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「FFKT 2022」@長野県木曽郡木祖村・こだまの森

2022年5月28日(土)~29(日)

長野県木曽郡木祖村・こだまの森で「FFKT」。2019年6月以来、3年ぶりの開催だ。

2019年・初回のレポート及び感想はこちら。↓

上は29日の夜にしたツイートだが、まさしくこれが実感だ。コロナ禍以降に行ったどのフェスよりも開放感があった。どのフェスよりも生きてる実感が持てた。緑に囲まれた山道を歩き、会場内では下のステージと上のステージを何往復もし(夜は暗い山道で転ばぬように一歩一歩地面を確認しながら登ったり降りたり、滑り台で一気に降りたり)、時間帯によってまったく変わる気温を感じながら、星空を見たり、焚火にあたったり、頭カラッポにして低音の響きを浴びたりカラダ揺らしたりしながら、やっぱりこの場所(こだまの森)で行なわれるこのフェスは最高だと、そう思えた。

2019年が開催初回だったが、2000年からのコロナ禍で度々開催発表と延期発表を繰り返したFFKT。GEZANのマヒトもステージから言っていたが、あれだけ何度も延期を強いられたら普通なら心が折れそうなものだ。が、主催は諦めることなく耐えた。そうして今年こうして開催してくれたのだから、すごいと思うし、感謝したい。2020年にチケット買って、払い戻しをすることなく、この日が来るのを信じて待っていてよかった。

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少し前からマスク着用を見直す動きが日本で始まり、政府は屋外で会話がなければマスク不要とする考えを示した。そういうタイミングもあってか、マスク着用についての厳しさはなかった。基本的には個人の判断に任せる感じで、僕を含め多くの人がマスクなしで楽しんでいた。するべきタイミングにはする。不安ならばする。そうじゃなければしない。大人なので、自分の判断で決める。それでいいし、そういう段階に入ったんだなと、ちょっと感慨深くなった。昨年の夏のあの感じはなんだったんだろう、と思ってしまうくらいに月日は経ち、ある意味での落ち着きを取り戻したということだ。本来の意味で、フェスがいよいよ戻ってきた。その実感を持った。

それができたのは、このフェスならではの客層のよさもある。出演するアーティストや音楽の種類(ジャンルは様々だが、ざっくり言うならオルタナティブで先鋭的なアーティスト。所謂メジャーの畑で活動しているアーティストはほぼいない)によるところが大きいのだろうが、このフェスには本当の意味での音楽好きばかりが集まる。ただ盛り上がりたいだけ、友達とワイワイしたいだけの客は、印象としてはほとんどいない。ひとりテントの人が少なくないのも、ここでしか観ることのできない海外アーティストやDJが多いからだろう。だからライブ/DJの間も、回りに迷惑がかかるような騒ぎ方をする人は皆無。それぞれがそれぞれに、自分の好きな音楽に没入して楽しんでいる。あるいは寝転んだり飲んだりしながら音と自然を感じている。友達に引きずられることなく、自己判断でどう楽しむかを選んで行動できる大人が多く、それ故、厳しめのルールを敷いたり、声出しを禁じたり、マスク着用をしつこいほどに促したりする必要もないわけだ。要するに客が大人で、それ故の居心地のよさが確かにあったということだ。

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早くに妻のクルマで家を出たので、渋滞にハマることなく会場まですんなり行けた。が、会場の駐車場に入る段階でだいぶ待った。入場受付は厳しくなくてあっけないほどスンナリだったが、ビン・カン類の持ち込みチェックだけはしっかりしていた。ああ、3年ぶりにここに戻ってきたぁー。豊かな緑に囲まれながら会場までの道を歩き、そう口にしながらテントサイトへ。オールナイトフェスなので火を使って料理したりすることもないため、今回は小さな簡易テント。なのですぐに設営も終わり、夜に備えてしばらく昼寝した。その時間も好きだ。

