あなた、まだ毛があるの?【エッセイ部門応募作】
「髪の毛以外、ぜんぶムダ毛」
その看板を目にしたのは、意識が飛びそうなほど暑い夏の日。額に流れる汗を拭き、私はボーっとその言葉を頭の中で繰り返す。
カミノケイガイ、ゼンブムダゲ……
あまりのパワーワードに、身体中の毛根が震えあがる。
夜になると、どの店を選ぶか迷うほど活気あふれる居酒屋が並ぶ駅前商店街。しかし、昼間のうちは、どの店もシャッターの瞼を下ろして眠りについていた。
そんな飲み屋街の中にポツンと、その店はあった。どうやらメンズ脱毛の店らしい。
ムダ毛と向き