11 補足ネタ集
ここまでに書ききれなかったけど、書いておきたいことをあといくつか書きたいと思う。
その他これまでご縁のあった人たち
今回の記録の中では触れられなかったが、その他にもご縁のあった人たちがたくさんいる。
北九州に「枝光本町商店街アイアンシアター」という、元銀行の建物を利用した劇場がある。2009年にオープンして、その翌年くらいから、何度となく訪問し滞在させてもらっていた。その劇場のメンバーとも懇意にしていただいていたし、ちょうど北九州の別の劇場での公演なども行った時期であり、約10年くらいの間、私はかなりの頻度のあの町に訪れていた。
この劇場では、韓国の劇団の公演を受け入れされていたこともあった(その現場に直接居合わせたことはなかったが、お話を聞いたことがあった)。また、その劇場でスタッフをしていた鄭慶一さんには、最初に韓国公演の計画を考えた時や、笑の内閣の韓国公演の時にも、少し相談に乗ってもらったこともあった。
今回の韓国での公演には、直接的には関わっていただいてないが、この長い歩みの中には、彼らとの時間も繋がりを持っている。
最初、私にとって、韓国にいる知り合いは、1人だけだった。日本に勉強に来られていた時に知り合った人が、帰国後、私が韓国へ行くたびに会ってくれて、一緒に演劇を観に行ったりもしてくれた。
私はなぜこの作品を韓国で公演するのか?ということを、たびたび考える。日本の文化に触れてもらえる作品の海外公演の意義はあるだろうが、なぜ韓国か?の明確な理由はなかった。ただ、その地に観て欲しい友達がいる。それだけでもいいじゃないか…と考えた。
彼女には今回の公演を観てもらうことができた。一つ、念願は叶った。
この10年の間に、韓国にいる友人知人は増えた。その人たちの中にはまだ公演を観てもらえていない人も大勢いる。APPで出会った人たちもあるし、最近は韓国語学習仲間でソウル在住の人とも知り合いになった。
日本にいる友人で、関心を持ってくれてて「スケジュールが合えば韓国まで行きたい」と言ってくれていた人もあった。たまたま韓国滞在中で観ようとしてくださったが、チケット完売になってしまって観ていただけなかった方もあった。
そんなみんなに観てもらうためにも、また韓国で公演をしたい…と考えている。より多くの韓国の観客にも出会いたい。韓国の俳優やスタッフの皆さんともご一緒したい。
『珠光の庵』は劇の後半にお茶席を体験してもらうという作品の性質上、座席数を限定にしないといけない。次はもう少し多くの人にも観てもらえる作品で行くのがいいだろうか。でも、『珠光の庵』ほど自信を持って持っていける作品が用意できるだろうか…。
『珠光の庵』をまたやりたいという話も、韓国メンバーからも言われている。
私の韓国との活動は、始まったばかりだ。
「ことばをあそぼう」プログラムの展開
これまでにも触れたように、私たちは演劇の公演だけでなく、ワークショップなどさまざまな活動を続けてきている。ワークショップも、演劇を志す人向けのものだけではなく、特に関心が高くない人、普段あまり劇場へ来ることが少ない人を対象にしたものを多く手掛けてきた。
その中では、外国語を用いたプログラムや、日本に来る外国からの旅行者や京都に滞在している人むけのプログラムも、いくつか行う機会があった。
劇団衛星の俳優 F. ジャパンの発案で始まった「大人の演劇部」は、「お芝居の稽古を楽しむ」大人向けのワークショップだ。発表を目指して行うのではなく、稽古そのものの楽しみを体験してもらう。公演の際に付随したアウトリーチ企画としても実施したし、KAIKAで2013〜2019年頃に定期的に開催もしていた。
その中で、英語で演劇を楽しむ「大人の演劇部・英語版」もやってみた。
2019〜2020年頃は、オリンピックに向けてのこともあり、インバウンドに備えての研修がさまざまな業界で盛んになり始めた。その雰囲気にあやかり、私たちも、演劇の現場で使えそうな単語や表現を練習する「小劇場で使えそうな◯◯語勉強会」を実施した。
