクルミクルミ!」
『あの…』
「クルミクルミクルミクルミっ!」ちょっと、苦し紛れになってしまった。
私は急いでメールを打つ。わぁ、顔が真っ赤だ。
すぐに返事は返ってきた。

【FROM:八高 踊】
【TO:チオ】
説明するね。
クリーン攻撃はためる(クリーンゲージ)を3回することによって使える。
これは残りの体力に関わらず、相手を倒すことができる必殺技だよ。
クリーン攻撃はクリーン防御で防ぐ。防ぐと、ゲージが初期化されるんだ。

なるほど。地道に行くか一気に行くかということね。
チオがクルミのことについて何も触れていなかったので私はホッとする。
あんなに言ったら恥ずかしいもん!
カチッと音がして私は顔を上げた。どうやら、コマンドを決定したみたい。
『ヒャッ。早く決めな』
「なるほどね。あなたの決めたコマンドがわかったわ。下段攻撃ね!」
『なっ⁉︎』妖狐は動揺する。もちろんこれはハッタリ。
でも、妖狐は反応している。ということは私のヤマ勘が当たったんだ。
私はジャンプを選択。妖狐は悔しそうに歯軋りした。
裏をかいたつもりだったんだろう。
『なんでわかったんだ!』
「あなたが単純で弱いからじゃない?ほら、雑魚ほどよく喋るし」
『おのれ…!』
へぇ。なるほど。この敵そんなに知能はない。
私は冷静に相手の言葉を受け止める。この勝負、大丈夫だ。
冷静さを欠いた方が負ける、それが戦いのセオリーなのに!
次は私の攻撃ターン。ここは布石を作っておきたい。
私は上段攻撃を選択。
「私はコマンドを決めたわ」
『くっ…』私は余裕たっぷりな表情をして見せた。
敵もコマンドを決める。
おそらく、敵は私が絶対に読まれないコマンドを選択したと思ったはず。
余裕があるということは絶対にマイナスにならない。
イコールためる。だから、敵もためるをしてくるはずだ。
戦闘結果がオープンされた。
『な、なにぃ?』予想通り、敵はためるを選択。
でも、私は上段攻撃。妖狐の体力が2ポイントになった。
『くぅぅ。騙したな!』
「あなたが面白いように何度も引っかかってくれるだけよ』
『お前、生意気。化かす!』
あ、殺すじゃなくて化かすなんだ…やっぱ、狐だね。
次は私の防御ターンだ。まだ体力は3ポイントある。
ここは賭けに出てみよう。
私はチオにメールを送る。すぐに返事が返ってきた。
なるほど。いける!
敵は必ず攻撃をしてくる。きっと焦っているんだ。
だから上段攻撃か下段攻撃かはあまり深く考えないと思うんだ。
本来ならしゃがむを出すんだけど。
敵に徹底的にダメージを与えたい。だから…!私はコマンドを選択。
妖狐はスクリーンの結果を見て驚いた。それは私も同じ。
敵は下段攻撃だったんだ。しゃがむを選んでいたら危なかった。
そして、私が選んだのはカウンター。
チオが教えてくれたんだけど、カウンターには『相打ち』『成功』『失敗』があって、相手にも自分にもダメージを与える確率系の防御みたい。
お願い!成功か相打ちが出て!
私はスクリーンを見る。
やった!運命の女神は私に微笑んでくれたみたい。
結果は相打ち。敵の体力は1。
これでクリーン攻撃でも通常攻撃でも倒せる。
これまでの流れで分かったけど、妖狐はすごく単細胞ってわけじゃない。
だから、今私が使った確率のカウンターは使わないと思う。
それに最初にクリーン攻撃も視野に入れないといけないから。
敵は考えた後コマンドを決定した。私も決定。
_やった!
敵はしゃがむを選択していた。そして私が選んだのはクリーン攻撃。
狐だし裏をかいてくると思ったんだ。若干理由は無茶苦茶だけど。
『すごいよ!踊さん!いきなりBランクの敵に勝つなんて』
「ありがとうございます。でも、すごく怖かったです」
『あ、そうだ。代償返してあげたら?もう直ぐ0時だから』
「はい。あの…」
『ねえ、おいらのこと使い魔にしてくれるのか?どうなんだ』
急に妖狐が喋り出した。
「使い魔ってなんですか?」
『恐怖値を100にした敵は名前を付けると使い魔にして命令できるんだ』
「使い魔にしなければどうなるの?」
『たぶん、おいらはデータ上の生き物だから消滅すると思う』
し、消滅?
「じゃあ、使い魔にするわ。えっと名前は何がいいかな?ヨウくんは?」
妖狐だし。ちょっと、ネーミングセンスが雑なのは許してほしい。
『無理。なんかダサい』だ、ダサい…
「えーっと、じゃあ希望の名前とかある?」
『篠田の天才餅好き忍び狐様』
「え?篠田の…」
『天才餅好き忍び狐様』
長すぎる!
「私が決めるわ。餅が好きなのね。じゃあ、モチツネとかどう?」
『なんかかっこいいぞ!それがいい!呼んでくれなきゃ化かすからな』
はは。化かすんだ…
「あの…」
『僕のことはチオって呼んでくれないかな?
気になってると思うけどメールを送ったのは新規参加者の対応が役目だから。まあ、他にも理由はあるんだけど、今は言えない。ごめんね』
そういうとチオはゲーム機を操作して出ていった。
一気にレベルが25も上がっている。強敵を倒したんだ。
cp 820も手に入れられた。通り名が変わったと画面に表示が出る。
通り名なんてあるんだ。注目すべき新人…なんか変な名前。
私も目を開けるコマンドを選択。
リングを見るとメールが届いていた。

