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「カッコイイ」が勝る瞬間:「W-KEYAKI FES. 2021」DAY2 日向坂46単独公演

アイドルにハマったからには一度は行きたいと思っていた現地ライブ。「W-KEYAKI FES. 2021」二日目の日向坂単独公演のチケットを見事引き当てたので、友だちとふたりで行ってきました。最高に楽しかった。その一言に尽きる。いつもはあーだこーだこねくり回すけれど、今回は興奮を忘れないうちに、純粋に思ったことを書き連ねていきたい。

今回、僕が当選したのは「E14」ブロック。センターステージからはいちばん遠く、花道も手前にDブロックを挟んでしまう配置ではあるが、結果的にはとてもいい席だったと思う。全体をまんべんなく見渡せるし、セットリストとMCの半分ぐらいはセンターステージではなく中央花道で披露された。A~Cブロックだとメンバーが背を向けてパフォーマンスをする場面もあったが、Eブロックはうしろである分、ライブを通してつねに「正面」なのだ。メンバーが花道中央に来れば表情もわかる。大満足の座席だった。

まず、ライブを終えて率直に思ったのは、日向坂×太陽の組み合わせがあまりにもハマりすぎている、ということ。ギラギラと輝くおひさまを浴びながら、その暑さに負けない熱を体の芯から爆発させる。富田鈴花による「スタメン発表」で登場したあと五分も経たないうちにみんなの前髪はくしゃくしゃになっていたけれど、それがたまらなくカッコよかった。見ているだけでもしんどかった灼熱のコニファーフォレストで、彼女たちは最後まで暑苦しいぐらいの気合と根性を見せてくれた。信じられないエネルギーである。一人ひとり紹介を受けてステージに現れる姿を見たとき、「みんな本当に実在するんだ!」と興奮したんだけど、その次に迫ってきたのが「カワイイ」ではなく「カッコイイ」だったのは自分でも意外だった。

特に目を引かれたのはみーぱんだ。背が高くてスタイルがいい。まさしく「芸能人」というオーラを感じる。しかし、それだけではない。本当に動きの一つひとつが丁寧だし、「My fans」と「アザトカワイイ」ではまったく違う表情を見せてくれる。「どうする?どうする?どうする?」でも、キラキラ輝いていた。要所要所でセンターを任せたくなる理由がわかった気がする。全身から光を放ってしまう人種、実在するらしい。

もうひとりどうしても心を掴まれてしまったのが加藤史帆。彼女は動きが面白い。MCやパフォーマンスの最中にもこっそりおふざけを忍ばせる。なんども客席に浴びせられる水バズーカを「ショーシャンクの空に」のポスターよろしく全身をつかって受け止めている(たしか「誰跳」だったはず)のは面白かった。歌割りやダンスが自分のパートでなくても、誰かが見てくれている…と、どんなときにも手を抜かず(もちろんみんなそうですけどね)、ファンを楽しませてくれる。なんてステキなのだろうと思った。配信中継版のリプレイもあとで買い足して見た気づいたけど、影ちゃんもそのタイプかもしれない。カメラに抜かれたときの精度がハンパじゃないのだ。まさしくプロの技である。


今回のライブは5hシングル「君しか勝たん」の収録曲の初お披露目の場でもあった。個人的なうれしい驚きは「膨大な夢に押し潰されて」にノレたこと。正直、音源で聞いた限りではピンとこなかったのだけど、とにかくライブ映えする。少々古風な曲調も野外ライブのテンションにほどよく中和され、重すぎず、かといって明る過ぎもしない、ちょうどいい「カッコよさ」に落ち着くのだ。三期生がMV衣装に身を包んで披露した「Right?」は、四人のフレッシュな勢いも相まって、とてもポップに仕上がっていた。ゴンドラに分かれて歌っていた四人が、焦らしに焦らして落ちサビで集合、全員でパフォーマンスを披露する流れもすばらしい。二期生曲「世界にはThank you!が溢れている」の白眉は落ちサビの「行進」だろう。みんなに「Thank you」を届ける日向坂楽隊が、おひさまに照らされながら花道を突っ切っていく。MVの世界観とオーバーラップするこの演出は、ライブ全体をトップクラスに良かったと思う。

