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「おい、大変だ! 世界からヤクルトが消えてるぞ!」
同居人に叩き起こされて、僕はベッドから転げ落ちた。
「……? ヤクルト?」
「ヤクルトで睡眠が改善したという話がSNSでバズって……」
なるほど、みんなが買いに走ったということか。
しかし、世界から消えたというのはいささか誇張が過ぎるのでは?
……という僕の心の声を悟ったのか、同居人はふるふると首を横に振った。
「ヤクルトが。世界中のヤクルトが、走って逃げたらしい」
「は!?」
「逃げたヤクルトが一斉に地下にもぐったせいで海面が上がって、まもなく日本が沈没する」
「そんなバカな!」
「バカなことが起きてるんだよ。ほら、逃げるぞ」
どこへ。疫病のせいで気軽に国外へ行くこともできないし、どうせみんな同じことを考えて、いまごろ空港には人が殺到してる。
僕が諦めモードで布団に潜り直すと、同居人は僕の体をバンバンと叩きながら言った。
(ごめん、3ツイートでたたみきれなかった)