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ポエトリー

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2016年7月の記事一覧

声(仮)

言葉を音にして放つとき

泣きそうになるような

吐きそうになるような

あの感じを説明できない

この山を越えて

見えてくる景色が信じられるような

スウィート&テンダー

読んだ小説に出てきた

「あまやかな」という言葉が気に入った

身に覚えがあった

それは桜色

それは花柄

それは線香花火

背中の肉を寄せて入れる、補正下着のあの感覚

先端の位置が上がる

「ハタチですか?」

とは授乳中のYのパンチライン

ないものもあるようになる

やがてAがBに、BがCになることもあるらしい

形状記憶かなにかか

昔、おっぱいが大きくなるサプリの通信販売の電話番バ

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梅雨明け(七月)

六月に死んだ友に

手向ける花がない

花屋に並ぶ香りのない花たちを横目に

静かな商店街を歩いた

あの日、バスの中からみた焼き鳥屋の屋号は「天国」

根回しだけはいい神様

乾かない涙

一瞬で凝固して

ガラスの中に閉じ込められた

死体は飾り物めいて見えた

よく冷やされた白い建物を出ると

湿った風がからだを包んだ

線路沿いに、紫陽花

人の死の理由について考えることをやめたら

野に

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