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異世界はすぐそこに~息子の合唱コンクール

まっかなたいよう しずむ さばくに
おおきな かいじゅうが のんびり くらしてた
あるあさ めざめたら とおくにキャラバンの すずのおと きこえたよ おもわず さけんだよ
うみがみたい ひとをあいしたい かいじゅうにも こころはあるのさ
でかけよう さばくすてて あいとうみの あるところ

「怪獣のバラード」が頭の中に流れ続けています。

昨日は息子の中学の合唱コンクールでした。
京浜東北線で数駅東京寄りの川口駅降りたところにあるホールが会場でした。
わたしはPTA本部役員として、鑑賞しに来る保護者を誘導するお仕事があり、早くに会場入りしました。受付のセッティング、誘導経路等確認し、お手伝いに来る委員さんに腕章をわたしたり。吹き抜け階段から見える階下は子どもたちのフロア、だんだんと集まってきた子たちは持参した軽食を食べています。息子を探したけど見つからず。

保護者は学年ごとに入れ替え制です。まず一年生の保護者がぞくぞくとやってくるのを受付してから客席につながるドアの前に誘導し、わたしの子どもも一年生なのでわたしも会場オープンと共に席へ。

開会式、音楽委員会の子たちが司会など取り仕切っています。
子どもたちによって開催される子どもたちの合唱コンクールのようです。
プログラムに「怪獣のバラード」を歌うクラスがあるのを見つけました。昔歌ったなあ、懐かしい。

歌が始まりました。一番初めのクラスの生徒たちがステージに上がり、代表の男女ふたりがマイクの前でクラスが本番までどんな取り組みをしたかを短く紹介して、曲が始まりました。
その時です!伴奏の子が楽譜を置いてピアノを弾き始めたら、空調の関係かなが~い楽譜がはらりと落ちてピアノを弾いている彼女の手にかぶさってしまいました。「あ!」と思えど何もできず、ピアノの子は手の上にA4を4枚ほどつなげた紙がのっていて指も鍵盤も見えないのにやめることもなく間違えもせずに引き続けています。ステージ下に控えていた先生が慌てて上がって楽譜を戻してホッとしたのもつかの間、無情にもまた楽譜が落ちてその子の手に。また間違えず弾き続ける彼女。先生がまた来て今度は最後まで楽譜を抑えていてくれました。
楽譜が落ちてだれか来てくれるかもわからないのに見えない鍵盤を楽譜なしで引き続けていた女子の心の緊張を思うと目が潤んでしまいました。

彼女のおかげですっかり子どもたちへ感情移入ができたわたし、1年生7組分の発表を存分に楽しみました。
息子のクラスは2番目、息子が意外に足が長いことを発見。まだ声変わりしていない彼は女子に交じってソプラノパート、嫌がる子もいるのを引き受けた、そのおかげで委員席からも近い場所になりよく見えた。幼稚園の時はきょろきょろして突っ立っているだけだったけど、昨日は歌っていた。そうだ練習の時も声を出していたからソプラノ認定もあったわけです。

1年生が終わったらホールを出て、再び誘導の仕事。
いやいや始めた本部の仕事、メンバーの方々はいい人ばかりだし、子どものやることをやや斜めに見がちであった自分がどストレートに子どもファーストになるために必要だったのかもと思えました。
わたしはどういうわけか自分の中学時代を自分の中であまりよく評価していません。その年頃の世界に興味もなかったけど身を置いてみたら感動がたくさんありました。

その晩家で楽しく合唱コンクールの感想を息子と話しました。お母さんの知っている曲は「怪獣のバラード」だけだったと言いました。


真赤な太陽に 昇るたつまきを
大きな怪獣は 涙で見つめてた
自分の足跡に 両手をふりながら 東へ歩いたよ 朝昼夜までも
海が見たい 人を愛したい 怪獣にも 望みはあるのさ
あたらしい太陽は燃える 愛と海のあるところ

「怪獣のバラード」の二番です。
息子の前で高らかに歌い、その後もこの歌が頭の中を回っています。
歌詞を改めてみていると、まるでこの怪獣は数年前までボウっとしていた専業主婦のわたしみたいだな、と思いました。

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