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新年スタートにあたって

あけましておめでとうございます(*'ω'*)

ここ最近は、新年の抱負なるものを抱いた記憶がないわたしですが、2022年はちょっとチャレンジもする年にしたいなぁと思い、吉本ばななさんの文章にふれてみます。
中高生向けなのかもしれませんが、「気持ちがぶれてしまったときや自分でも自分が信じられないほどに落ち込んでしまったとき、この本を手にとりしばらく読み返せばいつのまにか自分の内面が調律できる、もとの軸に戻れる。そういうお守りみたいな本」ということで、たくさんの励ましとちょっとの戒めを受けとってます…!


「将来」のことを考えるということは、○○になりたいという「夢」のことだと思う人は多いでしょう。
 たとえば、自分は人より少しかわいいし、少し歌も上手うまいからアイドルになりたい、なれるんじゃないか……とか。
 もちろん可能性はゼロではないけれど、アイドルになるような人は、小さい時から人を集めて歌っていたり、かわいくて注目されたりしています。気がついた時にはとっくに道ができていると思うんです。
 夢を持つということは素敵なことですが、何もないところに道を作るのは大変なことです。そういう意味で、自分の身の回りや興味の範疇はんちゅうにないものを将来像として願っていても、あまり現実的ではないように思います。それに、今まで自分が好きだったことやものを全部否定することにもなってしまいます。
 私は基本的に、それはあまりしてほしくないと思っています。これまで自分が積み上げてきたものが、今の自分を作っているので、それを生かすということにもっと目を向けてほしいです。
 なぜ自分はここに生まれたのかとか、どうして自分はこれが好きなのかとか、自分の身の回りから考えていくと、将来というのは、そんなにうすぼんやりしたものではなくなってくるように思います。
 たとえば、身近なところに将来の職業があるという意味で、親の仕事は継ぎやすいということはあると思います。もともとあるものに関して、人は意外とありがたみを感じないものですが、大変さも含めて雰囲気を知っていることは強みです。
 自分の好きなことを見つけたり、知ったりすることは、とても大切なことです。どこまで好みを貫くかも自分で決めていくことだから大事です。
 将来やりたいことを探すためには時間が必要です。自分の向き不向きを見極めていくのはいくら早くてもいいんです。夢と自分との距離が開きすぎていると難しいと思うし、それでも切りひらける人はいるけど大変です。
 何事も一日にしてならず、ですから。少なくとも今まで積み上げてきたものがどんな人にもあって、10歳には10歳の、15歳には15歳の積み重ねがあるでしょう。それを親にお願いしてでも見てもらってほしいし、自分でも見つめてほしいです。それだけでも相当なことがわかると思います。もうその人の得意なことは10歳でも明らかに出現していますから。
 そうやって、小学校、中学校、高校と将来のことが、だんだんとリアルになっていくのが理想的な形なのかなと思います。
 本当に自分にぴったりの仕事というのも、探していけば必ずみつかります。
 
 ある程度の年齢になると人間は得意なことに逃げるようになるんです。そうすると得意なことがだめになっていきます。上手くいかないことを得意なことで解消するというサイクルに陥ってしまうと、得意なことが得意でなくなっていくし、楽しくなくなってしまいます。
 例えば、介護の仕事が得意で、自分は高齢者のお世話については群を抜いていて、周りの人望も厚いという人がいるとします。その人に「私生活はどうなの?」と聞いた時に、仕事が充実していて忙しいし、私にはおじいさんおばあさんがいるからいいのと。結局、何かひとつのことに特化した人というのは、応用がきかなくなってしまうんです。極端なことを言うと、おじいさんおばあさんとは楽しく話せるけれど、同世代の異性とは口がきけないとか。
 
 自分の得意な世界しか知らないと、悩み事があっても、他の角度から見ることができなくなってしまいます。そうするとだんだん、得意なことが先細りになっていって、せっかくの才能がものすごくもったいないなと、最近、私はいろんな人を見ていて思うんです。
 今の世の中はこうでなければダメとか、強くいったもの勝ちとか、その人が持っている自信を奪っていくことがいっぱいあります。だから、得意なことを強化して、自信を持てるようにという、その努力自体は間違っていません。
 世の中があまりにも世知辛くて、外に行くと自信を失うから、自分の得意な枠の中で安心していたいという思いが一層強くなっていると思うんです。それは誰にでもある心理だから分かるけど、そういうふうにどんどん逃げて、依存するようになると、どんどん弱っていきます。自分を甘やかすことにもなってしまいます。そうやって人生のバリエーションが、少なくなっていくのはつまらないことだと思います。
 なるべく小さいうち、若いうちに万遍なくいろんなことをやっておいて、苦手なこともやってみて人にとことん笑われるとか、好きだけど向いてないとか、そういうことをいっぱい経験しておくことも大切だと思います。
 そうすると大人になってから、本業のほうも上手くいくようになるでしょう。
 
