「強烈な痛み止め」まさかの入院 in アメリカ①-2

気胸でERに送られた話のつづきです。

ERで気胸の公開処置を受けた後は、右胸にチューブがつながったまま、チューブの先に箱(呼吸と連動する目盛付きのケース)がついたまま、ERのベッドで夜を迎えました。

左ひじの内側に留置針。ここから痛み止めが滴下されているらしい。そして上腕部には血圧計。留置針は腕を曲げても大丈夫な柔らかい針だけど、一応、曲げないようにと言われている。

夜になって電気が消されて、ナースや介護士が入れ替わり、それからの夜が長かった…

血圧計は定期的に自動スタート。そのたびに留置針が痛む。ひとりぼっちで暗闇のER。何度も何度も血圧計が動くたび、我慢できない痛み。
ついに泣いてしまう。

ときどき見回りが来るので、
「もう痛くて耐えられない。血圧計のたびに痛すぎる。」
と泣きながら訴えると、アメリカ的に、すぐ痛み止め増量。
痛みは確かに治まった。

しかし何かがおかしくて。そこから幻覚を見たようで。

洋式便器が現れてその中をパチンコ玉が流れていく。パチンコなんて一度もしたことないのにさ。

次は、目の前に青空と緑豊かな麦畑。当時のWindowsのトップ画面か?
麦畑の右側を縦書きで、行書体の文字が、下から上へと流れていく。
一文字ずつマグニファイされながら(大きくなりながら)流れたテロップは「美しい日本」。

他にも何か見たかも知れないが、覚えているのはこのふたつ。日本が恋しかったのかも知れないね。

さてそれから、やっぱり何かが違っていて。なんだかゆっくりになった気がして独り言を言ってみると、言葉がスローになっていた。

「なんでわたしはこんなにゆっくりしゃべってるんですかね」

巡回に来た二人組のナースに訴えたときの彼らの表情。「あ~ぁ」みたいな顔して顔を見合わせていたっけ。麻酔で運動神経に影響が出たようなのだが、説明はされなかった。そのまま、寝て起きたら治っていたと思う。

その夜、「たった今、同じジュンコって人が気胸で運ばれてきたよ」ってナースに言われた。それも幻覚だったんだろうなって、後から思ってたんだけど、これは実は本当のことだった。
あのときUCSFのERに運ばれたジュンコさん、今は何をしてるのかな。もうひとりのジュンコは私ですよ~と、会ってみたい気もします。

そこから何がどうなったかあんまりよく覚えてないけど、病棟に1日だけ移されて、肺トレーニングをしてから、管を抜いて退院したのだったと思う。

続きはまた、次回。
 
 

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