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木村充揮ロックンロールバンド@吉祥寺スターパインズカフェ

2023年1月16日(月)

吉祥寺スターパインズカフェで、木村充揮ロックンロールバンド。

木村充揮ロックンロールバンドを初めて観たのは2019年9月16日に大阪城音楽堂で開催された「木村充揮ロックンロールフェスティバル」だった。そのときのバンドメンバーは三宅伸治(ギター)、中村きたろー(ベース)、ケニー・モズレー(ドラムス)で、この日が初演。そもそもバンドはこのフェスのために組まれたのだった。「ちょっと久しぶりに観たバンドセットでの木村さんはやはりめちゃめちゃかっこいい」と、そのときの感想を僕はそうnoteに書いている。

その後バンドのライブはなかったので、あのとき限りというのは勿体ないなと思っていたのだが、2022年の新春になって突如再始動。しかもサックスで前田サラが加わり、去年の夏にはフジロックにも出演したのだった。自分はフジでは何かとかぶっていたので観ることができなかったのだが、昨年1月の磔磔でのライブ盤が7月に出たのでそれを聴き、またやることになったら観たいと思っていた。そして今回。友達の誘いもあって、吉祥寺に観に行った。

これがもう、むちゃくちゃよかった!

木村さんのソロのライブはちょいちょい観ているが、椅子に座っての弾き語りとなると初めの挨拶で「ぼちぼちやります。の~んびりやります」と言い、その通りにお酒をごくごく。ちょっと飲みすぎる傾向もあって、去年6月7日に下北沢Queで観たときなどは珍しく酔いが回りすぎてかダラダラ喋りが一向に止まらず。進行グダグダで、1曲歌い終わっては10分以上休憩して喋っているといったあり様だった。

しかしバンドとなると、お酒は控えめで、しっかり歌に集中。木村さんへの理解と敬意が深い三宅伸治が柔らかな表情ながらも手綱を締め、木村さんはお酒に頼らず生き生きと歌って演奏そのものを楽しんでいるようだった。

バンドなので、木村さんも座りじゃなく立ち。途中休憩も挿まず、一気に約2時間通してやったのも演奏のテンションが途切れることなくよかったのだろう。非常にテンポよく次々に曲を演奏し、だからグルーヴもどんどん増していったように感じられた。

昨年の数公演の経験あってか、バンドアンサンブルは超ばっちり。きたろーさんとモズレーのリズム隊は柔軟にして力強く、伸ちゃんはバンド全体を引っ張りながらかっこいいフレーズを次々に繰り出していた。加えてなんといっても前田サラさんのサックスと存在感がものすごく効いていた。お馴染みの木村楽曲にも彼女のサックスが入ることで新たな膨らみと艶が加わる感じだし、控えめでありながらある種の華もある。熟練のおっさん4人に若い女性が混ざったその形は見映えもよく、2020年代に相応しいバンドのあり方だとも思える。

ここからツアーが続いていくので演奏曲目については書かないでおくが、お馴染みのブルーズ曲がブギやロックンロールにアレンジされて生まれ変わったりと、聴きどころ多数。あるお馴染みのスロー曲はサラさんのサックスがフィーチャーされたことでRCの「スローバラード」を想起させるふうでもあった。でもとりわけやっぱり、ブギがよかったな。ブギ最高。

といった感じで、確かにそれは「木村充揮ブルーズバンド」ではなく、「木村充揮ロックンロールバンド」なのだった。そこ、重要。そしてこれは、木村さん史上最高のバンドでもあるんじゃないかと思ったりも。

アコースティック・ブルーズの木村さんはもちろん最高だけど、エレキのロックバンドの木村さんはさらに最高。そんなふうにも思えた2023年の「木村充揮ロックンロールバンド」。木村さんをその気にさせて、ブルーズ歌いとはまた一味違った魅力を前面に押し出す方向にもっていった三宅さんには「ありがとうございました」とお礼を言いたい気持ちだ。


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