【FROM:管理者チオ】
【TO:八高 踊】
僕のことは呼び捨てでいいよ。もう、今日は戦闘しないで。
明日、踊さんをリング攻略部が迎えに行くはずだから。
一応、cp200を送っておくね。
P.S 僕が誰だかわからない?まあ、昔のことだものね。
 《添付:cp 200》 END

_昔のこと?チオ?誰だろう。会ったことがあるのかな?
それに理由は言えないだなんて…
でも、cp 200を送ってくれたチオはすごく親切。管理者とは思えない。
それにしても、攻略部ってなんだろう?なんだか預言者みたい。

疑問を抱きつつ、メールを読み終わると、
ゲーム機に『今日のオート死亡システムの解除は終わりました』と表示が。
これがヘルプにあった最低ノルマに違いない。
私は魔由さんにcp 100と足の復活代償を送る。
と、私は気がついた。ホーム画面に『モチツネの部屋』というコマンドが。
早速選択してみた。
すると質素な部屋とモチツネのアバターが表示された。か、かわいいっ!
頭脳戦の時のアバターがさらに縮小されたみたい。
『なあ、踊!おいらに命令をくれ!』
命令?なんだろう。右下に命令のコマンドがある。
えーっと、なになに。って、色々あるんだ。
私は命を大事にと、ゆっくり休めを選択。
『なんでおいらのことそんなに大事にするんだ?』
「え?だって消滅したら悲しいもの」
『ふーん、変なの。データ上のキャラクターなのにな。
たくさんcp稼いでやるから、餅買っといてくれよな!』
モチツネが部屋を出て行ったので私はゲーム機からログアウトする。
すると、ゲーム機はリングの形状に形を変えた。そして私の左腕にはまる。
私は直感する。もう逃げられないんだ。

めっちゃくちゃなかがき

どうも!
みたまです。

みなさん、新作ですよー!楽しんでいただけましたか(^ー^)
久しぶりに日記からじゃなくて完全新作を書きました。
ちょっと、全部一気に公開しちゃうとチェックが多くて追いつかないので、
毎日2〜3章ぐらい更新していこうと思います。
ぜひ読んでください!
まだ2巻半しか書けていないので頑張ります……(トホホ)
次回はリング攻略部が登場!お楽しみに!

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