トンガの離島めぐりvol.4 〜湊かなえさん『楽園』の島 Ha’apai〜
埼玉県の正智深谷高校のラグビー部の皆さんが、トンガに恩返しをしたい、とクラファンを始められていました!
自分が高校生の頃は世の中で起こることにほとんど触れることがなかったので、若くして世の中に関心を持って行動を起こせることを素直に尊敬します。
さて。今回はハアパイ諸島。湊かなえさんが書かれた、トンガを舞台にした小説『絶唱』の第一章「楽園」に登場する、まさしく楽園のような島です。
どこが楽園なのか。
僕が活動していた2015年当時もそこまで人が多くなく、ヴァヴァウ島より観光地化が進んでおらず、本島よりももっとゆったりした時間が流れていました。特にビーチは手付かずの良さというのでしょうか、ずっと座ってぼーっとしていたい気持ちになるくらい落ち着いた雰囲気でした。
では、写真で紹介していきますね!
それでは、昔書いたハアパイの活動報告です。
Ha’apai
ハアパイには現在日本人ボランティアは不在である。去年大型ハリケーンの被害が甚大だったり、平らな土地のため、津波の被害の危険性が高かったりするからである。去年はハリケーンの被害によって農業祭は開催されなかったそうである。その被害跡は未だに残っており、修復されていない建物があちこちで見られる。このような光景を見ると、自然被害を受けやすいことはとても脅威であることが実感される。
曇り空が残念だったが、ハアパイはとてもきれいなビーチが印象的で、ババウほどではないが、ところどころ観光者向けのリゾートがある。だが、その他の場所は普通に人が暮らしている、普通の農村といった感じである。お店もそれほどない。ババウとはまた違ったのどかな感じが心いやされる。中国人が営むファレコロアもあまり見られなかったが、同僚によると、年々増加しているそうである。
到着した日の晩は、大臣を招いてのお食事会で、多少緊張した。料理を見て思ったのが、魚料理が多いということ。魚フライや、魚サラダ、魚の煮物、オタイカ、ロイフェケ(タコのココナッツクリーム煮)にイモ類であった。まさに、トンガの伝統食材である3つのキーフーズ(魚、ココナツ、イモ)を用いた料理だったのだ。翌日、現地住民と話していると、「家族が漁師をしていて、タコとか獲って来たものをくれるの」と教えてくれた。タコも魚も比較的高価なものであるが、昔ながらの生活がハアパイではまだ色濃く残っているのかもしれない。
ババウのときは、疲労困憊で寝てしまったが、農業祭の前日は夜通し準備するのだと同僚に言われたので、今回は前日の晩から会場入りして準備を手伝おうと決めた。実際、何人かのスタッフは夜通し働いていたのだが、今回自分のカウンターパートの仕事で手伝えることはすぐ終わり、あとは基本的に何もすることがなかった。泊まり込みということで、寝るために段ボールを一枚持たされただけだったので、この日はとても寒かったこともあり、なかなか眠れずふるえながら横になっていた。ここでも弱音ははかないよう努めたが、同僚からまたも心配される始末で、かえって余計な気苦労を増やしてしまった。
農業祭の規模はニウアより大きく、ババウより小さい。ラグビー場にテントを円形に並べる。去年こそハリケーンの影響で中止になったものの、同僚の話では毎年、島ごとの農業祭で最優秀賞(?)をもらうほど、装飾がすばらしいものだと言う。言われてみると確かに、出展数などではババウに劣るものの、装飾や作物などのレイアウトはとてもきれいなものであった。収穫高でみるとトンガタプやババウよりは少ないのであろうが、農業祭に持ち込む作物の量は多かったように見受けられる。同僚曰く、ハアパイの人々は質より量で勝負しているのだそうだ。
具体的に展示された作物を挙げると、タロ、ヤム、キャッサバ、パパイヤ、バナナなどの伝統的作物は当然ながら、ジャガイモ、ニンジン、チンゲンサイ、カボチャ、トマト、キュウリ、ズッキーニなど、ババウと遜色ないほどの種類が並んでいる。特記すべきことは、キャベツの多さとココナツの少なさである。旬だからか、立派なキャベツがほぼすべてのテントの前にずらりと並べられていた。また、去年のハリケーンの影響で、ココナツの木がかなりダメージを受けたらしく、他の離島と比べ、ココナツの数はとても少なかった。
作物以外のブースに目を向けると、保健省が出展し、体重、身長、血圧測定の他、タバコやヘルシーイーティング、避妊や歯みがきに関する展示をしていたが、ほとんど来場者はいないように見受けられた。基本的に、来場者は王様の前で披露される出し物を楽しみ、あとは作物かハンドクラフトを購入するのが農業祭に来る目的なのかと思われる。
農業祭終了後、同僚の親戚の家を訪ね、料理をいただく。ここでも出されたのは、オタイカ、ロイフェケ、キャッサバという、トンガの伝統的食事であった。聞くと、その家庭に漁師がいるわけではないが、魚へのアクセスは簡単であるそうだ。
そうして、夜また船に乗り込み、半日かけてトンガタプに戻る。
つかの間の休息。
毎回、足手まとい感が強くて当時自分何してたんだろとツッコミを入れたくなる。。
段ボール1枚で寝たのは人生初の経験でした。でも段ボールでもあるだけマシだなぁと。
どうか皆さんご無事でありますように。
Malo for reading.
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