Superfly・6thアルバム『0』リリース記念ライブ&トークイベント

2020年1月15日(水)

Superfly・6thアルバム『0』リリース記念ライブ&トークイベント。都内某ライブハウスで行なわれた限定500人参加のそれを観に行った。

始まりは「Superfly Arena Tour 2019 “0“」のために作られたSE「Theme of Zero Ⅰ」。シロフォンのあの音を聴くと、どうしたって素晴らしかったあのツアーのオープニングの「ここから物語が始まる…」といった感覚が甦ってくる。背景には球体を持つ手。ハコの大きさがまったく異なるとはいえ、アリーナツアーの空間演出コンセプトはある部分において引き継がれている。

志帆は珍しくパンツルックに赤い靴。笑顔で手を振り、始まった1曲目はツアーと同じく「Ambitious」だった。明るいサビ部分で手拍子が大きくなり、「こんばんは、Superflyです。最後までよろしくね」と演奏の最後のほうで挨拶するのを聞きながら、ツアーのライブもこうして始まったんだったと思い出す。

目の前の観客たちを見ながら「すごく近いですね」と志帆。2曲目は「Gemstone」だ。アリーナツアーでは歌われなかったので、この日がライブ初披露。『0』のなかで最後に完成したこの曲は比較的初期のSuperflyにも通じるロック曲で、その曲調も相まって、ライブハウスをツアーしていた頃のSuperflyの姿と景色を自分は思い出した。思ってた通り非常にライブ映えする曲。信頼できるバンマス・八橋義幸のギターに絡んでいくなど志帆は楽しんで歌っていた。

3曲目はアリーナツアーのひとつのハイライトでもあった「覚醒」。レーザー光線こそ飛ばないものの、アリーナツアーのときのあの模様の動きが後ろに映され、音の迫力と躍動を増大させる。ピアノ音だけになったところでの、♪目を瞑って~ の志帆の歌は空へと伸びていくよう。

いままでは自分自身に向き合っていまの心情を歌詞に書いていたが、誰かの気持ち、誰かの目線で書くということをやってみて、そのやり方で楽しみながら歌詞と曲をひとつずつ書いていってできたのが『0』というアルバムであり、「自分でもすごく愛おしいアルバムになったと思います」。そんな話をしてここで歌われたのが、そのきっかけとなった「Gifts」だ。アリーナツアーではスクリーンに誰かにとっての絵日記のような思い出の写真と手書きの歌詞が映されていたものだったが、それがなければないなりにまた別のイメージの広がりがあった。歌いながらクルっと回り、後ろにいるメンバーとも笑顔を交わす志帆。こんなふうに幸せそうに歌う彼女を見たくてライブに足を運ぶというひともきっと少なくないだろう。

メンバー紹介などをしたあと、「あっというまなんですけど、最後の曲になってしまいました」「最後の1曲はみんな一緒に歌いましょう」と言って歌われたのは「フレア」だ。終盤のランランラララ~でみんなが声を合わせてひとつになった。

そしてもちろんアンコール。『0』では「Lilyの祈り」と「氷に閉じこめて」でピアノを弾いていた鶴谷崇の演奏だけで、志帆は(アリーナツアーでは歌われなかった)「Bloom」をじっくり丁寧に歌唱。2017年11月に東京オペラシティコンサートホールで行なわれた「Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"」で初披露されたこの曲、あのときはオーケストラをバックに歌われ、弦の音があってこそという捉え方を自分もこれまではしていたが、ピアノだけで歌われた「Bloom」はメロディの美しさが際だち、歌にはまさしく癒しの成分が満ち溢れていた。ライトがあたる下で「光に包まれて」と歌う志帆はその歌詞の通り光に包まれているようで、そこから未来へと続く道をイメージすることができた。

Superflyはパワフルに歌うシンガーだとよく言われる。言われていた。が、いまのSuperflyを観ていて、自分は「優雅に歌う」シンガーだなとよく思う。優雅。つまり優しい美しさのあること。だから観ているこちらも優しい気持ち、幸せな気持ちになる。観ていてこの感覚を持てるシンガーは、日本にほかにいない。そんなことも改めて思ったりしたライブだった。

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