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人生を変えてもらったと言われて。2010年のある日のこと

アーティスト安藤エイムくんの映画に昔の僕がでます!とか言って調子に乗っていたけど、ちょっとワンシーン出るくらいのものだと思っていた。

実際に見させてもらったらチョイ役どころかめっちゃ長々。

驚きました。

11年前美容師をやめて日本を野宿とかヒッチハイクとかしながら放浪し、出会った人と握手をするという意味不明な旅をしていたときの僕が映画の中にいました。

映画なのでもちろんいろいろと設定がある中での登場でしたが【JUN】という名前、握手しながら旅をしていたこと、ボードに書いてカウントしていたこと、美容師をやめて旅に出たこと、出会った晩にウイスキーミニボトルをラッパ飲みしてたこと、モッズコートを着てたことなど忠実に再現されていて。

「え、俺こんなキャラだっけ?」とも思ったけど酔っ払ってたら確かにあんな感じな気がする…と思って、妙にリアルだなと。

なんか僕を客観的にとらえてそれを役に落とし込んで動いて話している人を見たときに「人からこんなふうに見られてるのか」というのにも気づけて、すごく不思議な感覚でした。

ネタバレになってしまうのでサラッとしか書きたくないけど、夢を病気で諦めてどうしようっていうタイミングでフラフラっと僕が現れ、その時僕がやっていたことや語ったことに背中を押されて旅に出ることにしたという。

物語の中で「JUNさんに人生を変えてもらった」というセリフがあったりして、よっぽど重要なキャラっぽかったけどそれがまた不思議で。

実際に11年前の冬に愛媛で出会ったときの話なのだけど、そこで僕に影響されて旅に出て、いろんな出会いがあって、よかったんだって。

映画完成前も、公開当日も本人がわざわざ電話をくれたりして、お礼をいってくれて。

僕から言わせれば「え、なんで?」っていうくらいそんなに大したことをしたつもりがないのに、なんでそんなことになってるのかと驚いたりもしました。

しかし、そんなもんなのかもしれないと思うのです。

僕だって美容師やりながらクッソ病んでて、何がしたいかわからなくなって、クヨクヨと悩んでいたときに東北を旅してみて、そのときに出会った旅人の生き様を見て、そして酔ったオッサンの適当な言葉に感動して「俺も変わりたい」って思って美容師をやめて放浪の旅にでました。

僕の中では旅人とおっさんとの出会いは美化された感動的な一晩だったし、ターニングポイントだったけど、旅人にとっては多くの出会いのうちの一つでしかなかったかもしれないし、おっさんに至っては酔って覚えてないかもしれない。

