SLOWBASE、Glider、The Wild Flower & Mystic Smoke@月見る君想フ
2024年11月21日(木)
青山・月見る君想フで、slowbase presents 3マンライブ "Yonder"。
出演は順にThe Wild Flower & Mystic Smoke、Glider、SLOWBASE。
男女ツインボーカルデュオのSLOWBASEが都内で初開催するイベントで、共演は彼らと親交の深いThe Wild Flower & Mystic SmokeとGlider。自分はこれが4年振りのライブとなるGlider目当てで観に行ったのだが、どのバンドもよかった。
初めに演奏したのはThe Wild Flower & Mystic Smoke。江ノ島にある古着&カルチャーショップ「ACE GENERAL STORE」の店主・伊藤陽大と仲間たちで店舗の奥に作ったスタジオから誕生したサイケデリック・ロックバンド。ステージ後ろ(いつもは月がどーんと映されているところ)にサイケな映像が映し出され、演奏もサイケデリックそのもので、陶酔感あり。
2番手のGliderはひとまず置いといて、3番手はこのイベント「Yonder」(向こう側の意。「音楽性はバラバラでも、月日の中、魂の根っこが繋がってしまったような人達に集まってもらい、次の向こう側を目指していく」という趣旨によるものだそうだ)を仕切ったSLOWBASE。2ギター、ベース、ドラム、パーカッション、2ボーカルという編成(3曲でGliderの栗田祐輔が客演)で、知らずに初めて観た僕はてっきりこのバンド形態をSLOWBASEと呼ぶのかと思っていたのだが、SLOWBASEは藤森翔平と寺前咲恵のふたりのボーカル(藤森はギターも)のことで、2018年春に結成して活動を続けているとのこと。バンドだと勘違いしてしまうほどにバンド感があり、観た限り2人とサポートミュージシャンたちという感じはしなかった。恐らくそういう見せ方にしたいというのは2人の意向でもあるんじゃなかろうか。音楽性はアシッドフォーク(The Wild Flower & Mystic Smokeのとき同様サイケ的な映像が後ろに映され、それも効果あった)が軸で、浅川マキの「少年」を独自の解釈でやったりも。かと思えばジャムバンド方向に行ったり、ボッサテイストの曲があったり、レゲエ曲があったりと、ジャンル・音楽性に捉われることなく自分たちがいいと思う音楽を自由にやっているといった感じ。彼らの主催イベントだけあって彼らのファンや友人たちが多く観に来ていたようで、みんな気持ちよさそうに揺れながら観ていた。自分的には(タイトルがわからないのだが)本編の最後に演奏された曲がとてもよかった。
自分のこの日の目当てはGliderで、彼らは2番目に出演。現在はHedigan'sのメンバーとして目覚ましい活躍を見せている栗田兄弟(将治&祐輔)のバンドだが、ここ数年はGliderとしての活動を休み、祐輔はThe Fin.などいくつかのバンドのサポートを、将治は葡萄畑に入って演奏したりソロプロジェクトのMerchantでアルバムを出したりライブをしたりしていた。よってGliderとしてのライブは先にも書いた通り実に4年振り。Hedigan'sは今年いくつものフェスに出まくったが、そうしたライブ活動の手応えが強くあり、またライブアーティストとして視野が開けたこともあって、ここからGliderも動かしていこうという気持ちに二人ともなったのかもしれない。
祐輔がキーボード&ボーカル、将治がギター&ボーカルで、ドラムはもちろんもうひとりのオリジナルメンバーである椿田翔平。そしてベースは、活動休止前はHedigan'sのエンジニアでもあるテリーが弾いていたが、今回は初参加となる井上真也が担当。配信されたばかりのHedigan'sの1stアルバム『Chance』にも参加しているベーシストで、最近のMerchantのライブでも弾いており、その流れから久々のGliderのライブにも参加となったそうだ。
Hedigan'sのライブをよく観ている自分ではあるが、「歌う」祐輔を観るのはそういえばけっこう久しぶり。祐輔と将治が曲によって歌い分けるそのあり方は声質の違いも含めてやはりいいなと改めて感じた。また今回サポートで加わった井上真也氏のベースは安定感あり。ムードメーカーとしての資質も多大にある彼は、Gliderの3人が照れ屋でほとんどMCをしない分、祐輔に振られて彼が中心になって喋り、そのオモシロMCが場を明るくしていた。そして翔平くん。Gliderの魅力は彼が叩いているバンドであるというところも相当大きいと僕は前々から感じているのだが、久々に観ていてそのことを改めて実感した。圧倒的にかっこよくて上手いドラマーなのだ。彼の叩いている姿を見ながら、ああ、今自分はGliderを観ているのだと、そう思った。やはり翔平くんなくしてGliderは成り立たないと。
セトリに関しては、「恋のラウンダバウト」「モーターサイクル・ウィークエンダー」といったアップめの曲もかっこよくて聴けてよかったが、個人的にはなんといっても「市営住宅」を聴くことができたのが嬉しかった。やはりいい曲! 名曲!
Hedigan'sの活動に今は何より力を入れている将治&祐輔だが、久々のGliderをふたりとも楽しんだようだし、これを機会にまたちょくちょくライブをやってもらいたい。できるなら新曲なんかも聴きたいものだ。
下は9月のMerchantのライブの感想。12/7にはライブレコーディングもやるそうです。