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あなたもわたしもエヴリンなのだ★エブエブ感想

反抗期はちょっと反抗的すぎたじゅんぷうです、こんにちは。

ちょっと前の鑑賞ですが
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』感想

ミシェル・ヨーがカンフーやるってだけで
わっくわくで臨みましたが
思ってたのとはぜんっぜん違う映画でした。

われらがミシェル・ヨーが演じるのは
アメリカで暮らす中国移民で
優柔不断な夫と反抗期でLGBTの娘、
頑固な要介護の父と4人家族の
何のとりえもないおばさんエヴリン。
経営するコインランドリーの税金と
春節やら父の誕生日やらでいっぱいいっぱい、
八方塞がりでテンパりがちな日常。

そのエヴリンがある日突然、
マルチバース(平行宇宙)を行き来して
全宇宙の危機を救うために闘うというお話。

実際に行き来するのではなく
カンフーの達人であったり
映画スターだったり
料理人だったり
はたまたピザ屋の宣伝係だったりする
ほかのユニバースのエヴリンの意識に
コインランドリーのエヴリンがアクセスして
そのスキルや記憶をリンクさせて闘う。

この設定と展開に置いて行かれないよう
情報がぎっしりのベーグルから
振り落とされないよう前半は必死、
かつB級感を楽しむ展開。

ほかのユニバースにアクセスすることを
バースジャンプというのですが
馬鹿馬鹿しくて意味不明な行動が
ジャンプのスイッチになる。
ミシェル・ヨーにあんなことまで…!

いや結局のところ
めっちゃシンプルで普遍的なテーマを、
これだけの壮大なカオスでくるんで
描いたというのが
それこそがバースジャンプできるくらい
馬鹿げてる(誉め言葉)。
だからこれがアカデミー作品に選ばれたのは
ある意味これもバースジャンプのスイッチ。
映画界総出でバースジャンプしようとしてる。

おもな舞台は
国税局とコインランドリーの自宅。
エヴリンを縛りつけるもの、税金と家族。
エヴリンはマルチタスク不全とでもいうのかな。
すべてのことが、いつでも、いっぺんに。
この呪縛からの解放を
観客一同で見守るという映画だったし、
わたしは友人と見に行ったのだけど
共通の感想
「思ってたんと違う傑作であった」

というのも彼女とは同い年で
お互いお年ごろの娘持ち。
母娘の映画でもあるなんて聞いてなかった。
生物の存在しないバースで
石になったエヴリンと娘ジョイが
会話するシーンは美しかったし泣けた。

あらゆるマルチバースのエヴリンの中でも
もっとも負け組、敗北者である
コインランドリーのエヴリンには
娘持ちではなくとも
「何者にもなれなかった自分」
「選択が違えば違う人生だった自分」
に思いを巡らせて
ある程度の年代は自分を投影しやすいと思うし

マルチタスクの苦手なエヴリンが
すべてを愛してやさしくすることで
そこは愛すべき世界になる

ミシェル・ヨーはもしかして
ジャッキー・チェンも
ジェット・リーも
チョウ・ユンファも為し得なかった、
ハリウッドでのアジア人としての
真のヒーローになったのかもしれない。
オスカー受賞までの流れを見届けての所感です。

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