僕のひこうき雲  4

某月某日

消極的な感情は無視され、否応なく時間は流れ始める。

僕達は日常生活を始めなければならない。

今日から息子(中学二年生)に登校を再開してもらった。

妻の病院にはお昼過ぎには到着して、何ができないかもしれないが、どうしても気持ちが不安定になりがちな妻の側についていたくて、必然的に午前中に家事や事務作業を集中させなければならないことになる。

朝はまだ夜が明けない午前5時前に起床する。

あまり眠れた気はしない。

はじめに妻が作ってくれた神棚のお水を取り替え、お線香を焚いて、手を合わせて今日一日の家族の健康と平和と幸せを願う。

その後、朝ごはんの支度に取り掛かる。洗濯、掃除、ゴミ出し、息子の制服のアイロン掛けも黙々とこなす。

午前6時30分に息子に「おはよー」と声をかける。

息子は妻が入院してからは全くぐずることなく、「おはよー」と目をこすりながら布団から出てくる。

まだ14歳で、きっと僕の想像より気持ちの負担があるはずの息子にはせめて温かいご飯を食べてもらいたくて、クラシルやクックパッドを見て作った一汁三菜(いや一汁二菜か)のご飯を並んで一緒にいただく。

「それでは、皆さんご一緒にいただきまーす」「いただきます。」
「よく眠れた?」「うん。」
「佃煮いる?」「ううん。」

まだ寝ぼけまなこの息子なのでその程度の会話だが、朝食は僕の中ではゴールデンタイムだ。

登校の準備が整ったら、病院で妻に見せるために、制服姿の息子を一枚写真に撮る。

毎日お願いすることになっているが、息子は嫌がることなく、毎回ポーズを決めてくれる。

午前8時前に生徒会長のために皆より早く登校する息子とグー✊を合わせて、エネルギーを注入する。

「行ってらっしゃい」と手を振ると、息子はこちらをちらちらと振り返りながら、さりげなく手を振り返してくれる。

今日は、息子のおやつとお帰りなさいの置き手紙を書き、夕ご飯の支度をした後、

健康保険の限度額認定証の発行依頼のため協会けんぽに行って、息子の塾に休会の連絡をし、会社に介護休業の相談の連絡をしてから、洗濯物などを持って病院に向かう。

慌ただしい方が時間は早く過ぎて、考えてしまう時間を奪ってくれる。

※この記事は投げ銭記事です。投げ銭は医療費とさせていただきます。何卒、宜しくお願い申し上げます。

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妻が倒れてから、感情を言葉にすることの大切さを実感している。拙くても不器用でも、妻への思いは送り続けたい。