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良い医療を享受する、鍵。言葉。

生きてたら、色々ありますよね。

妊娠出産のあれこれ。
産まれた子供。
乳幼児。
小学生。
中学生。
高校生。
それ以上の学生。
社会人。
家庭の仕事。
更年期。
老年期。
終末期。

おそらくそのどこかでは必ず出会う、医療

クリニック、診療所、病院、どこかをいつか訪れることになる。あるいは、訪問診療で家に医療者が来ることになるかもしれない。

私は医者であり、患者になったことももちろんあります。医療者の中に存在しており、同僚と話したり仕事をしながら気づく。また、患者の立場になり、医療者と接する中での気づき。

それらに基づいて、一番大事だと私個人が感じることの一つをつぶやいてみる。

大事なことを医療者に伝える


これです。これに尽きると言っても過言ではない。みなさんは、何のために外来に通いますか?何のために入院していますか?

もちろんあなたのためです。

医師のためでもないし、看護師のためでもないし、検査技師のためでもないし、もちろん病院のためでもない。

かけがえのない、あなたのためです。

例えば、糖尿病の治療目標について考えた時。糖尿病の治療の最終目標は、なんでしょうか?

そりゃ血糖値が高いんだから、血糖値を下げることでしょ。って思いますよね。思いませんか?いやいやそれぐらい知ってるよ、っていう方いますか。いたら感激です。そこまで糖尿病診療について知ってくださりありがとうございます。

答えは、「健康な人と変わらない人生」です。

えっ?人生?えっ?

驚きませんか?そうですか、驚きませんか。私は、患者さんが自分の病気をきっかけに自分の人生を歩んでいくことに感動し、糖尿病を主に診療するようになりました。自分の人生の舵を取っていく生きざまが何よりその人の輝きになっています。

さて、そこで先ほどお伝えしました。大事なことを医療者に伝える。

実際に医師を目の前にすると、言おうと思っていたことがあるけど言えなかった。そんな経験ありませんか?

薬を実は飲んでいないのに言えなくて、家に薬がたまり続ける一方。
あの症状が気になるけど、ま、次に言えばいっか。
ちょっと恥ずかしいから言いにくいな…
これは、今の病気とは関係ないよね。
説明されている内容がよく分からないけど、聞いたら悪いかな…
薬は飲みたくないけど、そうは言えなかった。
ちょっと来る頻度を減らしたいけど、このままのペースじゃないとだめかな…

例えばこれらは外来の時に考えらえるいくつかの例です。

もちろん、主治医とよくコミュニケーション取ってるし、私は大丈夫だよって方はいいんです。そのまま自分を大事にしながら過ごしていくのが理想です。

ただ、今これを見てもやっとした方がいるとしたら何か見過ごしているサインかもしれません。自分のことで気になることがあれば聞くこと、伝えることをお勧めします。

そうしようとする中で、医療者の背景を知っておくことが役に立つかも。

(知っているだけに、より言いにくいこともないこともないが)

外来診療の実際


例えば、医療機関にもよるが、医者のすべきことを箇条書きする。外来の診療される時間は大したことないのに、なんであんなに待つんだろう、病院は患者を待たせすぎだ!と怒りたくなる方もいるだろう。

・カルテ記載(患者の言ったこと、検査があればデータ等、見立て、その後のプランなど)
・次回の診療の予約枠を患者と話しながら決めて予約する
・処方(新たな薬であれば薬の打ち込みや飲む頻度や飲み方も、次の外来までに必要な日数を打ち込む)
・次回必要な検査があればそれも予約する、画像検査などは外来の予約時間の前後で可能なところを予約する(MRI、CT検査など予約枠が限られているものでは、外来予約自体をまた変更しないといけなくなりまた処方日数も調整が必要な二度手間も時に起こる)
・癌や注射が必要などの特定の場合では、管理料(という患者にとってはよく分からない保険診療に関わる費用)も入力する。

これを、患者さんと話しながら毎回行うのだ。

昔はマスクなしで診療していたのが幻のよう

そして、中には定期的に受診した時に、突然病状が悪化していることや、実は体調が悪く肺炎など別の病気を合併して普通に来院していることなども、ある。そんな時は話をよく聞いたり入院の手続きなど(これも諸々一瞬には進まない)も間に挟む。
そして更に時間がかかる。

これらの手続きは手間ではあるが、省ける手間でもない。医師は本当は患者との話にもっと時間を割きたいが、こういった事情がありどうしても手短になりがちである。

さて、外来の実際のあれこれを踏まえて戻る。

大事なことを医療者に伝える。

そうすると、あれもこれもそれもどれも伝える、という訳にはいかない。つまり、自分で大事なことをまとめる作業が必要だ。必ずしもではなくて、ただの私のおすすめだ。

経験上だが、患者の中にも、自分のことがよく分かっている人とよく分かっていない人がいる。また、自分の体のことをよく考えている人と、後回しになっている人がいる。
どっちが良くて、どっちが良くないということではない。

これを読んでいるあなたはどうなりたいか、ということだ。これは、人生についても同じようだと思うこともあるのだが、あなたはどうしたいかということが一番なのだ。

私たち医療者は、私たちが今まで勉強してきた中で最良のことを言おうと努めるし、一緒に考える。ただ、あなたのことはあなた以上に知ることはない。病気にのみ焦点を絞ればそれは可能だが。

だから、治療方針にしろ、あなたの症状にしろ、実はあなた次第なところもある。私たちはサポートをするが、一番大事にしてほしいのは、一番尊重されるべきはあなただ。

だから、このように、限られた時間の外来であることは申し訳ないのだが、その中であなたが大事だと思うことは伝えることをお勧めする。

伝える、って難しいよね

そうは言っても口から言葉が出ない方は、メモを渡してもよい。ただし、メモも量が多いと何が一番大事なのか分からないこともあるので、内容は数行にするとかかなり絞った方が良いだろう。

何個も気になることがある場合は、例えば1回の外来につき1個伝えて、次回に2個目を話すとか。

私は私、医師は医師、というよりは、私と医師の関係を一緒に作る。そうすればあなたにとってもっと納得できて良い医療が伝わるかもしれない。

とここまでつらつら述べてきたが、これはとある医師の単なる一意見。
言葉って、生きていくのになんて重大な役割だろうか。



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