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阿部芙蓉美、Hana Hope@表参道WALL&WALL

2024年8月11日(日)

表参道WALL&WALLで阿部芙蓉美とHana Hopeの2マン。

9月にはどんぐりずとASOUNDの2マンも決まるなど、なかなかにセンスを感じさせる組み合わせのライブをよく行なっているWALL&WALL。阿部芙蓉美とHana Hopeの組み合わせも、共にウィスパーめのヴォーカルでありつつ深い余韻を持たせるベテランとフレッシュなシンガーということで、これはいい取り合わせじゃないかとすぐにチケットをとって観に行った。

驚いたことに阿部芙蓉美からスタート(「え?  なんで?」とマジで驚いた。が、もしもそれが芙蓉美さんの意向であったとしたら、らしいとも言えなくない)。

前回は行けなかったので、観るのは昨年6月の下北沢のライブ以来約1年振り。

オープナーは弾き語りで「更地」。2曲目からいつも通り鍵盤の東川亜希子さんとドラムスの菅沼雄太さんが加わる形だ。

先頃、2012年の傑作『沈黙の恋人』がアナログ盤で発売されたことを受け、その話をした上で「highway, highway」と「沈黙の恋人」を。「更地」もそうだが、このアルバムの曲は色褪せない。永遠を感じる。

新作『SUPER LEGEND』からは好きな「凪」「Some True Love」が聴けて嬉しかった。わけても「凪」は(河野圭さんの関与という意味でも)『沈黙の恋人』と地続きにある印象の曲で、アナログ盤で最近また『沈黙の恋人』を聴き返したりしていたこともあって「沈黙の恋人」と同種の沁み入る感覚があった。

吐息が歌になり、それが心のなかで膨らんで確かな何かを残す。そんな阿部芙蓉美さんの歌声をナマで聴く体験は、やはり特別なものだなぁと改めて実感する。

因みに芙蓉美さん、2マンということで初めましての人もいるからだろう、ワンマンのときよりもMCが少しばかり丁寧だったようにも感じた。曲間に「よいしょっ」って言う口癖も好きです。


後攻はHana Hope。自分は同じWALL&WALLで2022年11月に観て以来、3度目だ。

アコギと鍵盤(はらかなこさん)とのアコースティック編成。約1年半ぶりに観たら、彼女の歌唱表現はずいぶん深みを増していた。「フラジャイルな感覚もあって」と22年の公演を観たときに書いたが、いい意味でその感覚は減じていた。自信がついたというのもあるのだろう。

まだ10代だが、宝石のように輝かしいシンガーとしての才能と魅力だと、観ていて改めて思ったり。

本編で歌われたのは、和の風情、情緒や郷愁を感じさせる日本語詞の曲が多かったのだが、アンコールではリリースされたばかりの新曲「サマータイム・ブルース」を。この曲はシティポップ調の爽やかなサマーソングで、これまで大人びた歌ばかり歌ってきた(歌わされてきた?)彼女にとってはようやく等身大の曲と出会えたんじゃないかと自分は感じたものだ。とてもいい。本編で歌われた和の感覚の曲群とはだいぶ印象が違う(もちろんそれらはそれらのよさがあるが)。

Hana Hopeは出す曲ごとに作家と音楽性が変わり、未だレコード会社/制作陣が方向性を模索している最中という印象があるのだが、シンガーとしてのポテンシャルはめちゃめちゃ高いので、方向性が定まりさえすればシーンにおいての存在感が一気に増すことだろう。

素直なMCもとてもよく、「阿部芙蓉美さんの歌を聴いていて圧倒された」という言葉も嬉しかった。


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