見出し画像

第8回スポーツ医学塾 女性アスリートの問題

はじめに

11月30日(火)に第8回スポーツ医学塾が開催されました!
今回のテーマは「女性アスリートの問題」です!!🙎‍♀️
オリンピックなどもあり、近年女子スポーツがさらに盛り上がりを見せている中で女性アスリートに対しての研究なども行われております🤔
興味のある方も少なくないのではないでしょうか???👀
そんな女性アスリートについて今回は🧑‍⚕️鯉川なつえ先生、👨‍⚕️小林洋平先生のお二人にご講義いただきました!
そしてファシリテーターはスポーツ医学塾塾長の齋田先生です!👨‍⚕️

講師紹介

鯉川なつえ 先生

鯉川先生は順天堂大学体育学部体育科をご卒業後、三田工業株式会社の実業団ランナーとしてご活躍され、現在では順天堂大学健康科学部教授、女性スポーツ研究センター副センター長、順天堂大学陸上競技部女子監督を務められています!!
鯉川先生からはご自身がアスリートだった頃の経験を踏まえ、指導者としてどのように女子アスリートを守っていくのかということについてご講義いただきました🧑‍⚕️


小林洋平 先生

小林先生は順天堂大学をご卒業後、順天堂大学整形外科に入局し、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースのチームドクターを務められ、その後ジェフユナイテッド市原・千葉でもチーフドクターとしてご活躍されています!⚽️
小林先生からは、今までにチームで記録された選手たちの怪我の統計をもとに、疫学のお話をしていただきました!📊
また、女子チームと男子チーム両方を兼任されておられるので統計の性差についてもお話をしていただきました!🙎‍♀️🙍‍♂️

塾生の感想

怪我を早期発見

スポーツ健康科学部2年 小路武尊 さん
第8回スポーツ医学塾に参加させていただきました。
女性アスリートの3徴やメンタルなどのコンディショニング調整の難しさを改めて実感しました。
コンディショニングを調整するアプローチとして、女性アスリート外来やスラリマッスル、疫学調査等の取り組みについても学ぶことができました。
また、怪我の発生率を数値という形で出すことで傾向がわかり、そのデータをもとに予測を立てて対策をしていくことはすごく重要なことだと感じました。
特に講義の中で鯉川先生、小林先生のお二人が女性アスリートのコンディショニング不良や怪我を早期発見し、いかに予防するかということに焦点を当ててお話されており、予防の重要性を訴えていらっしゃったことが印象的でした。

「疫学」が大切

井出翼
小林洋平先生には、「スポーツ外傷・障害の性差」というテーマについてご講義いただきました。小林先生はジェフユナイテッド市原・千葉のレディースチームのドクターを務めた後、現在ジェフユナイテッド市原・千葉のチーフドクターを務められており、男女どちらのチームでもドクターをやられた経験からスポーツ外傷・障害に関してご講義いただきました。

まずは、疫学の観点からサッカーに多い怪我について学びました。男子では、肉離れ・靭帯損傷・打撲の順で多く、女子では、靭帯損傷・肉離れ・骨折の順で多いですが、重症度と発生率を合わせて考えると、女子ではACL損傷の発生率・重症度共に高く、発生率は男子の約5倍であることが分かりました。また、男子においては、ハムストリングスの肉離れの発生率・重症度が共に高いことが分かりました。
次に、要因・メカニズムの観点から、特に女子のACL損傷について学びました。女子のACL損傷の要因は主にModifiableとNon-Modifiableに分けられ、具体的にはModifiableでは、筋力不足や筋力不均衡、動作・バランス不良などが挙げられ、Non-Modifiableでは、下肢アライメント不良や関節弛緩性、ホルモン、遺伝などがあげられます。対面講義では、実際に7項目からなる関節弛緩性のテストを体験し、理解を深めることができました。
次に予防介入について、実際に小林先生のジェフユナイテッド千葉での活動を元に学びました。そこでは、FIFAが外傷・障害予防のために実施しているウォームアップ・トレーニングプログラムである「The 11+」や、FMS(Functional Movement Screen)、FMSをジェフ千葉で女性アスリート向けに改変したJ-FMS、ジェフ千葉で実施しているWeekly Checkなどを紹介していただきました。

