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阿片について【事前学習事後出し】

 外題が決まった瞬間、「阿片を吸うわけにはいかんか?!?!?!しかたあるまい、本を読む!!!」となって以下です。「永倉氏の気持ちを分かりたい、知りたい」と強く願った結果です。
 あくまでメモですが…もし、もう一度芝居を見る機会があればご一読されてから見るのもありかもしれません…ふふ。

【ケシの花】
・花言葉「慰め」「忘却」「眠り」「惰性」「無気力」
・麻薬「アヘン」や「ヘロイン」、医療用の麻酔薬「モルヒネ」などの原料。赤色、ピンク色、白色、紫色など。花は悪臭がする。

【阿片】
・オピオイド(オピオイド系の鎮静鎮痛剤は現在も手術後やがんの痛みに対して用いるが、強い効果があるが依存性もあり管理が必要なもの)
・当時はケシの未熟な果実の汁から作った
・種類→ 液体や粉末より煙で摂取する方が、即効性がある。
 ⚪︎阿片散(粉末)…淡褐色、モルヒネを混ぜ調整された粉末(現在のもの)
 ⚪︎阿片膏(個体)…汁を固めてキセルで吸える様にしたもの
 ⚪︎阿片チンキ(液体)…瓶に入っていて、経口摂取するもの、何滴で数える(常用者は何千滴と飲んだそう)

【ド・クインシー(2007年)『阿片中常用者の告白』岩波書店/原文は1822年のもの】
・織物商の次男として生まれる。父が約3万ポンドの遺産を残して40歳で病死したため、4人の後見人の手に委ねられて育つ。大学進学をめぐる後見人との意見対立のため、家出し宿無しの放浪生活を送る。後見人と和解が成立したため、大学へ。19歳、当時合法だった阿片を、歯痛(頭痛?)への鎮痛剤として用い始める。
・「阿片!想像を絶する快楽と苦痛とを呼び起こす恐るべき力!」「薬種商ーー天来の喜びをそれと知らずに与える者!」
・「私は飲んだのだ。ーーそして1時間後、おお!なんたる恵みか!なんたる激変か!内なる精神の奈落のどん底からのなんたる高揚か!(略)今、ここに、万能薬がーー 一切の人間苦痛を癒す鎮痛剤があった。」
・飲酒と阿片の快楽は断じて違う。飲酒の快楽は極点で下降していくものだが、阿片の快楽は一度達すると八時間ないし十時間継続する。「飲酒は炎で、阿片は一定不変の輝きである」
・酒は判断力を乱し曇らせるが、阿片は判断力が研ぎ澄まされ、人間の健康な肉体の生き生きとした感覚がする。動乱したものを鎮め、錯乱したものが集中する。道徳的感情が曇りない平静の状態になる。
→と、感じていたが権威ある医者に「毎日阿片に酔ってでたらめを言っている。」と指摘される。
・阿片を飲むと高揚するが、その後にそれ見合うだけの無気力が襲う。
・阿片はあらゆる感情を支配して自分に従わせ、その鬱屈を解き放つものだったから、悲しい時に阿片の力を借りた。幸せになり、時が経つのも忘れた。
・8年間、阿片を飲むのに3週間ほどの十分な間を取っていた。しかし、ある日胃炎になり強烈な痛みと幼少期の胃炎のトラウマが襲った。そこから、阿片を食餌するようになる。
・阿片中毒になったのは、快楽の興奮状態を人為的に生み出すためだけではない。快楽を得るためには時間を置く必要がある。それでありながら、阿片を食餌したのは耐え難い苦痛(激しい胃痛、発汗)を和らげるためだった。
・悪魔や悪夢に重くのしかかられている様で(致命的な気だるさで縛られている様で動けない)日々の義務を怠けて引き延ばしにしてしまう。このことに対して当惑し、無力感や己の無能を感じる。阿片を服用しても道徳的感性は失われず、むしろ研ぎ澄まされている。
・次第に、現実で見た幻影を夢で見る様になった。幻影の中では全てのものが膨張していて、人物や建物は巨大になり、時間は一晩が何千年になった。
 ある日見た夢では熱帯であらゆる動物や植物や習慣や現象がいっしょくたに一つになって、集まった。間も無く神までも同じ法則で一つになった。猿やインコに馬鹿にされたり、寺に何世紀も閉じ込められたりした。かと思うと、神として崇拝された。また癌を患ったワニに接吻された後で、あらゆる生き物たちとごちゃごちゃになってナイル川の泥の中で横たわっていた。
 次第に夢の幽閉感と怪異が恐怖に変わり、気が狂いそうになった。理不尽なほど永遠に続く物語に「もう二度と寝ないぞ」という激しい叫びが口をついて出た。
・夢の中で子どもの頃の情景を見ることもあった。現実では詳細に思い出せない様な過去が夢でははっきりと眼前に広がった。
・阿片を絶とうと減量した期間で、ひとつの生命から別の生命にうつる苦しみを味わった。一種の肉体的再生である。

【ジャン・コクトー(1952年)『阿片』角川書店】
・阿片がもたらす快感は健康の快感以上のものだ。阿片のおかげで完全な時間を味わった。医学が阿片を解毒する方法を研究しているが、阿片を無害なものにする研究があればいいのに。
・他の薬物より阿片が染み込みやすい。肺が瞬時に煙を吸収し、効果はすぐに現れる。
・阿片をやめてしまうと人生は退屈だ。全ての事象が死に向かう急行列車の中で行われている様に思えた。
・恐ろしく頭が冴えて野心的であった。眠らないから、理解したり、生活したり、愛したりすることができなかった。(半秒ほどの果てない睡眠を取ることはあった。)
・阿片による弊害として、無気力、物憂さ、白昼夢が挙げられる。
・阿片は人を奴隷にする。阿片が欲しくなる時間はいつも正確である。
・阿片は性欲を失せさせるし、決してこちらから離れられない様に仕向けるくせに、最後はこちらを捨てる。阿片ほど嫉妬深い恋人はいない。
・「阿片は生命を停止して人を無感覚にする。あの気持ちよさは一種の死から来るのだ。」
・阿片は人を非社会的にし、共同精神から遠ざける。阿片は社交性を取り上げてしまう。

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