そして、「どうする?どうする?どうする?」には一期生の貫禄を感じた。ライブでは三期生曲→二期生曲→一期生曲の流れで披露されたのだけれど、正直、一期生はオーラが違った。まとっている落ち着きと安定感が、やはり「先輩」なのだ。衣装の大人っぽさも加わって、全体的に賑やかなライブの中で、特殊な空間を作っていたと思う。


また、多くの楽曲でセンターを務めてきた小坂菜緒が休業中のため、残念ながら「W-KEYAKI FES. 2021」は通しで欠席となった。どんな楽曲でも「日向坂色(≠こさかな色)に染めてしまう彼女のパフォーマンスは、いずれ絶対に見なければと思っているものの、今回の代役センターにも十分な見ごたえがあった。こさかなが敢えて自分のカラーを出さないからこそ、代役センターはそれぞれに新しい解釈を曲に加えることが可能なのだ。基本的には去年の「DASADA LIVE」のフォーメーションをベースにしていると思われるが、「ドレミソラシド」は丹生ちゃん、「キュン」はかとし、「ソンナコトナイヨ」はめいめい、「青春の馬」はお美玖が務めた。

「ドレミソラシド」のセンター丹生ちゃんは、楽曲のピュアな世界観をより強く鮮やかに見せてくれる。彼女によるDメロの指揮者のフリには、「丹生ちゃん」としか言えないワチャワチャ感があって好きだ。ちなみにこさかなだと歌詞の隠喩のうまみが前面に出て、ちょっと文学的な香りがある。「キュン」はライブ会場全体をつかったパフォーマンスで、これといってセンター的ポジションを意識するようなステージ演出にはなっていなかったけれど、サビ前の「可愛い」「好きだよ」がかとしなので、一応彼女が代役センターになるはず。ちょっとおちゃらけた言い方がステキだった。

めいめいセンターの「ソンナコトナイヨ」は「DASADA LIVE」での評判を聞いていたものの、なかなか見る機会がなかったので、今回生のライブで見られたのは幸せだった。ふだんほんわかしてる分、小さいながらも堂々とセンターで踊る姿がしびれるぐらいカッコイイ。花道をチョキチョキダンスで行進するステージ演出も良い。そして、いちばん素晴らしかったのは、言うまでもなく金村美玖センターの「青春の馬」だろう。同じく「DASADA LIVE」のパフォーマンスがファンから高い評価を受け、ドキュメンタリー映画「3年目のデビュー」でも日向坂46のグループのあり方を象徴するステージとしてフィーチャーされていたが、今回、エースの離脱というピンチに改めて最高の表現で魅せてくれた。「血気迫る」としか言いようがない。センターステージでの披露だったから、正直、僕の席からはすこし遠かったのだけど、それでもすさまじい熱気が伝わってきた。魂で表現していると思った。贔屓目なのは自覚しつつ、日向坂でこういうパフォーマンスをできるのは彼女だけなのかもしれない、と言いたくなる。ステージを終えたあと、彼女が一瞬見せた「やってやったぞ!」という達成感と溢れ出る自信、それからすべてを振り絞った末の「なんとかやりきった」の安堵の入り混じった表情に、思わず心打たれてしまった。


ここでは触れられなかったけど、齊藤京子は安定してクールだったし、富田鈴花は弾けまくってた。キャプテンは鉄人のスタミナで最後まで会場全体をリードした。「誰跳」のソロダンスは本気で惚れた。宮田愛萌のフリースタイルな暴れっぷりに惹かれた。渡邉美穂の煽りも最高だったし…書こうと思えばどんどん出てくる。いくらでも語れるだろう。でも、この興奮は一旦心のうちに大事にしまっておきたいとも思う。ただ、ひとつ確実に言えるのは、日向坂のメンバー全員が輝いていたということだ。本気で輝こうとしている人、ここに自分のすべてをぶつけようと戦っている人は、こんなにまぶしいんだと思った。本当にこんな人が実在するんだと驚いた。だからやっぱり「カワイイ」より「カッコイイ」が勝ったのだ。おひさまとは、まぎれもなく彼女たち自身のことなのだと思う。

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