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発酵させた2021。飛騰の2022。

以前、祖師ヶ谷大蔵で『タガヤセ大蔵』を営む安藤勝信さんと、"発酵"について話す機会がありました。ジョブズが唱えたConnecting the dotsより、電車のドア横広告で紹介されてる本なんかより、よっぽど有機的で立体的で属人的で、肌身に合う感覚を覚えたのをいまでも強く覚えています。
僕の2021年は、まさに安藤さんが唱える"発酵"が着実に進んだ1年。しかもパラダイス酵母のそれくらい、見事なまでに、劇的に。

まめくらし、卒業。

まめくらし送別会

一番最初の大きな節目は、3月末に2年間勤めた株式会社まめくらしからの退団です。「まめくらし研究所」の経営から「大家の学校」の運営、バックオフィス業務まで幅広い分野で仕事できたこと、本当に有り難く、尊い時間だったと感じています。

大きな会社からの3人の会社への転職でしたので、当初(終始…?)は仕事のスピード感に全くついていけず、たくさん迷惑をかけました。それでもなんとか踏ん張って”どうにかする力”を養えたことは、この時代の人生において必要ともいえる経験でした。(会社をつくったいま、痛感してます)

そしてなにより、まめくらしで過ごした2年間で出会えた方々が、僕にとって何物にも変え難い財産になっています。純さんやサラさんはもちろん、大家の学校で講師を務められた方や受講生の方々は、ありたい姿を模索し実現させている先輩方で、もっともっと彼らから学び取っていたかった。高円寺アパートメントリビングループでご一緒したみなさんはいつでもあったかくて、みなさんとの会話や乾杯がなによりもご褒美でした。

誰かが、僕のキャリアにおけるまめくらしでの時間を「階段の踊り場」に喩えたことがありました。当然そんな生易しいものではなく、むしろ「梯子をつくる」ような時間でしたが、いまになって振り返ると、周りに"そう"映っていることが、まめくらしの凄さであり、"僕ら"そのものだったんだなって思います。

改めて、2年間お世話になりました。

まめくらし研究所 冬の店先
高円寺アパートメント 虹と子供たち

保護猫シェルター暮らし、始まる。

まめくらしを退団するちょっと前、3月の中旬から、高円寺にある保護猫のシェルターへの住み込みがはじまりました。株式会社ネコリパブリックが運営するシェルターなので、常にスタッフさんが出入りしていてプライベートという概念は存在しません。その点は気になりませんでしたが、ほぼ毎晩2~3時間かけて猫たちの世話をするのに、慣れるまで時間がかかりました…。(子育てはもっと大変だと思うと、頭が上がらない)

なぜ住んでるのか?

よく聞かれます。保護猫団体と常に接点を持てることが最大の理由です。僕の仕事は保護猫団体なしでは成立しませんから、彼女らのペインを当事者の1人として感じられることは、企画を考える最高の材料です。

引越して4日目に生まれたコたち
一緒に暮らしてたシュロとナギ。ぎゃわ。

フリーランス、狩猟生活。

独立直後の4,5月は、まさに狩猟生活。案件ごとに仕事を納め、たまに猫以外の仕事もしながらなんとか生活をしていました。この頃は気持ちが不安定で、毎日ピリピリ。気持ちは焦るのに、思うように仕事をつくれず。時間の流れに取り残されている。あの嫌な感じです。

勢いよく独立したものの、会社に守られてたことをひどく思い知らされた期間でもありました。それもありこの頃から、自分の足で立つこと、今後の人生この足で走っていくことについて考えはじめました。いわゆる、「人生の経営」というやつ。いつ何が起きるかわからないことを大前提に、自分の描きたい未来がどんなで、そのためには何が必要で、それに集中するための精神衛生はどうすれば維持できるのか。安定と収支のバランス、資産運用。仕事とプライベートが溶け合い、汽水域が一気に増えたタイミングに、この問いに向き合えてよかったな。

アトレでの譲渡会

業務委託、農耕生活。

そんな折に、降ってきたような業務委託の相談。「稼働量に見合うかわからないけど…」とクライアントは遠慮がちだったけど、「安定と関係資本」という金額以上の価値があるのは一瞬で理解できました。4月に打診のあった保護猫住宅の案件も本格的に動き出し当面の収入が見込めたことが、会社をつくる精神的な余力をくれたことは間違いありません。

とはいえ仕事がラクになったわけではなく、業務委託という責任に押しつぶされそうな日も多くありました。大きな背中のクライアントは、そういう時でも救いの手を差し伸べてはくれませんが、全力でぶつかると全力で返してくれる、痛気持ちいい先輩です。

いまでも動物保護業界のこと、ビジネスのこと、人生のこと、移動中の車の中で相談する仲。この背中から学べることは、途方もないなぁ。まだまだ道のりは長いぞ。

横須賀を未来のペットショップにしていくプロジェクト
屋内アミューズメントパークでの譲渡会

飛騨へ。

段々と夏が近づいてきた頃、来年からの飛騨移住が確定しました。来年は、飛騨で猫を助けてます。年始の頃から相談されてた話だったので覚悟はできていましたが、いざ決まるとなんだかソワソワしたのを覚えています。

