褒め言葉の力
多くの著書を出している菊池省三先生の代名詞にもなっている一つに「褒め言葉のシャワー」という実践があります。3年前、書店にてたまたま手に取り出会った本の一つです。この時から菊池先生の虜になっていました(笑)
私自身も褒め言葉のシャワーの実践に感銘を受け、昨年から取り組み始めました。2年間ほど続けてきた現在の感動を記録しておきたいと思います。
※今受け持っている子たちは6年生。昨年の5年生の時から続けており、約2年が経過しようとしています。多くの試行錯誤を繰り返し、子どもたちと日々考えながら少しずつ形になっていきました・・・。
0.褒め言葉のシャワーって何?
端的に言うと・・・
その日1日の主役に学級全員で褒め言葉をシャワーのように浴びせる
という活動です。
このたった一文の中に、多くの子どもたちの輝きが秘められています。
私の学級の具体的な流れは
①主役を決め、卒業までのカウントダウンカレンダーを書いてもらう。
②主役を2日間かけて担任と共に、よく見つめていく。
③2日目の朝、担任からのほめ言葉として黒板に写真付きで書き記す。
④2日目の帰りの会で自由起立発表で主役を褒める。
⑤主役からの感謝のスピーチを行う。
こんな流れで歩んでいます。
①については・・・
こんな感じでカレンダーにしています。
④の自由起立・・・初めはかなり苦戦しました。次に誰が話し出すのか全く予想もつかない中での発表ですから。それでも、継続すると、不思議と子どもたちが空気間で譲ったり、アイコンタクトを始めたりと様々なつながりがあって心地よささえ感じるようになりました。
⑤のスピーチは
こんな型をつくって、発表の参考にしています。
と、ざっくりですが形になるまで相当悩み、心折れそうになりながら子供たちとの日々を送っていました(笑)奮闘の様子はまた別の機会に記録したいと思います
1.訪れた感動の瞬間
約2年間続けてきた実践。
卒業まで残り50日をきった現在、6年2組で主役を務め、みんなから褒め言葉をもらうのも残り1周となりました。
このような感じで残り1周をどのように迎えるのか目標も決めました。
そんなある日・・・
ある1人の女の子が主役を終え、次の日ノートに書いてきた作文です。
2500字にもおよぶみんなへの感謝と自分の成長について書かれていました。
小学校生活最後の主役を終えて、感じたことが3つあります。
1つ目は、改めてみんな成長したなと感じたことです。この事はみんなへの感謝のスピーチでも言わせてもらったけど、今日の褒め言葉シャワーでさらに感じることができました。みんなが自分に褒め言葉を言ってくれる時、すごくたくさんの友達と目が合いました。目を合わせて言ってくれるのと、目を合わさずに言ってくれるのとは多分嬉しさが違うから、自分もみんなのほめシャワーを言わせてもらうときにはなるべく成長ノートを見ずに主役の友達の目だけを見て褒め言葉を伝えたいと思いました。そうすると、自分の褒め言葉を聴いて、受け止めてくれた友達が嬉しくなってくれると思います。そうやって感じてくれる友達を1人でも増やすことができたら、教室の空気が明るく、そして軽くなり、教室から溢れさせたい言葉でたくさんになると思うんです。だから、絶対にこれから先の為にも、もちろん友達の為にも心がけたいです。自分は、6年2組の友達の中の1人でも嬉しくなってくれて、それによってその友達の表情が明るくなっているのを見ると、こっちまで嬉しくなります。もし、自分の他にもこういう人がいるのなら、嬉しくなってくれる人を自分の力で1人でも多くしたいです。またさらに、2つあります作文で褒めシャワーをくれた友達もいました。本当に心から嬉しかったので、真似させていただきたいなと思います。それと、今日たくさんの成長を見せてくれて、喜ばせてくれたみんなに、いつか自分も成長してみんなに恩返しができる日が来たらいいなと思いました。本当に6年2組の一員で良かったなと思いました。このたくさんの6年2組の良さをたくさんの人に伝えたいです。このクラスは、自分なりに、どのクラスにも負けないとても素敵な「らしさ」があると思います。だから6年2組に他の先生がいらっしゃった際には、「このクラスはどんなことがあっても大丈夫だ」と言う言葉をくださったんだと思います。たとえ、このクラスを否定する人がいたとしても、その人にはわからない素晴らしいところがたくさんあるのだから、否定するのなら否定させとけばいいんじゃないかなと思いました。その人からこのクラスにどんなにひどくて辛い言葉を浴びせられても、このクラスの良い所の1つを伝えたら、きっと心の底では、このクラスのらしさを認めて納得してくれると思います。そして、どんなに否定する人が増えたとしても、必ず素敵だなと思ってくれる人はたくさんいるし、支えてくれる人もたくさんいると思います。絶対にこのクラスが取り組んでいる事は間違っていないし、決して誰にも否定のできないことだから、卒業するまで続けたいです。このまま成長が止まることがなく、いつか6年2組の「みんな」で、SAの道へゴールできる日が来ますように…。
