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SONIC MANIA@幕張メッセ

2022年8月19日(金)~20日(土)

幕張メッセで、SONIC MANIA。

ソニックマニアが開催されるのは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、フライング・ロータス、サンダーキャット、ジョージ・クリントン、ドリアン・コンセプトらを観た2018年以来、4年ぶり。最早懐かしいエレグラの頃から幕張メッセにて電子系アクト多めで開催されるオールナイトフェスに馴染んでいるので、久々の開催にどうしたって気持ちがあがる。これこれ、これだよな、と。

この日は午後の早めに幕張本郷のホテルにチェックインし、仕事して昼寝してカレーを食べてから会場へ(幕張のインド料理は美味しいのだ)。

観たのは以下の通り。

どんぐりず→カサビアン→Cornelius→MADEON→電気グルーヴ→TESTSET。あと、Nujabes Eternal Soul、プライマルスクリームをほんの少しずつ(プライマルはサマソニの2日目にちゃんと観た)。

今年公開されたドキュメンタリー映画が素晴らしかったスパークスも観たかったのだが、どうしても観たかったCorneliusとMADEONと時間がかぶっていたので諦めた。

まずは今年最も多くライブを観ている、どんぐりず。FUJI&SUN、POP YOURS、FFKT、フジロックと、自分の観に行くフェスには必ず出ている彼らだが、進化の度合いが著しいので飽きるどころか毎回感心してしまう。今のところ7月のフジのレッドマーキーが自分が観たなかでの彼らのベストライブだが、ソニマニでもオープニングアクト的な位置づけでありながら十分に楽しませてくれた。初めて観たらしい若い男の子たちが「やっべー」「やっべー」と繰り返していたのも印象的だった。

カサビアンを観たのはいつ以来か。デビューして間もない2004年か2005年のサマソニだったかソニマニだったかで観た記憶があるが、その後アルバムもちゃんと聴いてこなかったし、ライブも観ていなかった。なのでヴォーカリストが変わってどうなのか、以前との差異はわからないのだが、サウンドは重厚さと踊れる柔軟さの両方が塩梅よくあり、なにしろいきなり代表曲「クラブ・フット」で始めるもんだからその程度の自分でも熱くなって思わず前のほうに駆け出してしまった。演奏、音量、ヴォーカリストの乗せ方(日本はまだ客の声出し禁止である故に手拍子を促すなど、状況を見た上での適したパフォーマンスだった)、客の熱狂の仕方、どれも最良だったと思う。またフェスで観たい。

先月のフジに続いて復活2度目のステージとなるCorneliusは、しかし堀江博久氏が発熱で出演不可能となり、なんと3人体制にて。レア!   それもあって、セットリストは一緒でもフジのホワイトで観たのとは印象がだいぶ違った。4人のうちのひとりがいないのだから当然小山田くん自身にかかる比重が大きくなり、彼のギター音がいろいろ補う形になるわけだ。が、それだけにギター音の個性がより伝わってきたし、何より歌声の生々しさも強く感じられた。いつもは堀江氏が叩くカウベルも彼が力強く叩いていた。ひとり欠いたステージとはいえ、小山田くんはフジで自信を取り戻したんじゃないかと、そう思える非常に力強いパフォーマンスだった。あの4人でしか出せない複雑なアンサンブルを3人体制で表現する。短時間でその構成のし直しをして本番に臨むのだから、それはもうどれだけ大変かって話だが、覚悟を決め、持てる時間でしっかり整え、そうして本番に臨んでいることがよくわかるステージだった。それだけに(フジで観たときに少しだけ感じた)固さもなかった。「Beep it」からの3曲は、なんならフジの時よりも強度が増しているようにすら思えた(あくまでも自分の感じ方だが)。「変わる消える」や「あなたがいるなら」や「Thank you very very much」の文字やらと何度かグッと胸に来た場面もあったが、でもフジで観たときに比べたらそこまで感傷的な気持ちにはならなかった。それよりも「やっぱすごいや」という興奮がぐつぐつ煮え続ける感覚があった。

続いて観たMADEONは、ひとりだけなのにステージに何十人もいるような音の迫力とスケール感。映像の威力も圧倒的なまでに凄まじかった。構成も優れていて、瞬間瞬間ではなく全体を通して味わえる長い旅のような感覚があった。高揚感と浮遊感で層を作っていく、そのメリハリも素晴らしく、これはもしかするとマリンスタジアムだったらもっと映えたんじゃないか。また、彼のアクションはときにフレディ・マーキュリーを思わせもするもので(例えば拳の振り上げ方とか)、ああ、スターがここにいる!とも感じた。終盤に押し寄せたあの幸福感はちょっと忘れることができない。

電気グルーヴは去年のフジとはまったく異なる構成と映像。いろいろアップデートされていて、なんかやっぱり全てにおいてプロフェッショナルだなぁと感心しながら踊りまくって楽しんだ。

TESTSETはとにかく音がめちゃめちゃよくて、ビシっと締まっていた。去年のフジの「緊急事態のMETAFIVE」時よりも「バンドとして」引き締まったという印象だ。LEO今井はヴォーカルの熱量の高さをキープしながらも、フロントマンとしてライブ全体を引っ張っていくある種の余裕も感じた。「緊急事態のMETAFIVE」にはあの時期・あの状況が作りだした特別なエモさがあったが、今回はTESTSETというバンド(ユニット?)がいかなるものなのか、全体像がクッキリした感があり、映像演出含めて彼らの目指すところが見えたというか、何かこう自分のなかで「腑に落ちた」感覚があった。実に素晴らしいライブだった。

小山田圭吾、卓球、瀧、まりん。結局のところ90年代から長く続けている日本の音楽家たちの尽きることない豊かな創造性みたいなものを強く感じた2022年夏の深夜。そのあとのHARDFLOORも観たかったのだが、十分に満足し、翌日のサマソニに備えてホテルへ戻った。



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