「なんとかなる」という根拠のない確信は、不思議といまも変わってません。それは飛騨で出会った方々の雰囲気もあるし、27年間という短い人生で培ってきた自信によるところが大きいのでしょうか。いつになっても、周囲の人に恵まれる人生だなぁ、としみじみ。

具体的には、空き家や空き地を活用して保護猫シェルターをつくったり、市内の高齢者に保護猫を預かってもらうサービスなんかを立ち上げたりする予定です。詳細は下の画像からどうぞ。

ネコリパが行う行政連携事業

業務委託の限界。

自分のわがまま具合に嫌気がさしますが、クリエイティブの決裁権が自分にないモヤモヤが、徐々に無視できない大きさに膨れあがっていきました。

自分が関わったモノを心から好きになれない。

なにか自分で創ったり企てたりしたことがある人は、この不健康さがよくわかるかと思います。

いまの立場ではいつになっても「自由」になれる気がしなかったので、「もうこれは、自分で事業をつくるしかない。」と決心。自分の考えをカタチにして、堂々と世に産み出す。そのためにはたくさんの仲間とお金が必要でした。

起業という、投資。

そんな成り行きで、起業することになってしまいました。なんかもっと起業って、燃え上がるような志を持ってするものだと思ってたので、ちょっと拍子抜けです。(まだ実感が持ててない...)

来年の飛騨移住や事業立ち上げを見越し、本格的に起業を考えはじめたが夏の終わり頃。そこから業界の先輩方や友人に相談しながら慎重に準備をしていきました。

占いや風水はあまり信じない性格なんですが、いつでもいいと言われたのでどうせなら、と10月21日に会社を設立しました。1021が素数であること、唯一猫科の干支である寅の日であること、寅の日は金運がいいこと。六曜という暦ではあまり良くない"赤口"でしたが、11-13時は鬼が休むというエピソード(?)が気に入って、12時頃に書類を提出してきました。

飛騨での仕事は業務委託なので収入が安定している一方で、個人の入りとしては大きくしにくいのがデメリット。それは他の業務委託も同じ。となると新規事業投資が難しくなるので、キャッシュを増やしやすい新サービスの構想をはじめました。飛騨という物理的ハンデを抱えながら会社としてのキャッシュを増やし、次の保護猫事業に投資し拡大させていく。この循環を生むためには会社が必要で、逆算するとこのタイミングしかなかったんですよね。

株式会社 neconoteのロゴ
ロゴに込めた想い

保護猫団体の"自続支援"を、新規事業で。

猫が助かる 猫の推し活サービス『neco-note』。

「猫好きみんなが保護猫活動に関われるようにしたい」そんなシンプルな想いをカタチにしたのが、このアプリです。誰もが無理なく保護猫活動に関われるプラットフォームです。保護猫団体が愛情を込めた保護猫が、保護猫団体の”自続性”を高めるキーマンになる。保護猫を中心に愛の循環が回りだす。そのきっかけを、つくっていきます。

社名がneconote(ネコノテ)で、サービス名がneco-note(ネコノート)。ややこしいけど、「保護猫団体の"自続支援"」という会社のミッションをダイレクトに叶えるサービスだから、社会への宣言も兼ねて社名を冠したサービス名にしたんです。

まだ想いだけの新サービスが世に認められたのが、QWSチャレンジでした。目に見えない価値に投資できる世の中に感謝しつつ、最高のサービスに仕上げることが恩返しであると信じて、QWSのアセットをフル活用しながらサービス開発を進めています。

泥臭く翔け回り、飛騰する2022年。

正直、すごく怖い。はじめての新規事業ローンチ、はじめての移住、想定される移動しまくりスケジュール。できればそんな大変なことせずに猫を助けたいんだけど、必要だからやるしかないんです。

飛び立つ前の地盤づくり。

飛騨に移住するのは早くて4月。上半期の目標はneco-noteをローンチさせて、物理的な拘束なくキャッシュできる環境を整えること。飛騨で地域に溶け込みながら、PCで世界を相手に猫助けを展開し会社の資本を貯めていく。そのための条件ともいえるのが、neco-noteのローンチと仲間集め。

業務委託を中心にneco-noteのサービス開発とPRなどの準備を進めてますが、併行してインターンの採用も強化中。いまは2人のインターンに支えられながら走ってますが、来年度を迎える前にはもう少し強化したいな。僕が飛騨に移る頃には、東京を守る人も欲しい。ので、いい出会いを探します。

自由に飛ぶための強かさ。

言うはやすし行うは難し。地域の現場を駆け回りながら、PC作業で自分の事業や他の案件を進めていくことが、相当ハードなことであることはわかってる。だから、そのための強さを4年間のサラリーマン時代で培ってきたつもりです。猫、人、会話、時間、お金。すべてが僕の仲間であり、武器である。これらと上手に付き合いながら、保護猫事業をもっともっと加速させていきます。

という感じで強がってみましたが、たぶん気づいた頃にはそのへんで疲れ切って倒れてます…。骨くらい、拾ってやってください。

2022年も、どうぞよろしく。

去年までの振り返りはこちら。


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