けど"そんなもん"なんだと思う。

そんなもんに人生を変えられた。

そして僕もまた"そんなもん"として、悩める少年の背中を少し押してしまったのかもしれない。

人生なんて実はものすごくザックリとしていて、大きな決意をしたから何かがガラッと変わるわけではなかったりする。

「絶対にこうなろう」って思っていろいろアクション起こしてみても、失敗が続けば嫌にもなるだろうし、それでも続けることが苦しくなるかもしれない。

なんとなく手に取ったギター、なんとなく出会った人、なんとなく聞いた話、なんとなく思いついたこと、そんなことのほうがゆるゆると続いたりもする。

気がつけばその道で成果をだしていて、振り返ってみれば「あの時ギターを手にとって人生が変わった」なんて思うのかもしれない。

きっと毎日がそんな瞬間で溢れていて、どこをどう切り取るかはその人のその後の人生次第なのだと思う。

だけどやっぱり、そこには運命的な奇跡的なものもあると思う。

やはりそこでその人に会ったこと、もらった言葉、見た光景、感じた熱量には出会うべくして出会っていると思う。

僕もきっと病んで東北に行ったことは偶然ではないと思う。

そして旅人や酔っ払いに出会ったことも。

巡る。

そういうことなのだと思う。

僕が影響されて旅に出て、その時も進行形で人生には悩んでいたけど「こうかな?ああかな?」と模索はしていたし、日々を楽しもうとはしていた。

真冬の知らない街で、宿もなく、知り合いもいない夜。

ウイスキー片手に、街頭で街の人と話をした。

不安がなかったかと言われれば嘘になるし、実際お金もない、仕事もない、キャリアもない、なにもないような人間が不安がないわけがなかった。

何もできない。

だから握手をしてみようと思った。

そうして出会った人が1000人以上。

その中で、人生の転機だったとまで言って映画にまでしてくれる人がいたということは驚くべき奇跡的なことだと思う。

まさか後年世界を旅して1000人の髪を切るとかそんなことをやるとは当時は思っていなかったけど、その頃からやはり僕は僕なのかもしれない。

2010年、22歳のときの自分。

幼かったと思うし、言ってることもやってることも子供のようだったのではないかと思う反面、やっぱり今と変わらないような気持ちや言動をしていたようにも思う。

たぶん重要な部分はそこまで変わっていなくて、もうすでにそのときには自分は自分だったように思う。

小さなノートを持ち歩いていた。

そこに出会った人からいろんなコメントをもらって日本を周った。

今でも大切に持っていて、僕の宝物。

読めばあの寒かった冬に暖かい人にたくさん出会った記憶が蘇る。

今回映画を見たことで本当に数年ぶりにペラっとめくってみた。

最初には自己紹介が書かれていて、その隣には握手の旅第一号のコメントが。

当時美容室の一応後輩だったまなぴょん。

ミンティア以外に大切なもの見つけてきてください笑…ってw

大切なもの他にもあったと思うけど思い出せないw

その日のことはすごく覚えているのだけど、あれから旅が始まって何百人と出会って愛媛にたどり着いて。

あーなってこーなって、今映画になって。

僕は一人旅に出たり、海外も一人で行ったことはそれ以前もあったけど、本当の旅のスタートはこの2010年末に美容室を辞めてリュック1個持って変なことをし始めたあの日だと思っている。

やっぱり不安だったし、未知の世界だったから怖かったとも思う。

けど最初の最初にやっぱり笑顔で送ってもらったのは大きかった気がする。

だから世界も旅したのだろうし、またこれからもそうするのだろう。

まなぴょん本当にありがとう。

もしかしたらまなぴょんもその日のことは"そんなもん"でしかなくて、ただ旅に出るとか言ってる奴がいたなくらいの人生の一コマでしかないのだと思う。

しかしそうして"そんなもん"で自分は変わり、意志を持ち、その想いは巡り、巡り巡って誰かの人生をまた変える。

そんなもんは偉大な一コマだと実感する。

もしいつか僕が安藤エイムくんと同じように映画か小説か何かで自分の人生をネタに作品を作るという日がやってきたら握手の旅は絶対に入れる。

だからそのキッカケ、旅に出た日も絶対に入れると思う。

東北の旅人タカシさん、酔っ払いのジョージさん、旅立ちの記念すべき一人目まなぴょん。

それは1000人ヘアカットの旅も同じ。

自分史の中での本当に大切な一コマ。

安藤エイムくんに今回なぜかめっちゃ感謝されたけど、作り上げられた映画を見て僕もやっぱりその気持ちがめっちゃわかった。

要所要所で出会った人ってもう普通の人ではなくて、一生モンなんだ。

そういう特別な人たちが人生の中でアチコチにいるから今があると思うし、僕も感謝している。

連絡先を知らない人もいるけど、もしいつかまた会えたら、ビールでも奢らせてもらいたい。

会えるなら、僕は会いたい。

そういうことも考えさせられた、いい映画でした。

ふと自己紹介のところも読んでみたら、夢に「うどんやさんをやること」とか書いてあって。

今やってるし…笑

海外に住むことも世界一周することもやった。

11年前にすでにこんな未来を思い描いていたのだろうか。

宇宙人と友達になるとも書いてあるけど、それはまだ叶っていない。

けどきっと叶うのだろうな。

旅は道連れ世は情け…いい言葉だ。

最後に、映画は本当に楽しめました。

音楽も映像も好きだったし、ストーリーも好きでした。

ぜひ機会があれば見てみてください。

安藤エイムくん、映画公開おめでとう御座います。

2014年世界一周の旅を始め世界40カ国で1300人以上カットし帰国。3ヶ月後東京に美容室Up to Youをオープン。本出版、テレビ出演、講師、コンサル、ブログなどやりつつ美容師コミュニティサロカリも運営。超超エリート株式会社の社長。ギャル男ではありませんネクラです。