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マグルの私、ヴォルデモートに慄く【ハリポタが好き過ぎる】

ハリー・ポッターと謎のプリンス。
シリーズ全7作の中の第6章。
私はこの章が1番好きだ。
なぜなら、あの宿敵ヴォルデモートの過去が紐解かれていき、ハリーがこれから進むべき道が明かされる、肝の部分を教えてくれるからだ。
そして、ハリポタ界では大人気のスネイプ先生の過去も暴かれる。
スネイプ先生の胸の奥深く、抱えた心の傷。
もうワクワクと驚きの大渋滞。

①原作が素晴らしい。ヴォルデモートの母はスリザリンの末裔、家族からの虐待でスクイブ扱い

自ら「純血」の魔法使い、魔女を好み囲い込もうとする闇の魔法使いヴォルデモート。自身は「半純血」の魔法使い。父の名はトムリドルシニア。
マグルである。母はメローピーゴーント。ホグワーツ魔法魔術学校の創設に名を連ねるサラザールスリザリンの末裔の娘。名家の生まれながら、父と兄から虐待をうけて育つ。そのため魔法を積極的に使わない臆病で気弱な娘。

「家柄の良さ」が何よりの誇りである傲慢な父と兄。
メローピーはこの2人から家庭内暴力を受けて育つ。
出来損ないのスクイブ!というそしりを受け続ける惨めな娘。
おそらく魔法学校にも通わずに自身を抑圧し殻に篭る日々を過ごす。
しかし、事態は動く。メローピーを悩ませる元凶の2人がアズカバン(魔法界における監獄)に収容されると彼女は自己を解放し大胆な行動に出る。
ハンサムなマグル、トムリドルシニアに一目惚れをして魔法を
使って彼を射止めてしまう。「魔法で自分に惚れさせてしまう」のだ。
自身がかけた魔法を忘れ、現実の夫トムに溺れて愛されているとうっかり勘違い。魔法が解けたら無残に捨てられる。そして息子を産んだ後、失意のままに命を落とす。
なんて、悲しい人生なのだろう。
悪のカリスマ、ヴォルデモートの母がこんな惨めな人生を送っていたなんて、と初めて読んだ時は衝撃だった。でも、現実だって「まさか」「意外」「想定外」の連続でできている。
悪の子供は悪、親が善でも子が再び善とは限らない。
メローピーの意図しない自己解放が悪の化身を生み出してしまった悲劇。

②やっぱり親子!息子ヴォルデモートと母メローピーは似ている

サイコパスモンスターのヴォルデモートに対し、メローピーはあまりにも頼りない母。マグルの父トムリドルシニアの方が似ている部分が目立って見える。でも、本当にそうだろうか。
父親似の部分は容易に挙げられる。まず、わかりやすく美しい容姿。原作ではそっくりそのまま父親譲りの外見とある。この美貌は人(主に女性)を翻弄していくツールとして利用されていく。「マグル」という存在を忌み嫌うヴォルデモートにとって自身の父がマグルだなんておぞましい、消したい過去。その父親の顔を愛せるわけがない。
次に傲慢な性格もおそらく父譲り。外見と地元で羽振りが良い程度の金持ちであった事以外はいいとこなしのクズ男。
メローピーは「外見超重視」のすこぶる面食いで、視野が狭い。
そう、この視野の狭さが息子ヴォルデモートに似ている!
人を上部だけで判断してしまう浅はかさ。
虐待され遠ざけられ、心の機微が育つことなく短絡的思考で行動する。
あっ!また似ているところ発見。短絡的思考の持ち主である。
ヴォルデモートが慎重で内省的な人物であったなら、スネイプ先生が二重スパイである事も見抜けたのかもしれない。
「純血、純血」「予言、予言」と自身にひっかかるワードばかりに気を取られ、人生を左右されてしまう。結局、思い込みの激しさから綻びがでて身を滅ぼす。分霊箱(魂のスペア、死んだ時の保険として殺人を犯して作る悪の器)を作れば俺死なない!俺は特別な人物だから栄誉ある品々に魂を保管したい。なんて浅はかな事でしょう。
偉大な魔法使いダンブルドアは全てお見通しだった。分霊箱の保管場所、全て情報が整い探し当て、破壊する事が出来たのはこの詰めの甘さのお陰だった。
母メローピーには同情もする。魔法で好きな男性を惚れさせるよりも、もっと着実に人生を歩める手立てを探し導いてくれる人がそばにいたなら幸せになれたかもしれない。

③スネイプ先生、ヴォルデモートと共通点が多くても愛を知る男

第6章ではスネイプ先生が愛に生きた男である事は明かされない。
どちらかというとダークサイド寄りでありハリーにとって親を侮辱する天敵として存在する。
スリザリン出身であり闇の魔術に傾倒した時期もあるグレーな経歴。
タイトルの「半純血のプリンス」とはスネイプ先生のことである。
母親が魔女であるアイリーンプリンス。そう、プリンスとは「王子」ではなく「ただの苗字」であるというオチ。
スネイプ先生、ひねくれているから「王子」でミスリードされることも狙っていたかもしれない、ダブルミーニングの妙である。
父親のトビアススネイプはマグルであるため、スネイプ先生は半純血の魔法使いであり、ここがヴォルデモートとの共通点である。そして寮も同じくスリザリン。「純血好き」なヴォルデモートにしてはスネイプ先生を可愛がる。どこか境遇が似ていて共鳴するところもあるのだろう。
ホグワーツ時代からカリスマで人気者のヴォルデモートと違うところはスネイプ先生は学生時代に虐められていたこと。
虐められた相手がまさかのジェームスポッター。主人公ハリーの父親だ。
もう、びっくりした本当に!児童書の設定で主人公の父親がいじめっ子っていまだ嘗てあっただろうか。
大好きな女性リリーの前でいじめっ子ジェームスが魔法を使い逆さ吊るし上げで下着を脱がされてしまう可哀想なスネイプ先生。怒りのとばっちりは息子のハリーへ。そして憎き男ジェームスは最愛の女性と結婚してしまう。心が病んでしまうのは当然だろう。
ヴォルデモートはスネイプ先生がジェームズを憎む気持ちは理解したのだろうか、それともスネイプ先生が闇の魔術への扉を開けるためのプレゼンとしてジェームスを憎んでいる旨を真摯に伝えて心の傷を吐露したからこそ信用されたのか、この答えは読者に委ねられている。

まとめ(ヴォルデモートのファッションは最恐黒コーデ)

黒づくめ、黒装束しかヴォルデモートには用意されていない。
柄物やタータンチェックなんてありえない。
黒一色が似合うといえば、ブルベ冬。
肌色もブルベにふさわしくいつも青白い。
黒で統一感を出し、何者にも染まらない決意表明かのように頑なさが醸しだされてクールである。
ファッションの軸が安定しており、従える手下達、デスイーター達もこぞって親方の推しである「黒」で信頼度をアピールしている。
空に放つ闇の印はドクロ。
ブルベ冬だったなら、ドクロモチーフのアクセサリーやTシャツのデザイン等にもカッコよく取り入れられそう。
黒ってやっぱりかっこいい。ドクロは難しい。

Junko Summer

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