2023/11/25(土) 【異形種交流会 特別回 】 準備録⑥
イベントの趣旨、日仏両演者の紹介も終わり、なぜ自分が主催する【異形種交流会】でお受けしたのかという流れも含めてお話してきた。
これからは当日盛況を目指して動いていく。ナカナカ観ることが出来ない類の一夜になると思うので、音楽好き以外にも、会のエッセンスに通ずる系の方々にも観てもらいたいなと。
まず思い浮かぶのは、演劇人。
自分が昔関わったことがある方々で、「地方から世界に通用する作品を」と活動する凄い劇団があった。
劇団アンゲルス
https://theaterangelus.com
20代半ば、大学を出て建築設計事務所に勤めていた頃の話。“建築は総合芸術で、あらゆる事が建築だ”と感化され、仕事以外の時間も色んなことに興味があった。街づくりに協力したり、絵画展や彫刻展、各地の祭りを見に行ったり。その中に演劇もあった。
職場の先輩に「小立野に怪しいオモロイ茶店がある」と連れられて訪れたのが、天徳院の前にある「アンゲルス・カフェ」だ。
演出家、岡井直道さん
このカフェは“劇団アンゲルス”の本拠地、マスターの岡井直道さんは演出家、奥様の下條世津子さんは役者、店の2階は稽古場になっていた。
この店に親戚の歯科医が足繁く通っていたり、カウンターで横になる初めましての客は良い意味で普通の人がいなかったり(笑)。そしてマスターの岡井さんと話すあらゆる事が刺激的で面白く、この店に入り浸るのに時間は掛からなかった。演劇を観て、店のショーウィンドウに僕がデザインした椅子を飾らせてもらった。
岡井さんは石川日独協会の事務局をされており、その頃は月に一度協会の集まりがカフェで行われていた。僕は19歳の時に渡独経験があったので、その時の経験を写真や動画で発表させてもらった。気が付けば協会の理事・運営委員になっており、会員各位への連絡を担当するなど感化される速度は速かった。
「3人姉妹」と「王女メディア」
二つの演劇で、舞台作成を請け負った。
第9回公演の「チェーホフマテリアル/三人姉妹」
岡井さんからは「白い箱を作ってほしい」と明確なオーダーがあり、それに応えた。
最終的には上辺に傾斜のついた白い立体となったが、上に立つ役者に強いられる不安定感、側面に映写される不穏な動画も相まって非常に効果的な舞台装置となった。
続いて第10回公演「王女メディア/MEDIA」も担当。
この時は美術系の方と協働だったので、細々としたことは彼女に任せ、自分は山に捨ててあった大量の欅の枝をトラックで持ち運び、それを全て真っ白に塗った。そして後方に木材で大きな壁面を作り、表面の資材としてプラダンを用意した。それらをどう使うかは稽古で劇団が決めていった。
「三人姉妹」の時は、当時僕を設計デザインで雇ってくれていた同級生の友人も製作に協力してくれたが、この時は本職が忙しく僕1人だった。しかも追込み時は会社の仕事を放置してたので、彼には凄く怒られた。当たり前だ。演出家が烈火の如く役者に思いを伝える稽古場の殺伐さ、疲れも相まって心身ともに疲弊してたのを記憶している。
公演本番を観た。最後の子殺しのシーンは、自分の作った台の上で両手に骸を持って叫ぶ王女に凄く嫌悪感を覚え、それを打上げで王女役の女性に伝えると凄く喜んでいた。
当時の役者、月原さん、澤田さん、中元さん
演出補助の本庄くん
音楽を担当したNEUK
映像の嬉野さん
思い出しても、皆さん素晴らしかった。
そして現在
今年の11月の「異形種交流会 特別回」に演劇人の方々も観に来ていただきたいという下心と、上記の様な思い出も湧いてきて、岡井さんに十数年ぶりに会いに行った。現在の本拠地「スタジオ犀」は金沢市民芸術村の近くだ。
約束の時間少し前に行くと、建物前で岡井さんとバッタリ。握手した瞬間に過去が今と繋がった。
稽古が始まるまでの時間、昔の事や現在のお互いの事など話し合った。岡井さんは変わらず若々しい。見た目の物理的な刻々など関係なく若く、今後の展望などを嬉々として話していた。
僕はLIVEのリハ前ということもあり、ディジュリドゥを持参した。自分の今を岡井さんに聞いてもらうつもりだったので。
味のある建物、素晴らしい稽古場で、お金は無いが創作意欲に溢れる劇団らしさを感じた。
アンゲルスは9月に公演がある。
紛争地シリアから生まれた演劇。
久しぶりにアンゲルスの演劇を観に行こう。
楽しみだ。
まずはそこから。その上で自分の11月イベントのPRをしよう。それが筋だ(笑)。
(続く)
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