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もののあわれ~田中久重氏の万年時計、からくり人形

東芝未来科学館
息子の塾の企画に参加し川崎まで行ってきました。

ここには東芝創始者田中久重氏が作った「万年時計」や数々のからくり人形が展示されています。

田中久重氏は江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した発明家で、ゼンマイや歯車を自作しとても精巧な時計「万年時計」を作りました。「からくり儀右衛門」「東洋のエジソン」の異名を持つ彼の技術はエジソンどころではない気がします。
万年時計は西洋式時計、和時計、曜日や月の満ち欠けなど6種類の時計を配し、天頂部には太陽と月の運行がわかるようなドーム型のガラスケースが乗っています。伝統工芸で修飾されており、どこもかしこも素晴らしい作品です。

万年時計🕰

そしてからくり人形!「茶運び人形」「文字書き人形」、「弓曳童子」!
動きはアメージング!そして、どれも能面のような顔を持ち、角度によって違った表情を見せるのです。
茶運び人形はお茶を運ぶ動きをすればことが足りるのだけど、運びながらかすかに頭を揺らし、足もすり足で動かします。これでとても人間感が出て愛着がわきます。
そして、文字書き人形は払いやとめも再現し、筆の動きに合わせて視線を動かし、文字が書けたときのドヤ顔と言ったら!弓曳童子も4本の矢のうち1本を失敗するように作っており、その時のうつむき加減が悲しんでいるように見え、次の1本が当たると嬉しそう、そして見ているこちらも嬉しくなっちゃう。これは田中久重氏の演出なのでしょう。なんて茶目っ気のある人!


説明してくれた博物館の木下さんは、「これらは日本におけるロボットの始まりになりますが、西洋ではロボットを人間の仕事を請け負う存在とみなします。でも日本ではどうでしょう。人々が愛着を持っていたのがわかりませんか。これは、もののあわれというような何ごとにも感動する心が日本人にはあるからだと思うんです。アトムやドラえもんのようなロボットが出てくるのも日本だからなんですよ」とお話され、唸ってしまいました。

そして、万年時計についても、その時計が日照に合わせる、すなわち昼と夜で一日を分け、季節により昼の長さと夜の長さが違うため一刻の間隔が変わる「不定時法」を時計の進みの速さを調節して再現するのが和時計です。西洋では、時計がありそこに一日を当てはめていく「定時法」が用いられています。ここにも季節という事象に合わせて時計を作るという日本人独特の心がでているといえます。

日本人ってやさしいな。
そしてそのあいまいを再現する技術をものにする。

帰宅後も感動が何度も押し寄せ、田中久重さんの偉業を日本人全員に知ってもらいたいと思うのでした。

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