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観たのは以下の通り。

INOYAMALAND→Kid Fresino→Tempalay→長谷川白紙→GEZAN→Tohji→ペトロールズ→EYE→Andy Stott→Smerz→どんぐりず→JASSS。4時間ほど睡眠。
ジョン・キャルロ・カービー→ドナ・リーク→田中フミヤ(少し)。

GEZANは2週間前のFUJI&SUNに続いて今月2度目。Tohjiも先週末のPOP YOURSに続いて今月2度目。どんぐりずはFUJI&SUN、POP YOURSに続いて3週連続で観たことになる(追っかけか!)。

GEZANが凄かった。FUJI&SUNのときよりもっと凄かった。マヒトの気合の込め方がハンパなかった。このフェスに対する共感もあったのだろう。こだまの森の景色との相性も非常によく、美しいと、そう思えた。終盤ではなにやら涙が出そうになった。最後の曲の前に先にステージからはけて袖で観ていたサポートメンバーたちが、全てを出し切った若きベーシストのヤクモアを抱きしめていた場面も印象に残った。

GEZANのライブに胸が熱くなったのだが、Andy Stottもまた圧倒的に凄かった。音源の印象とはずいぶん違って、特に後半はバキバキにアゲていった。地鳴りみたいな低音の響きもたまらなかった。背景に森の映像が映されたりもして、リアルの森とそれがひとつになっていた。星空と森と音と映像が一体となっていて最高だった。あとでツイッターなど見てみると、Andy Stottを今回のベストに挙げている人が多かったが、自分も同意だ。

Kid Fresinoはフジロックのバンドセットのほうが彼の気合も入っていてよかったように思った。長谷川白紙はなんというかもうバッキバキだった。POP YOURSに続いて観たTohjiは、あのときとは全く異なるアプローチのtohji & loota setで、音響の深さにもやられた。Smerzのふたりはクールなんだけどフレンドリーさもあり。北欧的な神秘性もちょっとあり。曲によってビョークっぽく感じる瞬間もt.A.T.u.っぽく感じる瞬間もあり。揃って手を挙げたりするあたりが可愛くもあった。どんぐりずはただただ楽しいの一言で、気温がグッと下がった時間帯でもあったため踊りまくった。DOMMUNEでPC越しに見て楽しみにしてたBENEDEKの出演は朝5時過ぎだったため起きられず(泣)。

早朝はジョン・キャルロ・カービーから見たのだが、これが面白かった。シンセやらキーボードやらをひとりで操り、時にはキーホードの上の空で音に合わせて弾き真似もしたりと、すごいことやってるんだけど佇まいがなんだか可愛かった。日本語でのコミュニケーションには人柄のよさも出てた。音はドリーミーで、心地よくて、YMO「ライディーン」もいい感じ。そういえば長谷川白紙は「キュー」をカヴァーしてたので、思いがけずFFKTでYMOの曲を2曲聴いたことになる。3年前とは配置が変わってアップグレードされたCabaretステージ(3年前はクルマにDJ卓やらがある簡易ステージだった)でのドナ・リークのDJ時間はもう最高に気持ちよかった。自分はまさに3年前のFFKTの同じ場所・同じ時間帯に初めてこの方を見て惹かれたのだけど、今回もヴィンテージなラテンやらアフリカやらの音楽をレアグルーヴ以降の視点で繫いでいて、DJでありセレクターでもある彼女の音楽愛好っぷりがクールながらもビンビン伝わってきた。そもそもお洒落なんですよね。レコードを変えながら途中でバナナ食べてる様もなんかよかったし(笑)。機会があったら会ってお話してみたい女性。

2日間とも快晴で、というか真夏日で、少し日に焼けたりもしたFFKT2022。帰りの渋滞がエグくてまいったが、必ず来年もまた行こうと決めた。FFKT、やっぱり信頼のおけるフェス。

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