ツイッターで書いた妄想物語17

6/3
「小説に貴賤はないのです」
そう言って彼女は、クラスの連続消しゴム隠しに仰々しい名前をつけ続ける男が主人公の奇書と、ダブル不倫を描くn番煎じの恋愛小説を並べていた
僕は平凡なタイプの人間なので、彼女が謎の奇病で余命宣告されていれば、悲恋を味わえると思った。恋に貴賤はないけれど
(了)
6/7
「劇場型殺人の被害者って、ただしイケメンに限る、なのですよね」
「は?」
「サーカスで宙吊りになった巨大ゴム風船の中に遺体が閉じ込められていたとして、風船割ってフツメンだったらただの偽装工作です。でも、中から出てきたのが絶世の美男子だったら!それはもう劇場型殺人事件じゃないですか」
鼻息荒く目を輝かせる彼女の、言いたいことは分かる。分かるのだが、極めて平凡な顔立ちの僕としては、若干の胸の痛みが無視できない。
壁ドンも薔薇100本のプレゼントもただしイケメンに限ると言われるこの世界で、怪死にすら顔面偏差値が適用されるなんて……。
彼女は強めに僕の背中を叩き、ふっふっふっとわざとらしく笑いながら言った。
「無駄死にするなよ。君はどこにでもいる平凡な探偵助手だ。死んだって大して映えもしないんだから、これからも私のために働きなさい」
僕は自分の頬を両手で挟み、いまどんな表情をしているのかと、ゴシゴシして確かめるのだった。
(了)
6/10
あんこは夢である
最中にはあんこが詰まっている
最中を食べることは、夢をお腹に詰め込むことである

最中食べたい
最中食べたい

そう言いながら、じゅんすたは浅い眠りに沈むこともなく、ただ最中のことを考えていた
6/14
「きょうの議題は『飲みニケーション』および『フラッと立ち飲み屋で』を封印した友達づくりの考察だ。意見がある者は、友達を100人つくる勢いで挙手するように」
「先生!議題に入る前に、他にも足した方がよいと思われるものがあります!」
「なんだね」
「行きつけのバーで、居酒屋で意気投合して、あたりも除外すべきです!」
「たしかに。では以上を踏まえて、友達100人つくる方法を考えよう」
「……」
「……」
「……」
「…………ゴミ拾いとか」

(了)

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