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MIZ@銕仙会 本舞台(銕仙会能楽研修所)

2024年2月24日(土)

表参道の「銕仙会 本舞台(銕仙会能楽研修所 二階)」で、MIZ。

「緑光憩音」と題されたアコースティックライブシリーズのひとつで、この日の夜はMIZ。最近になって妻とふたりでMIZの音楽をよく聴くようになり、ライブを観たいねと話していたところにこの催しがあると知ってすぐチケットを購入。能楽堂でふたりの音楽がどう響くのか楽しみに聴きに行った。

会場内に入ると気持ちの落ち着くいい香り。オリジナルのお香が焚かれ、森の中にでもいるような音が静かに聴こえていたこともあって、開演前から「ここ、どこだっけ?」みたいな感覚に。座りは座布団の上だ。

聴きこむというほどでもなくサブスクで流して聴いていたときには気づかなかったが、ナマでじっくり聴くとブラジル音楽的な音階の曲がけっこう多いことに(今さらながら)気づく。メロディだけでなくふたりの歌い方(ファルセット使いとか)もしかりで、フォークというよりもMPB。ある時期のカエターノ・ヴェローゾなんかを聴いている感じにも近いものを覚えた。

最小限の言葉数で景色を伝えて聴き手の想像力をくすぐりまくる歌詞は俳句とかにも通じるところがあり、語感の耳心地のよさがありながら実は奥行きもある。解釈の自由度も高い。可愛らしさもあったりしながら粋でもある。

そういう歌詞が先述のMPB的な旋律にノルと、「和」の意味での懐かしさとポルトガル語で言うところのサウダージの感覚が織り交ざって沁みてくる。しかもここは能楽堂。おもいっきり日本的な空間でありながらも目をつぶればブラジルの海岸(行ったことないけど)に夕陽が沈むのが見えてくるような、そんななんともいえないステキなイメージが広がる。

フォークをやる男性ふたりユニットは過去にいくつもあったが、それらの線上にある音楽とはまったく別のことを彼らはやっている。相当高度なことをやってるんだなぁと、初めてライブを観てちょっと驚きもした。

アコギの響きが恐ろしくよかった。それ、能楽堂ならではの格別なもの。少し大袈裟に書くなら、なんらかのマジックが生まれていたとも言えるくらいに、MIZの曲/音と能楽堂の相性がめちゃくちゃよかった。

初めて観た彼らのライブがこういう特別な場所のものでよかった。と思う反面、じゃあライブハウスで立ちで観たら自分はどんな感覚になるのか、その想像はつきづらい。今度は木々に囲まれてたり海の近くだったりといったどっかの野外ステージで、できれば夕方のいい時間に観ることができたら最高だろうな、なんて思ったり。

ともあれ、初めてライブを観たことで、好き度は8倍くらい増しました。


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