2つ目は、友達への感謝の気持ちです。今日の褒め言葉で、友達がいることの嬉しさに改めて気づきました。友達がいる事は、「当たり前」だと思っている人がいてもおかしくはないかもしれないけど、自分はその人にとっての「当たり前」を簡単に「当たり前」で済ませたくないです。なぜなら、人それぞれのらしさや課題があって、それを認め合うことができて友達になるのは、相当奇跡なことだなと感じているからです。人それぞれ、性格も違うし、1秒1秒その瞬間で思っていることも全く違うから、それを認め合えるってとっても凄いことだなと思いました。上に書かれている事のように、人は一人一人、それぞれ思うことは違うし、性格も違うわけだから、やっぱりすれ違いから始まる勘違いも、その逆の勘違いから始まるすれ違いもあって、いじめの種ができてしまうのもしょうがないと思います。自分は、このような経験をたくさんしてきたけど、解決できなかった事は1回もありません。これは、友達同士での絆があるからだと思っています。それに私は、友達って素敵で、ありがたい存在だなと感じる時が本当にたくさんあります。例えば、一緒に登下校してくれたり、自分の名前呼んでくれたり、自分の発言に反応してくれたり、自分の行動で笑ってくれたり、副委員長に立候補したときには投票してくれたり、褒めてくれたり、拍手してくれたり、交流してくれたり、いろいろなことに誘ってくれたり、遊んでくれたり、注意してくれたり、アドバイスしてくれたり、少し強く当たってしまったら謝ってくれたり、逆に自分が友達に強く当たってしまって謝ったら許してくれたり、励ましてくれたり、応援してくれたり、フォローしてくれたり…ここに書ききれないくらい、いろいろな場面で毎日実感していました。だけど、自分が友達に自分の知らないところで迷惑をかけたりとか、傷つけたりしてしまっている事は100%絶対にあるから、そこにもできたらなるべく目をつけたいと思いました。それでも何も言わないで許してくれた友達はたくさんいるだろうからもし気づいたら謝って、反省してこれからにつなげていきたいです。だから、友達にはこのような事だったら何でも言ってほしいんです。
ラストの3つ目は、感謝のスピーチのときのことです。いつもは緊張してしまうけど、今日の感謝のスピーチの時は緊張しませんでした。これはみんなが自分にユーモアのあるスピーチや、自分がとっても嬉しくなるようなスピーチをたくさんもらって空気が軽くなって話しやすい空気になったからだと思います。きっと、この良い空気を心が感じ取ったから緊張せずにスピーチができたんじゃないかなと思いました。今日自分なりに良いスピーチができたのは、先生・友達のおかげです。とっても嬉しいです。そして、自分がスピーチを言われた後にお辞儀をしたことに気づいてくれた友達もいて嬉しかったです。気づいていなかった友達に先生が気づかせてくれたのも、嬉しかったです。6年2組は自分の最高の居場所だと思いました。6年生は、小学校生活6年間の中で将来1番心に残る1年間だと思いました。今まで自分が気づかなかった自分の良さ、気遣い方だとか、将来につなげることができることとか、いろいろなことを学んだ1年でしたこれも皆のおかげだと思います。
感動しました。泣きました。
私は、今の6年生とは縁あって4年間の付き合いをしています。3年生のときから持ち上がり、担任をさせていただいています。5年生への進級の時、半数は自分が受け持っていた子たち。半数は隣のクラスだった子たち。
この作文を書いた子は、4年間私が受け持たせていただいています。3年生、4年生のころは休みがちの子でした。その子がここまで心を震わせ、成長しようと叫んでいたのでした。
この作文を読んだ瞬間、苦労が絶えなかったけど継続してみて良かったと心から思いました。それは、子どもたちも同じだったようです。
2.つながる輪
これは、感動の作文をみんなに紹介し、みんなにも
①○○さんの作文を読んで今、感じること
②○○さんの心を動かした、今思うあなたのこれからの可能性
というテーマでノートに書いてもらったものです。
※成長ノートと呼んでいて、毎日あるテーマについて自分の気持ちを言語化し担任とノートを介して言葉を交わすものです。この実践も菊池先生から学ばせていただき、取り組んでいるものです。いつか、記事にして記録していきたいと思います。
1人の作文が教室の輪を急速に加速させていく感覚がありました。子どもたちもこの作文を読んで涙する子もいました。
2500字の作文を生んだ褒め言葉のシャワーの奇跡だと感じさせられました。
3.まとめ
今回は、褒め言葉のシャワーを行ってみて、学級内で起きた奇跡を記録させていただきました。
純粋で可能性を無限に秘めている子どもたちのつながりを間近で見ることができて幸せに思います。
子どもの心を動かすのは、子どもたち自身
その手助けを担任として努め、全力を注いでいきたいと思わせてもらいました。
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