ツイッターでつぶやいた妄想物語まとめ5

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この世には3人、自分にそっくりな人間がいるという。まあいわゆるドッペルゲンガーってやつだ。有名な話だな
じゃあお前、こういうのは知ってるか? この世には3人、自分とそっくりな筆跡の持ち主がいるんだよ
それが、印鑑屋から来た領収書だったら、どんな気持ちがするか分かるか? なあ

おわり
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目が痛くてかいてしまった→いっぱいかいてるうちに多分傷ついた→かくのをやめると猛烈に痛い→かく→傷つく→止める→痛い→かく

自らを傷つけ続けた僕はいつしか左眼の暴走を止められなくなり、血の涙を流しながら、目玉を取り替える悪魔の契約に手を染める――

〜続かない〜
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「あすは嵐じゃな」
おじいさまはそう言って、小さなストームグラスを撫でた。しずく型のガラスに満たされた液体の底に、白い結晶が沈んでいる。
「湖が心配です。祈祷をしてきましょうか」
「しなくてよい。自然のなさるままにするのじゃ」
僕は密かに拳を握り締めた。
おじいさまも村の大人も、いつもみんなこうだ。ストームグラスのおかげで何が起こるかは分かっているのに、何もしない。見ていなさいと言う。
僕はいてもたってもいられなくなり、黙って家を飛び出し湖へ行った。
神様、お静まりください……
胸の前で手を組んだ瞬間、湖面が大きくうねった。そして、ざあざあと雨が降り出すと同時に湖が干上がり巨大なしずく型になって空中に浮かび、嵐を吸い込んでいった。
しずくの底では、人骨が結晶化している。
「だからお祈りしてはいけないと……」
背後からおじいさまの声がした。
突風に煽られ、体が宙に浮く。巨大ストームグラスに吸い込まれる。
僕は結晶になる。

(了)
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「おじいさま! 僕、拾い読みしてきました!」
「そうかそうか……お前も拾い読みするような年になったか」
「これからもっといっぱい拾い読みして、いつかおじいさまみたいに大きな拾い読み図書館を建てたいです」
「きっとお前にもできるぞ。わしの亡きあとに譲ってもいい」
「そんな! そんな縁起でもないこと言わないでください。おじいさまはいつまでも元気で、拾い読みするんですから」
「そうじゃな、お前が立派に拾い読みするところを見届けるまで……うっ、ゴホッゴホッ」
「おじいさま……っ!」

遠い昔の記憶だ。何故急に思い出したのだろう。
僕は『占星術と恐竜映画の歴史』を閉じ、きょうの拾い読みを終えた。
窓の外へ視線を移す。
たんぽぽに囲まれたおじいさまのお墓へ、来館者の親子が手を合わせていた。
おじいさま。拾い読み図書館はきょうも、皆に愛されています。

(了)

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