見出し画像

7 海外公演を実現させる方法

補助金の獲得

 海外公演にはお金がかかる。海外でなくても、演劇の公演をするのにはたくさんのお金が必要なのではあるが。
『珠光の庵』は、日本人キャスト7人、テクニカルと水屋のスタッフが最低3人、現地へ行く必要がある(そこに韓国キャストの3人が加わる)。慣れない海外公演でもあるので、テクニカルスタッフも制作スタッフも、通常より手厚くする必要があるだろうと思った。通訳スタッフも必要だ。通常の公演費用に加え、その旅費や運搬費用は桁違いである。韓国が近い国であると言っても、私たちにとってそのハードルは低くはなかった。

 海外ツアーを実現するために、様々な資金調達に挑戦した。補助金の申請などにも挑戦したが、なかなかうまくいかなかった。

 長らく数々の挑戦と落胆を重ねてきた上で、ついに、公益財団法人韓昌佑・哲文化財団の助成事業に採択いただくことができた。2022年3月、助成証書授与式のために、劇団代表・蓮行とともに、東京の韓国文化院へ行った。
 この助成だけで全ての予算を賄える訳ではなかったが、これでようやく、本当に韓国公演を実施するというスタートを切ることができた。

 残りの財源獲得のために、他にもいくつかの補助金に申請をしていた。海外公演を行う時に多くの劇団がまず最初に考えるであろう、国際交流基金にも申請していたが、残念ながら採択に至らなかった。

 国際交流基金には、「ソウル日本文化センター」という支部がある。私が初めて韓国に行ったAPPキャンプの際にその支部の方ともお会いしたことがあったので、支部の存在は知っていた。そして、世界各地の現地支部で日本の本部とは別の支援をいただける可能性があることも、これまでAPP等の活動に参加させてもらった経験から知っていた。

 韓国公演が実現に向けて動き出した時には、その支部にも相談させてもらった。まずは会場探しや広報などの協力、公演の会場で使うための畳が必要だったのでその確保のご相談をした。それから資金のご相談にも乗ってもらった。
 基金本部の補助金の不採択が決まったあと、ウンミさんの団体に申請いただいた。その結果、ソウル日本文化センターからのこの公演をご支援をいただけることになった。


ご縁によって実現するツアー公演

 海外公演を行うには、いくつかのモデルと言える方法がある(と思う)。現地のフェスティバルや劇場に招聘されたり、日本の劇場や協会のような組織の推薦を受けたり。これまで幾つもの劇団が歩んできた道があることは知っていた。
 APPのようなネットワークにも参加させてもらいながら、色々な実例を知って勉強もしていた。私たちにもご縁があることを望みながらも、しかし同時に、劇団衛星が海外公演を実現させる方法はそのような形ではないのだろう…とも、正直考えていた。

 これまで、日本各地へのツアー公演でもそうだった。王道の(と言ったら語弊があるかもしれないが)ルートで、ツアー公演をしたことはあまり多くなかった。
 小さなご縁が繋がり繋がって、公演を行うことができた。各地の劇場の企画に応募して参加するようなこともあったが、どちらかと言えばそのケースは稀だった。私たちを各地での公演に導いてくれた「繋がり」は舞台芸術関係者とのご縁に限らなかった。メンバーの親戚縁者や全く別の業界の知り合いなどから繋がったコネクションだったりもあった。その町のお寺や何らかのスペースを公演会場に使わせていただいたり、お知り合いを誘って観に来ていただいたり、色々なご協力を仰ぐことになった。普段演劇を観る経験がほとんどないお客さんにたくさん来ていただけた公演や、茶道関係者などが多く来られる時もあった。

 そのような感じで公演を続けていたので、海外公演の場合も同じようなことなのではないか、と思っていた。
 結局、韓国での公演でも可能な限りのご縁を辿り、色々な繋がりの結果、実現することができたと思う。


●おまけ:様々なクラウドファンディング企画

(読まなくても内容把握に支障はないだろうと思う、おまけです。カンパとして、購入いただけると喜びます。このおまけ部分だけで200円の価値があるわけでもないので、ご容赦ください。)

ここから先は

796字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?