弁護士会照会に関する冬期セミナーにパネリストとして参加しました

2024年1月25日、第一東京弁護士会の消費者委員会が主宰する、弁護士会照会に関する冬期セミナーに、パネリストとして参加してきました。

ちなみに、東京には、弁護士会が3つあり、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会があります。(なお当職は東京弁護士会の登録です。)

「弁護士会照会」というのは、弁護士が所属する弁護士会を通じて官公庁や各種の団体などに色々な事項を開示してもらうように請求することができる制度です。

これは、実は議員立法で成立した弁護士法上の条文です。そして、弁護士界隈では、議員立法で成立した法文としては最も実務的な条文なのでは…とささやかれている条文らしいのですが(真偽は謎)、特に手持ち証拠が限られているような事案において、弁護士が直接各種団体に照会しても回答が得られない事項に関しても回答を得ることができるという意味で、大変有用な証拠・情報の収集手段であります。弁護士法第23条の2で定められていることから、「23条照会」とも呼ばれます。

(報告の請求)
第二十三条の二
 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

この制度は、強力な手段であるがゆえに、濫用的な請求を防ぐ必要もあります。ゆえに、必ず「受任している事件について」でなければならず(つまり弁護士会照会で情報を得るためだけに弁護士に委任するということはダメ。これは強調しておきたいです)、かつ、依頼者に対して開示結果をそのまま示してはいけないこともあるとされています。

普段、弁護士会照会(23条照会)請求をかなりやっておりますので、どういうときにどのような内容で照会請求を行うか、照会結果としてどのような回答が得られるか、というようなことや、普段照会請求をするときにしている工夫などをお話ししてきました。また、実際に一弁で審査担当をされている弁護士の皆様からも、色々な苦労や、スムーズに審査を通すためのポイントなどをお伺いしたり、近時の運用の仕方などをお伺いし、大変ためになりました。

一弁と東弁は別の団体ではあるので、照会請求自体を審査する主体や担当者も異なるのですが、取り扱う内容自体は同じであるのと、照会した先の回答結果も基本的に同様ではありますので、お互いに意見交換をし、大変意義深いひとときでした。こういう機会をいただくと、また一つ、新しく世界が開ける感じがします。

セミナー自体はかなり実務的な話であったため、ここでは漠然とした感想のみになってしまいますが、一弁の消費者委員会の皆様から大変貴重な機会をいただきましたので、御礼の気持ちを残しておきたく、ここにしたためた次第です。

では、また。

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