絶対に川崎市民にしか伝わらない架空の戦記プロット「川崎戦争」

神奈川県川崎市。七つの区が分断され、独立戦争を始めた。
圧倒的軍事力の川崎区。タワマンからサイバー攻撃を仕掛ける中原区。多摩川から毒物テロを目論む多摩区。都内の傭兵を雇う高津区。バス網を駆使してスパイを送る宮前区。高みの見物の麻生区。
窮地の幸区がとった大胆な作戦とは?

武蔵小杉ブームの新住民が新興勢力となり川崎区へ圧力をかけたのが、川崎戦争の発端となった。

川崎戦争の要となるのはJR南武線である。
南北に細長い川崎市を縦断する。
南武線の駅を制圧していくことで簡単に陥落する地域もある一方、東急田園都市線や東横線、小田急線など、都内〜横浜方面と繋がりがあるハブ駅も存在する。

◆麻生区 - 不戦勝を狙う

麻生区は南武線が通ってないので、戦うまでもなく全滅するのを待てばよい。
住民は生粋の金持ちが多く、財力も豊富。
また、万が一戦闘に巻き込まれた場合でも、駅からほどよい距離に新百合ヶ丘総合病院がある。
大型ゴミ処理場・ヨネッティー王禅寺が、宮前区との境界で要塞の役割を持つ。

◆多摩区 - 毒物テロ

南武線の最北端。
梨畑が残る田舎で、区民の戦闘力が弱い。
理系研究室を含む私立大学が3校あるのと、多摩川上流であることを生かして、毒物を流す作戦に出る。
市立多摩病院は駅直結なので、登戸駅が陥落したら絶望。
ドラえもんミュージアムは戦闘への参加を拒否している。

◆高津区 - 都内の傭兵を雇う

田園都市線で23区からの傭兵を送り込む作戦。
溝の口駅は、田園都市線の二子玉川からの応援が望める一方、中原区寄りの南武線沿線住民は、武蔵小杉住みを諦め妥協したタイプも多く、先住民と新住民の間で分断がある。
溝の口に施設が集中しているため、一極集中で叩かれないよう、山の上のバス便地域住民が暗躍する。

◆宮前区 - スパイ工作

宮前区も南武線が通っていないが、麻生区と違って不利。
電車が田園都市線の3駅しかないため、高津区から都内傭兵を送り込まれると逃げられない。
区内に張り巡らされた市バス・東急バス・小田急バスを駆使して、スパイを散らばせる。
攻め込みにくい山の上に、聖マリアンナ医科大学病院がある。

◆中原区 - サイバー攻撃


区内に複数あるIT企業から人材を集め、タワーマンションからサイバー攻撃。
等々力競技場を利用する肉体派の住民も強い。
サッカーの川崎フロンターレ関係者は、戦闘には参加しないが防御の役割を果たす。
市民ミュージアムの古文書で、川崎市内の地盤の強さや元々川だったところなどが把握できている。

◆川崎区 - 圧倒的最強

区民全員が超戦闘民族。
川崎駅は3路線乗り入れているうえに、海沿いには工業地帯があり、軍事力も最強。
川崎の全権力である市役所は、商業施設のラチッタデッラに守られているため、簡単には攻め込まれない。
区内に大量の総合病院がある。
川崎大師周辺は神聖な力で戦闘不能になる。

◆そして、窮地に陥った幸区は……

最強の川崎区と新興勢力の中原区に挟まれた幸区。
土地面積が一番小さく、区境の要塞として機能するはずだった商業施設のラゾーナ川崎が、一瞬で陥落。
新川崎駅前の高層マンションも、中原からのサイバー攻撃で早々に機能しなくなってしまった。

多くの住民が横浜方面へ疎開するなか、夢見ヶ崎動物園を守るため、5人の少年が立ち上がる。

少年らが目をつけたのは、川崎駅の手前、尻手駅から出ている南武支線。
5駅しかないローカル線だが、川崎区の内陸地に潜り込める。
また、終点から鶴見線に乗り換えれば、工業地帯がジャックできるかもしれない。
鶴見線は、利用者のほとんどが工業地帯の労働者なため、日中は1時間に数本しか電車がこないし、工業地帯は一般の住居がないので、夜になれば動いてもバレにくい。

少年らは、時刻表を巧みに使った作戦で無事工場をジャック。
「このキャノン砲で、川崎戦争を終わらせるんだ……!」
しかしレバーを引く寸前、少年らは思いとどまる。
大好きな自分たちの生まれ故郷を、めちゃくちゃにしてもいいのか?
目をつむると聞こえてくるのは、川崎市内を走り回るゴミ収集車の音。

『好きですかわさき愛の街』

ほのかに哀愁を帯びたそのメロディを思い出し、少年らは、武力なしでこの戦争を終わらせようと決意する。

乗り捨てられた青い収集車に飛び乗り、大音量で音楽を流す。
戦闘民族だった川崎区民が目を覚まし、暴走族仕様のバイク民たちの協力を得て、川崎街道・南武沿線道路・第三京浜から大音量の『好きですかわさき愛の街』を流すと、市民は次々と武器を捨てた。

少年らは尻手黒川街道を北上した。
中原、高津、宮前を突破し、最終目的地の麻生区のゴミ処理場・ヨネッティーに着くころには、空は白み、平和な朝が訪れていた。

役割を超えた青い収集車たちが、続々と集まってくる。
こうして川崎戦争は終結したのだった。

◆結論

川崎市民のゴミ収集車音楽への脊椎反射はDNAレベルにまで染みついており、遠くからかすかに聞こえるだけで「ゴミ出さなきゃ!!!」となる。

ほんとはみんな優しい素敵な街ですので、ぜひ川崎に遊びに来てね!
(↓タップするとYoutubeの『好きですかわさき愛の街』が流れます)

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