マガジンのカバー画像

さとし

6
親友が死んだ。居なくなって初めて知った存在の偉大さと知られざる生い立ち。 親友の思いを胸に前に向かって歩き出した物語。
運営しているクリエイター

記事一覧

さとし⑥

さとしの手紙に書かれていた“大したことないんだけど・・・”に続く言葉、それを実行するために手紙をもらった者たちは、各々で考え行動していた。

¥100

さとし⑤

死んださとしから手紙を貰っていたのは僕だけではなかった。 僕以外にもさとしから手紙を受け取っていた友人がいた。 僕はさとしにとって特別な存在だと思っていたが、そうではなかった。ただそんな感情は1人よがりなもので、さとしにも失礼だ。

¥100

さとし④

亡くなったさとしから届いた手紙。 さとしのお父さんが僕だけを呼んで手紙を渡したということは僕にしかなかったということだと思う。

¥100

さとし③

さとしが自殺したと聞いてからも時間は止まることなく刻々と進んでいる。 学校には行かないといけないし、バイトにも行かないといけないし、お腹だって減るからご飯も食べないといけない。 さとしのお葬式の後、みんなが集まって簡単な食事会が開催された。さとしのお父さんが場所や食事を用意してくれ、さとしの分まで楽しくやってくれと疲れた顔で精一杯の笑顔を見せていた。 たださとしの分まで楽しもうと、切り替えられている者は1人もいなかった。むしろ今は静かにさとしとの思い出を振り返り、さとしに

さとし②

-さとしが死んだ。 そのLINEが来たのは今朝の話。 友人に「どういうこと?」と返信するまでに30分ほどの時間が経過していた。 気が動転して、頭の中が真っ白になっていたから時間が経っている感覚は無く、その時はそんなに時間が経過していることも、なんて言葉を返信するのかも、まったく考える余裕を失っていた。 友人からの返信はない。 その友人は、今はあまり会ってはいないが地元ではさとしを交えて3人でよく会っていた。さとしと友人は小学校から一緒で、実家同士も近いということでさとしの

さとし①

早朝に友人からLINEがきた。 いつもは大学の1限目がないのならぐっすり寝ている時間だったが、なぜか目が覚めてしまい、なぜか布団の中でスマホをいじることも無く、布団から出て、ソファに座って実家暮らしの時以来見ることのなかった朝の情報番組を見ていた。 起きてからだいぶ時間は経っていたので眠気は覚めていたと思う。 それでも画面に表示されていた文字を瞬時に理解することはできなかった。 「さとしが死んだって」 -さとし。 中学、高校と一緒で、一緒の部活で、卒業してからも時々会