見出し画像

Slow LIVE '20 in Forum

9月26日(土)と27日(日)の2日間、東京国際フォーラム(ホールC)で「Slow LIVE '20 in Forum」というイベントを観た。例年は池上本門寺で開催されていた野外イベントだが、今年は9月上旬の日比谷野音と下旬の国際フォーラムというふうに場所を変えての開催となった。

画像1

2020年9月26日(土)

出演は順にPEARL CENTER、yonawo、TENDRE、堀込康行。この日のタイトル(=テーマ)は「MELLOW LIFE」ということで、メロウな音楽性のこの4組。共通する「メロウな感じ」がありつつ、しかしそれぞれの個性がよくわかるイベントだった。

自分が過去にライブを観たことあるのはTENDREだけで、ほか3組は初観。まず初っ端のPEARL CENTERが4曲と短い持ち時間ながらもよかった。大好きなバンドだったPAELLASに比べると真夜中のムード~官能的なムードは少しだけ薄まったようにも思うが、それでもやはりMATTONの歌声の色気はほかにないもの。またYOUR ROMANCEのヴォーカルのinuiとのハーモニーがよく、それもこのバンドの強みであることがわかった。長く追いかけていきたいバンドだ。

ネオソウル的なサウンドにJ-ポップ的な歌詞が乗るyonawo、トリオ編成でのTENDREと続き、トリは堀込泰行。こちらもトリオ編成にて。1曲ごとに行き当たりばったりのとぼけたMCを挿みながら進行するスタイルはフォークシンガーのよう。「馬の骨」名義で出した「燃え殻」(名曲です!)が聴けたのが嬉しかったのと、あと、レゲエにアレンジされた「エイリアンズ」が新鮮だった。

画像2

2020年9月27日(日)

この日のイベントタイトルは、「Hippie`s shake」。出演は近藤利樹、GLIM SPANKY、Charと、10代から60代まで世代を超えて。

まず近藤利樹。「ナニワの光速ウクレレ少年」と言われる13歳。ウクレレの光速ストロークで「コーヒールンバ」やら「ヴォラーレ」やら誰もが知ってる有名曲を弾きたおす。弾き姿は大人顔負けだが、喋ると明るい大阪の元気な子供。すれることなくスクスク育ってほしいもんです。

続いてGLIM SPANKY。7~8ヶ月ぶりの有観客ライブだそうな。僕が観るのはたぶん2019年6月の豊洲PIT以来なので約1年3ヵ月ぶり。この日はサポートにGliderの祐輔(鍵盤)を迎えたトリオ編成で。「ダミーロックとブルース」「Flower Songs」と初期のライブの前半によく演奏していた曲から始めたのは、久々の有観客ということでここから再スタートの意味を込めたのかもしれない。

アコースティックセットと言えども亀ちゃんのエレキギター音とレミちゃんの声の威力でそれはバンド音に十分匹敵するロックとなる。久々の有観客ライブだが、実に堂々たるパフォーマンスだ。また祐輔の鍵盤音がソウルフルで、曲にいいアクセントをつけていた。

中盤、新曲「東京は燃えてる」からは珍しくレミちゃんがギターを置いてヴォーカルに専念。「こんな時代にミュージシャンとして曲を残しておきたいと思った」と話してじっくり歌われた「こんな夜更けは」がやけに沁みた。また来たる新アルバムから今回が初披露だという「By Myself Again」はフォーキーなタッチが新鮮。いい曲。再びロックモードで「Singin'Now」、最後は「美しい棘」で締め。この曲はかつての「大人になったら」に代わる位置づけか。

久々にライブを観てGLIMの曲のタイムレス感を僕は改めて感じることとなったし、ドラムレスであろうとも薄い音に思えてしまうようなところがまったくないのはすごいなと。また久々の有観客ライブにふたりとも手応えと喜びを感じているようにも見え、このライブを観ることができてよかったとも思った。

トリはChar。ベースが澤田浩史さんでドラムがシータカさん、つまり息の合ったいつものトリオ編成にて。もちろん余裕綽々だが、しかしCharにとってもずいぶん久しぶりの有観客ライブだったようで、「やっぱりオーディエンスがいるっていいですね」と。

「BLACK SHOES」はメドレーで「気絶するほど悩ましい」を挿んでまた戻るスタイル。また「桃太郎」(も~もたろさん、ももたろさん、っていうアレ)から「TOKYO NIGHT」に繫げ、そのなかで「イッツ・フォーラム・ナイト」と替えて歌ったりも。さらに「スタイリスト」というタイトルの新曲も初披露した。

本編を「SMOKY」で締めたあと、アンコールでは予定を変えて(セットリストにはなかった)ピンククラウドの「Cold Air In House」を。その際、「ベースの人がギター弾いてた曲を」と言って演奏を始め、曲の終わりに「マ~~ちゃん」と歌って天を見上げた。加部さんに「聴こえたかい?」とでも言うかのように。この日のステージで、亡くなった加部さんへの言及はあるのかどうかと思っていたが、この感じが実にCharらしかった。

また、「(コロナ対策で)みんな口あけて声出して歌えないようだけど、ハミングならいいじゃん」と言って「上を向いて歩こう」で観客にハミングを促したりも。特にそうとは言わなかったが、この曲を選んだあたりがCharなりのいまの気分というかメッセージでもあるのだろうなと思った。

来年はまた池上本門寺で涼しい風に吹かれながら観れたらいいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?