今回の小林先生の講義を聞いて、スポーツ外傷を見るにあたり、性差や性別に特異的な外傷・障害を理解することが重要で、それを踏まえた評価や介入をする必要があるということを学びました。また、予防の観点では、以前の齋田先生の講義でもありましたが、「疫学」が大切になってくるということを今回の講義で再確認することができました。

最後になりますが、貴重な講義をしてくださった小林洋平先生に深く感謝いたします。

"競技力と健康"

医学部1年 廣瀬凜
順天堂大学女性スポーツ研究センター副センター長で順天堂大学スポーツ健康科学部教授の鯉川なつえ先生より、女性アスリートの”競技力と健康”を両立させるコーチングをテーマにご講義いただきました。女性アスリートの健康と競技力向上の問題に対する社会的認識がまだ低い日本において、順天堂大学は研究やアスリート外来などの取り組みによってスポーツ医学界をリードしているため、今回受講することを楽しみにしておりました。
女性アスリートが直面しやすい課題としては大きく分けて3つが存在し、具体的には身体, 生理的なもの(身体の変化や月経)、組織, 環境的なもの(女性のスポーツ参加の機会, 社会的評価, ライフスタイルとのバランス)、心理,社会的なもの(周囲の理解等)だそうです。この3つの課題があらゆる世代に同時多発的かつ相互的に発生しているのが日本の女子スポーツの現状であり、発展のためにはこれらをすべて解決することが不可欠だと学びました。
さらに身体, 生理的な問題について詳しくお話を伺いました。利用できるエネルギーの不足、骨粗鬆症、視床下部性無月経の3つは、女性アスリート特有の健康課題として FAT(Female Athlete Trial: 女性アスリートの3主徴)と呼ばれているそうです。
アスリート自身が正しい知識を持ち、正確な判断をできるように包括的にサポートすることがコーチやアスリートに関わる全医療従事者に求められていると感じました。
鯉川先生、貴重なご講義をありがとうございました。

組織環境的な問題

医学部1年 三原桜子さん
女性アスリート特有の問題について鯉川なつえ先生にお話を伺いました。女性アスリートは月経などの身体・生理的な問題に加えて、ハラスメントなどの心理・社会的な問題、また男性と比べて競技への参加機会が少ないなど組織環境的な問題も抱えていることを知りました。これらが相互的に作用してしまうため、これら全てを解決する必要があります。これらの問題を解決するために順天堂大学には女性スポーツ研究センターが設置されています。 FAT(女性アスリートの3主徴)として、エネルギー不足、機能性視床下部性無月経、骨粗鬆症があります。FATはパフォーマンスの低下や疲労骨折などの怪我に繋がってしまうので、早期からの予防が必要となります。順天堂大学で現在行なっている予防として、DEXAという骨密度を測定する検査を毎年行なったり、順天堂医院に女性アスリート外来を設置しています。今回は女性アスリートが抱える問題についてお話を伺うことができました。前から興味があった話題だったので、とても勉強になりました。FAT は女性アスリートの中でもまだま だ認知されておらず、苦しんでいるアスリートも多いと思うので、もっと知識が広まり女性アスリートのパフォーマンスが上がるといいなと思います。


最後に

今回は鯉川先生と小林先生のお二人に女性アスリートについてご講義をしていただきました!🧑‍⚕️👨‍⚕️
塾生の皆さんからも数多くのお声をいただき、女性アスリートについて開催できました!🙇非常に多くの学びの機会になったと思います。
今年の講義は今回で終わりになります❗️❗️
来年の1月にリバプールトレーナーのWatanabeさんの夢先生レクチャーを予定しております❗️🤩
それでは、良いお年を!!🙇

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?