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親知らずを上下4本まとめて抜いた話【2】~人生初の入院と全身麻酔~

お待たせしましたーーーー!
年内ギリギリ滑り込み。

ここからがいよいよ本題。
生命保険会社に提出した診断書のコピーと、若かりし頃に記憶術講座で培った記憶を基に書き綴っていきます。
ちょっとえぐい表現が出てきますので、ご注意ください。
それではどうぞ✋


手術前の検査をクリアした私は、抜歯前日の2005年12月5日。
内科病棟の4人部屋に入院しました。

その病院は建て替えからそれほど年数が経っていなかったため、何もかもが新しくとても快適でした。
体調が悪いわけでもないので、半ば旅行気分。
深夜、頻繁に聞こえてくる『エリーゼのために』のナースコールで時々目を覚ましたものの、抜歯への緊張で眠れないということはありませんでした。

◆抜歯当日◆

翌朝。
手術(抜歯)の付き添いのため、会社を休んでくれた彼氏のKさん(現在の旦那さん)が病室に来てくれ、1時間ほど一緒に過ごしました。

「待ってる間、これでも読んでて!」
「『新撰組血風録』?」
土方さんのかっこよさを力説し、Kさんに文庫本を手渡すと、廊下の方から足音が近づいてきました。

「じゅっぴーさん」

そう呼ばれた直後――
シャッ!とカーテンが開き、看護師さんの後ろにストレッチャーが見えました。

(ああ、ついにこの時が来たか!)

心拍数が急激に上昇。
能面状態になった私に看護師さんが淡々と手術室に入ってから、病室に戻ってくるまでの説明を始めました。

そしてそのままストレッチャーに乗せられるのかと思っていると、待っていたのは筋肉注射💉!!!!!
手術前の不安を和らげるそうですが、心の準備もないまま右腕にブスリと打たれ悶絶。
薬液が痛いのか、深く刺さった針が痛いのか、それとも両方なのか。
「痛い!いたたたた……」と
年甲斐もなく声を上げてしまったことを覚えています。
しかしこの注射がよく効いてくれたようで、次第に頭はぼんやり。
ストレッチャーに乗り手術室に移動する頃には、恐怖心は消えていました。

◆手術室◆

エレベーターでオペ室に移動し、ストレッチャーから手術台へ。
手術台に乗るのは、実は三度目。
一度目と二度目の話はまた別の記事に上げることにして話を戻します。

ドクターXの手術室を思い浮かべてください。
大きなライトの下、まな板の鯉状態で横たわっていると、私に4本同時の抜歯を勧めた口腔外科の先生(以降ドクターA)が「大丈夫だからね」と優しく声をかけてくれました。
この先生なら安心してお任せできる……なんて思っていると……
看護師さんが私の口に酸素マスクを被せ、数を数えるように言いました。

「いち、に……」

それ以上は覚えていません。
私の意識は麻酔によって途絶れたのです。

◆想像を絶する痛み◆

目が覚めたのは病室でした。
身体を起こそうとしたものの、頭が重くて思うように動けません。
視界にKさんが入り、手術が終わったことを理解した次の瞬間――
猛烈な痛みが口の周りと喉を襲いました。
痛いところが何か所かあると、一番痛いところしか感じないと何かの記事で読んだことがありますが、あれは絶対嘘だと思います!!!

喉に関しては、麻酔の人工呼吸器で炎症が起きたのかもしれませんが、扁桃腺が思いっきり腫れた時と同じ感覚でつばを飲み込むたびに痛みが襲ってきました。

しかも、口がほとんど開かない!
痛くてしゃべれない!
口内は血の味がして、喉はカラカラ。

仕方ないので日記を書こうと持ってきていたメモ帳をKさんに取ってもらい、筆談することにしました。

「痛い!痛すぎる!!!!」

そうこうしているうちに看護師さんが来て「今日は水が飲めないのでうがいだけしてください」と言われ、Kさんが歯磨き用のコップに水を入れてくれました。

ガブ飲みしたい気分をこらえ、どうにかうがいを試みましたが……
数ミリ口に含んだだけで水がしみるのと口が開かないのWパンチ。

泣きそうになっているところへ、主治医のドクターAが到着。

「抜歯は成功しましたよ。口は今開かないと思うけど、まずは2センチ開けるようになるまで頑張りましょう」

ひーぃ、2センチが目標!?
本当に予定通り10日で退院できるの?

抜歯成功の吉報と共に不安が渦巻き、親知らずを抜いた上下左右から痛みがガンガン同時に襲いかかってきます。
口の中から両頬と顎を思いっきりグリグリされているような…
痛いし苦しいし、油断すれば泣きそうになってしまう。
顔を取り換えられるアンパンマンがどれほど羨ましかったことか。

ジャムおじさん!私の顔を作ってくれー!

そんな願いはもちろん届かず、痛みとの格闘が続きます。
夕飯に出た粒のないおかゆは、薬の味。
おかずも流動食でしたが、これまた薬の味。
ジンジン焼け付く痛みに1日4回のロキソニンは気休めにしかならず……
貸してもらったアイスノンを左右の頬に交互に当てました。

Kさんの回想では、手術時間は1時間ほど。
新撰組を読む暇はなく――
意識朦朧、うめき声を上げる私を手術室からストレッチャーで運んできた看護師さんに「血の混じったつばが口の端からこぼれ続けるので、これに入れてください」と病院によくある洗面器のようなものを渡されたそうです。

想像するだけで恐ろしい。
私が逆の立場ならできただろうか。
まだ付き合っている段階で過酷な任務を遂行してくれた、現夫のKさん本当にありがとう。

このようにして抜歯1日目は終了しましたが、本格的に腫れるのは翌日。
ざっとこんな感じになります。


バカボンのパパやカネ夫くんのように頬から顎まで変形……
今じゃ笑い話ですし、適当なイラストがないのでこの絵を書きましたが、抜歯後に初めて鏡を見た時は…それはもうどん底だったのでした。

【3】へ続く。

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