君と居ると死にそうだ!

制限時間:10分 お題『凶器、告白、犬』

 奥手な僕が告白を決意したのは、君の造作があまりにすばらしかったからだ。
 目や肌や髪が美しいのはもちろんのこと、微妙に噛み合わせがあっていない犬歯や、「ひひひ」というなんとも味わい深い引き笑いをしたりするところなんかも、魅力的だと思う。
 君は、僕を殺せる凶器をたくさん持っている。
 手が触れればきっと僕は、汗が噴き出しすぎて脱水かなにかで死ぬ。おでこをこつんとされたりしたら、そこからひびが入って全身の骨が砕ける。
 僕の告白はまさに命を懸けたもので、実らなかったら二度と立ち直れない精神の死が訪れるだろうし、実ったら実ったで、死ぬまでボコボコにされつづけるのだろう。

「す、すきですっ。付き合ってください」
「……うん。わたしも好きだよ。付き合おう」

 そして僕は、唇というものが一体どんな凶器なのかも知らないまま、重ねようとしているのである。

(了)

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