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「もう二度と観たくない」 パラサイト 半地下の家族 〜地上編〜ネタバレ無し

話題沸騰の映画「パラサイト 半地下の家族」の感想と考察です。3編の構成でお送りします。
地上編:ネタバレ無し。全体的感想
半地下編:ネタバレ有り。テーマと社会背景
最地下編:ネタバレ有り。各論、細かい描写に関する予想

見終わった直後の個人的な感想を言うのなら

「もう二度と見たくない」

余りにもストレスが多く、エンディングも含めて「何も快感をくれない」という
観終わった人を全く幸せにしない映画だと。見終わって何時間、何日経っても、身体の内側にこびりついている気持ち悪さは、それこそまるで「臭い」のように消えない。
実際に映画の中で起こった事も、それが象徴する現実も、全くもって嫌な気持ちにさせてくれる。それを、心に差し込むつもりで作ったのだろうから、見事に監督の思い通り

嘘、騙す、盗む、罵り合う、争う、暴力、、、

思いつく限りのあらゆる嫌な事が起こり、それが非常に現実的メタファーであるのも含めて非常に不快にさせてくれる。
こんなに「見たくない現実」を見たくない。見せないで欲しい。

ここまでして不快な形で現実を表現されなくてはいけないのか??

というと、確かにそうなのだろう。韓国の社会背景をあちこちから聞くに、納得せざるを得ない。また、これがアカデミーを取り、興行も世界的に絶好調な事からも、これは世界的な共通項なのだろう。


カンヌ・パルムドールどころか、アカデミー4冠、史上初の外国語映画で作品賞まで取ってしまった、歴史に刻まれる超成功作品ながら、その中身自体は「非常にマニアック」。
けして誰が見ても楽しい映画ではないし、誰もが見るべき映画でもない
脚本や構成が恐ろしく良くできているものの、どちらかといえば「カンヌっぽいアート映画」だし、リテラシーを要求してくる小難しい映画だ。
間違っても子連れやカップルで観に行ってはいけない。

この映画を見るべき人

・メタファーが多く、解釈が必要な映画が好き
・社会問題に強い興味がある
・自分の現状に不満が多い
・見た人と語り合いたい

見ない方がいい人

・幸せな気持ちになりたい、そういう映画が見たい
・映画は難しく考えずに楽しみたい
・血や衝撃の強い映像は嫌だ

映画のジャンルは、コアな要素からするとサスペンスだが、最初はコメディだし、スパイ映画チックだし、説明のない描写の多さはアート映画。

あらすじ
「半地下の家族」という日本語副題の通り、
主人公は低所得者が住む「半分地下」のアパート(a1)に住む貧困家庭。
ピザ屋の箱を畳む内職(b1)をするなど、かなり厳しい生活ながら仲良く暮らしている。
長男ギウは親友ミニョクから「金運と合格運のある」水石(飾る為の石)(b2)をもらう。同時に自分が留学する間家庭教師のバイトを引き継いでくれないかと頼む。
超名門ソウル大学に合格したと書類を偽造(b3)し、家庭教師先の超豪邸パク家に入ったギウは、長女ダヘの家庭教師になると同時に、下の子ダソンの絵画教師として妹のギジョンを他人として推薦する(b3)。
2人は知恵を使って父ギテクを運転手、母チュンスクを家政婦として雇わせる事に成功するが、、、


という辺りまではあらすじとして語って問題ないレベルかと。
(a)は第2段で語るポイント、(b)は第3段で語るポイントです

話の展開自体はわかりやすいのに、
シーン描写の意味などは曖昧な為、観た人がそれぞれ違う解釈をするであろう今作いろんな人と議論しあったりするのが面白いと思います。

ただし、やっぱり人によっては観ない方がいいかもしれません。


次回へ続く

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