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KING OF KINGS 2019現場レポート 3

去年2018シーズンのレポート
2019レポートその1
2019レポートその2

明確なアンサーが聞こえないまま「ストーリー」を持っている強さで勝ち上がるRAWAXXXと、実力と勢いを持ち込んで勝ち上がってきたAuthority。準決勝での盛り上がりを見る限り、観客の期待感は圧倒的にRAWAXXX側にある。

15、RAWAXXX vs AUTHORITY - O.N.O
決勝のビートは毎回大物なので楽しみだが、、、今回はO.N.O!!レジェンドTBHRもバトルビートを提供してくれるのか!!
当然これを絡めてバースをはくRAWAXXX
R「TBHRは北からの革命、俺は南からの革命」
AU「王様は二人もいらねえ」
R「背筋伸ばして届く太陽。お前オリジナリティが足りねえ。」
AU「太陽は上だけじゃねえ、下にも太陽あるんだぜ」
R「それはミラーボールの話か?」
AU「ナンセンス?俺の感性をお前が決めるな」

Rはビートアプローチが全くぶれない。精密機械の正確さで言葉を出していく。そこは少しずれるものの、まっすぐにアンサーして、120%即興のAU。(Twitterによると、「下に太陽」はRAWAXXXの曲のリリックからの引用だった模様。すご)
観客はAuthority、ジャッジがドロー。延長へ。

延長は多分前回の決勝ビートなはず。
R「お前は個性の一つもねえ」
AU「テンプレート、チェックメイト、ゲームセット」
R「色がないからその派手な服着てるんだろ」
AU「俺の色が派手に見えてるお前が色眼鏡」
R「そのオーバー典型的な若手のスタイル」
AU「その若手のスタイルで最先端走っている、つまり俺がスタイルだ。スタイルは目で見えるものだけじゃねえ、耳で吸い込みな」
R「何を語ってくれてんだ、俺の人生はまだ語れねえ」
その場でも、思い返してもAuthorityは完璧なアンサーだったと思うのだが。。。観客もジャッジも揃ってRAWAXXXに。

個人の感想

毎回しっくりこない部分のあるKOKだが今回ほど優勝に納得感がない「試合」も珍しい。
優勝者が納得いかないのではなく、優勝の過程が納得いかないのだ。
RAWAXXXは前回の惨敗から「2019年、何の王者になることなく」参戦した大会で、参戦自体に納得感が薄い。(恐らく参加MCのインパクトが弱いのを感じてオファーしたのでは)
その分、この1年のストーリーをリリックにして納得させなくては
「突然外から呼んで優勝させた」「去年とか一昨年惜しかったので今年はあげました」みたいな話になってしまう。
呂布の言う通り「去年の恥をどうひっくり返しに来たんだ」に対して全くアンサーの無いまま勝ってしまい
Authorityに対しても「お前は色(個性)がない」というひどく平凡なディスを続けただけの2本目。
もちろんラップはめちゃめちゃにうまかったがそれってKOKの優勝者の条件でしたっけ?ジャッジの得点に「アンサー」「パンチライン」ってめちゃ大事な要素じゃなかったっけ?ていう。
前回でもnoteに書いた「KOKと観客が勝たせたいMCが決まっている感」が「その場の一瞬で決まっていく感」を遥かに凌駕してしまっているのが気持ち悪く、歴代でも最も冷めた目で会場を後にした今大会だった。
彼がこの1年の体験や思考で負けから這い上がった何かがあったり、去年はできなかった呂布へのアンサーがあったりすれば全く文句なかったと思うが。

ここが良いねKOK

・試合がコンパクト。もうUMBに行く元気はない。
・今年のオープニング最高かよ。
 Anarchyのアカペラに心震えない人間はおらず、それこそMCとしての格の差を真っ先に提示してくれた
・名トラックメイカー達のショーケースにもなっている全オリジナルビート
 毎年決勝トラックメイカーが豪華なのもたまらない。まさかのO.N.O!

ここを直すべきKOK

・ジャッジ内容の公表
 ジャッジの感想がベスト8決定、4決定、決勝前とあるのだが誰もが口を揃えて「接戦」「僅差」としか言わない。
 欲しいのは「僅差な中何を決めてとしたか」や「じゃあ実際何対何だったのか」など「ジャッジに対する根拠」で観客を納得させて欲しい。それだけがジャッジの責任なのに。「良い試合だった」とか、感想はジャッジの仕事ではない。
・ジャッジメンバーのバランス調整
 さすがに100%フリースタイルダンジョンで全員ラッパーなのは、ジャッジ全員のファンである自分から見てもバランスが悪すぎると思う。
・プレイオフの廃止、代わりに各準優勝者かUMB・戦極ベスト4全員呼ぶ
 KOKの当初からの問題が毎度気持ち悪い。戦極やスポットライトなど激戦を優勝したMCと、参加者割れの予選優勝者およびそこからも漏れたのにプレーオフで出られるMCとのレベル差が激しい。戦極のベスト16の方がよっぽどレベル高い試合している。日本一という称号の納得感の薄さが参加者全体のレベルから来ている事は真剣に捉えてほしい。優勝した人たちの大会、という理想に現実が追いついて無く、こんなんなら開き直って優勝者8名+人気投票8名の方がまし状態に
・生放送は必須
 視聴者数が少ない事も、日本一の称号を薄くしている。誰もが見て、誰もが熱くなる試合をした勝者なら、それは必ずスターになるし、大会も必ず人気が出る。優勝者がどんな無名でも問題ない。M1グランプリのように。生放送が例え良い条件で来なくても、無理してYoutubeライブしたりするのが長い目で見て大会としての格になる。Youtubeで見てたらそのうち現場に行きたくなるから、そこはチケット売れなくなるのを恐れずにやってほしい。

来年は、そろそろ本当に行かなくなるかもしれないが、もしあれば来年をお楽しみに。

サポートされたら、俺はその倍額を寄付する。倍返しだ。