実際にKAIKAで開催される公演に海外からお客さんが観に来てくれた場合を想定して、受付開始~開場~終演までの一連の流れを外国語で案内してみたり、日本の俳優が海外の演劇祭で挨拶をするという設定でのロールプレイを楽しんだりした。
それらを、英語・韓国語・中国語で行い、実施には京都の大学に通っている留学生などにも手伝ってもらった。
また、劇団衛星の代表・蓮行が始めた、「対話」を軸に直接民主制による意思決定を体験する演劇的手法を用いたアクティビティプログラム「件の宣言」も、京都に住んでいる外国人留学生との交流事業として行ったり(2019年度/助成:京都市外国人留学生交流等促進事業 主催:一般社団法人フリンジシアターアソシエーション)、オンラインでの開催にも挑戦を始めていた。(2020年度/公益財団法人KDDI財団「社会的・文化的活動助成事業 主催:一般社団法人フリンジシアターアソシエーション)
これらのプログラムは、2020年2月の劇団衛星『珠光の庵』韓国語版の時も、公演の関連企画として、京都に滞在中の韓国の俳優と一緒にも行った。
2021〜2022年度、「日韓オンラインリーディングワークショップ」を実施したのは、そのような流れを組んだものでもあった。(このオンラインワークショップに関しては前述の通り。)
今後は、「ことばをあそぼう!」プログラムをさらに広く継続的に実施していけないかと考えている。演劇体験を通じて、多様な言語やそれを使う人々の文化に触れる、文化交流と舞台芸術体験を兼ねたワークショプをやっていきたい。
私自身が外国語を勉強している時に思うのだが、例えば、教科書に出てくる会話例の音読を、俳優と一緒にやれたら、楽しく練習ができるのではないだろうか。自分たちが映画やドラマのシチュエーションの中にいるように、外国語を楽しんで演じてみることができて、単なる外国語教師が行う学習指導とは異なった「楽しさ」をもった時間が過ごせそうな気がする。
言語を学ぶ「学校」ではない環境で、楽しみとして「言葉」を遊ぶ。外国語は難しいと懸念する人たちにも、参加しやすい「場」があれば、気軽に外国語を声に出してみることを楽しむことができるのではないだろうか…。そしてこの体験を通して、外国語やその言葉を使う国の人々や文化への関心を喚起することにも繋がるのでは。
また、海外から日本に訪れた日本語を母語としない話者が日本語に触れる機会としても、実施できるかもしれない。
そして同時に、外国語学習への興味で参加してくれた受講生が、その後に興味が出て、演劇の公演に足を運んでくれるようになったら、さらに嬉しい。
劇団衛星の韓国公演を一つ目の目標として始めていた、このようなワークショップのプログラムも、今後もさらに展開させてやっていければ…ということを考えている。(関心寄せてくださる方、一緒にやってくださる方、ご協力いただける方、大募集です。)
KOREAサークル「シルクラブ」
最近、私は、韓国好きの仲間とサークル活動を始めた。劇団衛星の韓国公演までは、それに向けて一緒に勉強しようというようなこともしてきたけれど、そういった当面の目的がなくなったところで、でも、そんな活動ができる仲間が欲しいな、と思った。
一緒に言語の勉強したり、歴史や文化の勉強したり、旅行情報を交換したり、イベント情報を交換したり、たまにはご飯したりする、そんな동아리 활동(部活動)をやりませんか?・・とSNSに書いてみたら、数人の仲間が手を挙げてくれた。
とりあえず、少しずつ活動を始めていて、春からはもう少し本格的に動いてみようかな、と思っているところ。参加メンバー、追加募集中です。
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