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かき氷の思い出

16歳の夏だったと思う。進学校に通う男子とかき氷デートをした。

私が通うアホな女子校は男女交際ばれたら退学だったがそんなことはどうでも良かった。

たくさんお話をした。

彼が旅館の息子であること、理数系が得意であること、サッカー部に入っていること、高校まで新幹線通学をしていること。

ほぼ9割は自慢話だった。幼かった私は彼の自慢話に、凄いね、頭いいねと相づちを打てばいいのにそれができなかった。

数学が得意で満点しか取らないと言われても、
で?お前はどうしたいの?そんな感じだった。

でもなぜか好きだった。一緒にかき氷を食べたし、花火大会も行った。だけど私達は付き合わなかった。

彼はその後、他校の女子と交際を始めたと噂で聞いた。偶然横浜でデートする二人を見たときは衝撃だった。

え?私よりブスなんだけど。は?

なぜ私ではなく、そのブスを選んだのかはわからなかった。私に足りていないのは何かわからなかった。

今思えば距離間だったろう。私に近づかないでオーラがでていたんだと思う。

たくさん話した中でただ一度だけ、一度だけ彼は自分の旅館の名前をチラッと言ってきた。

未だに私はその旅館の名前を覚えている。この前検索したら彼は三代目社長になっていた。

そっか社長になったんだね。もう私のことなんか忘れただろうな。

同級生の活躍は素直に嬉しかった。

いつかその旅館にパートナーと行きたいな。そんな今日この頃です。


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