 私は幼いころから作家になると決めていたので、作家になる前の時期、みんなが当たり前のようにしていること――学校に行ったり、勉強したりすること――に何の意味があるのか分からなかったんです。
 でも、若くして作家デビューした時に、人生経験が圧倒的に少ないと感じました。就職もしていなかったし。何とかしなければと、いろんな人に会いに行ったり、旅に出たりしました。人に会うには、服装や振る舞い、礼儀正しさなど気をつけないといけないことがたくさんあって、そういうことも勉強になりました。お金は少しかかりましたけどね。でも、人生の幅を広げるためだったので後悔はしていないです。
 私は小説を書くのが好きだし、書いていたらいくらでも時間が過ぎていってしまう。だから、あの時、家で書き続けるばかりだったら、私の小説はどんどん先細りになっていったと思います。あのお金を全部貯金していたら、生活には困らなかったかもしれないけれど、小説には困ったでしょうね。新しい場所に行くとか、新しい人に会うというのはすごいことで、自分を強くしたし、あの体験があったから、いろいろな層の人たちを書くことができるようになったと思います。
 世界は広くて様々な仕事があり、いろんな考えの人がいます。一人の人間が直接体験できることは限られているので、他の人と会って、その人がやっている仕事を見て、想像していたのとは違うな、と思う瞬間をたくさん持つのがいいことだと思います。そういうのを見に行ってみるだけでも面白いし、世界が広がって、謙虚になれます。
 
 自立というのは、お金のことではない気がします。お金をちゃんと稼いでいて、親と別に暮らしていても、全く親離れしていない人はたくさんいます。状況が自立していても、それを自立とは言わないんじゃないでしょうか。
 私が考える自立は、親や兄弟姉妹に、何も言わないで問題を解決したことがあるかどうかだと思います。親の代わりに友達に相談してもいいけれど、そのことを親にも兄弟姉妹にも言わない。そういうことがいくつかできた時が自立なんです。
 それはそんなに若いうちにできなくてもいいんです。
 私も、親にいちいち言わなくても大丈夫だなと思ったあたりで自立した感じがします。今振り返ってみると40歳くらいになってからでした。自分だけで立って歩いて行こうという意志があることも大事だと思います。でも一生自立しなくてもいい人もいるので、そこは強いて頑張れよとは思いません。
 ただ、自分にとっては自立できたことはよかったなと思っています。豊かな感じがするんです。自分の世界を広げて解決していく感じが。最終的には親の顔を見るだけでいいやっていう。そういうところで初めて自立して大人になったというのかもしれません。
 最後に、仕事とは別に、楽しいことや生きがいというのも大切で、そういうものも必要です。仕事だけやっていたら、人生が楽しくなくなってしまうから。本当に先細っていっちゃうと思うんです。そういう全てがつながって、いろいろなことが豊かになっていくというのがいちばん良いイメージです。

吉本ばなな

『おとなになるってどんなこと?』(ちくまプリマ―新書、2015年)より 「〈インタビュー〉将来を考える」


わたくし恥ずかしながら、20歳そこそこのとき、雑談の効能がわかっていなかったんです。「雨降ってるなんて、見たらわかんだろ」と口に出さずとも思っていたし、アルバイト中、忙しい時より暇な時が苦痛でした。でもあるとき一念発起して、雑談・会話の練習(一人修行)をはじめました。今になって、そこの能力開発しておいてよかったなぁと思います。

Youtubeの動画で、吉井奈々さんが横浜市内の高校で講演しているのを拝見しました。「おはよう」と「○○さん、おはよう♪」では印象がまるで違っていて、ちょっとしたひと手間の大事さの話も「なるほどなぁ…!」と思いました。電車内で向かいのカップルがこちらを見ながらくすくす笑っているときに、「わたしのこと悪く言ってるのかな」ととらえるのと「おならしちゃったの、向かいの席まで臭ってないかな、とでも話してるのかな」ととらえるのとで全然違う話も「なるほどなぁ…!!」と、ハッとしました(*'▽')

意識しないうちに視野狭窄、自己否定のドツボに嵌まらないよう、意識的に外の世界への関心を持ちつづけたり、毎日の小さなことをやり遂げている自分を労ったり(いいね!したり)していたいと思います。
 
あと「闇雲に恐れない」ことを土台にして、いろいろプチ目標を立ててみようかしら。

I wish you all the best for the new year ☆

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