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”Road to とんかつDJ” from 監督 #2【ニノケンのスイカコラム】

こんにちは、二宮です。10月30日から公開する『とんかつDJアゲ太郎』。今回は映画版『とんかつDJアゲ太郎』を導いてくれた名作たちを中心にお話します。僕がこの映画を監督するまでの経緯は、こちらに書いてます。

『とんかつDJアゲ太郎』をどうやって長編映画にするんだ!?

2019年の春、来る撮影に向けて、急ピッチで脚本作りをはじめました。僕は早速、JUNK LOUNGEのメンバーで監督仲間のコバにいこと小林達夫を監督補としてチームに招き、この漫画をどのように脚色したら長編映画として成立するか、いろんな試行錯誤をはじめました。(完成した本編には、コバにいがボソっと口にしたギャグがふんだんに盛り込まれている…!)

『とんかつDJアゲ太郎』の原作は全巻通して、主人公・アゲ太郎は大きな壁にぶち当たらない。どんな難題も壁も葛藤も、案外サクッと軽快に乗り越えてしまう。その大らかさこそ、この原作の偉大な愛嬌だったのだが、2時間の長編映画にするには、物語を司る太くて頑丈な映画独自の軸を見出さなくてはいけない。

「TDAを最強のファミリームービーにする!」と僕の精神性はバッチリだったけど、それでも映画的な立ち上げ方の具体的要素や方法は、まだ見つかっていない。その手がかりを探すため、ヒントがありそうな映画を、スタッフチームと一緒に片っ端から観まくりました。そうして出会った映画たちは…

映画『とんかつDJアゲ太郎』を導いてくれた10本。

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キューティ・ブロンド』(01)、『Friday』(95)、『ベスト・キッド』(84)、『タンポポ』(85)、『スパイダーマン:ホームカミング』(17)、『デーヴ』(93)、『セイ・エニシング』(89)、『スティーヴ・アオキ: I'll sleep when I'm dead』(16)、『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(14)、『パティ・ケイク$』(17)…etc

今思い返して印象的にアゲ(挙げ)られる10本です(際限なく挙げて良いなら、もっともっとあるんだけど)。それぞれ作劇的に、精神的に、いろんな角度で大いなる道標をくれました。

陽気なブロンドガールが、ポジティブシンキングでハーバード大学のロー・スクールに突き進んでいく『キューティ・ブロンド』、ヒップホップ&カジュアルでクールな『Friday』、あの子が好き!ってブレない前提で物語を発射させる『セイ・エニシング』、全米で鉄板焼チェーンを成功させた父・ロッキー青木と、父に思いを馳せながら世界的DJになった息子・スティーヴ・アオキの食と音楽のグルーヴを体現したドキュメンタリー『スティーヴ・アオキ: I'll sleep when I'm dead』、ジョン・ヒューズをはじめとした80年代のティーンムービーの流れを継承しつつ、現代のブロックバスター映画の様式と合流し、スパイダーマンを新たなフェーズに導いた『スパイダーマン:ホームカミング』…などなど、様々な名作がアイディアの宝庫の如く、僕たちにインスピレーションをガンガン与えてくれました。そうやって映画を観続けることで、作品の全貌を頭の中で組み立てていく時間…僕はこの時間が大好きで、とても幸せなんです。

しかし、クランクインは刻々と近づいてきます。お台場の会議室に夜通し籠もってみんなで作戦会議、なんて日も段々増えていきます…。結局、脚本作業はクランクインの数日前まで続きました。

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そうして、完成した台本です。

様々なピンチと苦難、無数のギャグと笑いを越えて(数々のエピソードをオミット)、いよいよ撮影が始まります!!

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ついに撮影開始!!

撮影中の現場写真。僕の隣りにいるのは、大学時代の僕の映画を撮影してくれていた同級生のカメラマン山本翔太くん。『とんかつDJアゲ太郎』の現場では、撮影助手として参加してくれました(なんて品のない表情だ)。僕はよく見ると首が痛かったのか、ボロボロの湿布を貼っています…(どうでもいい)。映画の撮影現場は楽しいこともあるけど、苦悩もたくさんあります。ということで、次回は撮影の話をします。(続く)

©2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会



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