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最後の戦争から、まもなく199年になるらしい。
当時のことを知るひとは、皆200歳を超えている。
100歳を過ぎて全身サイボーグ化する前に、遺書的に書き残す人が多いらしく、いまはまだ、その手記をつなぎ合わせて、『戦争の記憶』を失わずに済んでいる。
僕のじいちゃんも、まもなくサイボーグ化手術を受ける。
孫孝行と呼ぶかは分からないけど、きょうはじいちゃんを連れて、旧戦闘地区を訪れた。
薄暗い室内に、切り取られたような枠――窓だ。
青くいきいきとした新緑が、絵画のように目の前にあって、それが豊かであればあるほど、199年の時を感じるのだ。
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