六分儀句会22 霜月の段

いよいよ寒くなってきました。それにあわせたのか(?)句柄おとなしくなってきたような?(笑)考え込まなくてストンと胸に落ちてくる俳句がいまは気持ちがいい(個人の感想を述べたものであり以下略)



27. 重い重い前髪なのさ星月夜 (青に桃々)5点
◎ 佐伯一馬 ずんずんずんと重ーい感じが漂ってきました
◯ 小林少年 星空を見上げられない、それ前髪のせい? 「星月夜」が鮮烈に伝わってきます。
◯ 宮川由梨 
◯ 髙橋梨華子 真っ黒な前髪。内からでも外からでも面白い

33. 手でわかる人となりかな冬隣 (佐伯一馬)5点
◎ 宮川由梨 
◎ 明定朝子 特に歳を重ねた方の顔もそうですが手の方がその人の生き方が表れていると思いますね。自分も良い手になっていきたいものです。
◯ 岡田朋之 類想はありそうだけれど、ほっこりしていて好きな句です。

8. 冬になるエレベーターに乗り遅れ (久留島元)5点
◎ 青に桃々 一読、好きだなぁと思いました。冬になる(終止)も良いですが、冬になるエレベーターと読むのが好きです。きっとエレベーターガールのいて、丁寧にお辞儀をしてドアは閉められたでしょう。乗り遅れ、でこちらの世界は止まってほしいような句です。
◯ 小林少年 だんだん気ぜわしくなってくる季節。そういう季節的要因ばかりではなく、ちょっとした心のわだかまりがその辺に漂っています。「乗り遅れ」がいいです。
◯ 佐伯一馬 冬には乗り遅れたいとも思ったり思わなかったり。この揺れ具合がちょうどいいですね
◯ 岡田朋之 切れ字もないし、おそらく「冬になるエレベーター」までが一括り? 地下から地上に上がるエレベーターだろうか。

12. 月光を吸えばすみずみまでいたし (岡田朋之)3点
◎ 山本たくや 感覚的に共感した一句。ある意味「秋愁」のことを表しているのだと思うけど、その表現の仕方が秀逸。
◯ 青に桃々 さえざえと光る月にひりひりする。それは月でなければならないけれど、すごく共感する分既視感があるような気もします。
△ わたなべじゅんこ 「痛し」か「居たし」か。感じにしたほうが迷わせずに済むかも。漢字を使いたくないなら、その「痛み」を暗示させる表現を探してほしいかな。推敲の余地があるような気がする。
△ 小林少年 美しい。「吸えば」がいいですね。月光浴ということばを思い出しました。

24. 柿たわわ電車遅延のアナウンス (わたなべじゅんこ)3点
◯ 青に桃々 電車遅延は困ります。気ばかり焦る。しかし車窓にたわわに実る柿が見える。緊張が少しほぐれるでしょう。
◯ 小林少年 「柿たわわ」と「電車」で意味が通じるのは日本だけでしょう。やすらぎを感じるのは、なぜでしょう。
◯ 黒田さつき 束の間の癒し🧡

30. 正直だね好きな人居るんだ秋の蝶 (明定朝子)3点
◎ 小林少年 蝶と誰か話し相手がシンクロして妙にすがすがしい。特選の理由は、季が動くところ。一句で四度美味しい。「春の蝶」「夏の蝶」「冬の蝶」で句の印象ががらりと変わります。
◯ 宮川由梨 
△ 岡田朋之 破調があんまり効いていない気がして取れませんでした。
関係ないけれど「恋人はいるのいないのいませんかいたらいいのに諦めるのに」という短歌(字が違うかもしれないし作者も覚えていない)を思い出しました。

37. この橋の向こうはひといろ文化の日 (わたなべじゅんこ)3点
◎ 久留島元 ひといろというのは、無個性で均質的な町並み、という意味でしょうか。橋をはさんで、都会なのか工場地帯なのか、人工的な町を、こちらがわから眺めている文化の日、作者の立ち位置が面白いです
◯ 岡田朋之 人色なのか一色なのか。作者は多分意図的にされてる。ポジティブな句なのかネガティブな句なのかの判断材料がないのが少し残念。

6. 龍田姫化石を掘っている右手 (わたなべじゅんこ)3点
◎ 黒田さつき 美しい紅葉と地道な作業の対比が面白いです👍龍🐲の化石出てくるかも🤩左手は何してるのかなぁ❓
◯ 久留島元 歴史と神話の境を思わせる句ですね。龍田姫はきっと人間より長生きだから、化石になった動物のこととかもよく知っているのかも。ところで化石掘り、金槌使って岩場を砕きながらのイメージなので右手と限定する必要があるのか?


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