"助演男優賞"編:第94回 米アカデミー賞 大予想!!
来月3月28日(日本時間)に行われる米アカデミー賞。
それに先立ち、2月8日(日本時間)に各部門のノミネーションが発表されました。
アメリカはもちろん世界中が注目する最高峰の映画の祭典。
その開催まであと約5週間。
今回はオスカー主要6部門の中の一つ、助演男優賞の予想をしたいと思います!
本命:コディ・スミット=マクフィー (『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)
大本命は、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のコディ・スミット=マクフィー。というか、スミット=マクフィーの一強と言っていいのではないでしょうか。
ひ弱で母親想いの優しい青年ピーターを演じたスミット=マクフィー。
ベネディクト・カンバーバッチ演じるフィルとの、目まぐるしく変わる繊細な関係性のうえで描かれる人間ドラマに完全に引き込まれました。
『ザ・ロード』(2009)にて放送映画批評家協会賞の若手俳優賞へのノミネート経歴がある彼ですが、アカデミー賞は初ノミネーション。ニューヨーク映画批評家協会賞やゴールデングローブ賞で同カテゴリーを受賞していることを考えると、彼の受賞で間違いないかな、と思われます。
対抗:トロイ・コッツァー (『コーダ あいのうた』)
次点として挙げたいのは、『コーダ あいのうた』のトロイ・コッツァー。主人公ルビーのお父さん役を演じました。
聾者家族の中で一人だけ耳が聴こえる少女を主人公とした今作。
その注目点はキャスティングで、聾者役を、マーリー・マトリンをはじめ実際に聴力ハンディのある方が演じており、トロイ・コッツァーもその一人です。
障害者問題と、そのサポートでヤングケアラーとなる少女を描いた重たいテーマではあるのですが、作品自体はコメディ調でもあり、コッツァーも終始ユーモラスなお父さんって感じなんですね。
ただ、話が進むにつれて娘を思い遣る一面が見えてもきて、映画観終わったらそんなお父さんのことが、もう大好きになっちゃっていました。
ゴールデングローブ賞や英国アカデミー賞、全米俳優組合賞などオスカー前哨戦に軒並みノミネート。アカデミー受賞となれば、マーリー・マトリン以来の聾者俳優の受賞となります。
単穴:キアラン・ハインズ (『ベルファスト』)
北アイルランドのベルファストを舞台とした、監督ケネス・ブラナーの自叙伝的映画『ベルファスト』。今作でおじいちゃん役として登場するキアラン・ハインズがノミネート。
今作は3月25日から日本公開ということで、私も未試聴の作品なので具体的なことは述べることはできません。
ただ、このキアラン・ハインズはベルファスト出身の方なんですね。そして、映画の舞台となった1969年のベルファストを実際に肌で感じていたということにもなります。そういったことを考えたら、ハインズはこの映画になくてはならない存在だったのだろうな、と思えます。
実際に、ゴールデングローブ賞や全米俳優組合賞にもノミネート。舞台俳優として輝かしいキャリアを持つキアラン・ハインズの、初のオスカーノミネーションとなっています。
穴:ジェシー・プレモンス (『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』から、フィルの弟を演じたジェシー・プレモンスも、コディ・スミット=マクフィーとともにダブルノミネーション。
独善的な兄フィルに対して、反抗心を持ちつつも強く逆らえない弟ジョージ。そんな心持ちのなかでローズと出会い、幸せな結婚生活を夢描くが、それもうまくいかない…。
そんな感じで、思わず「もっと何とかしろよ!」って言っちゃいたくなるほど、じれったい役柄を見事に演じていました。
『ザ・マスター』(2012)や『バイス』(2012)、『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』(2021)などに出演し、バイプレイヤーとして存在感を発揮してきたプレモス。
初のオスカーノミネーションであるとともに、自身の妻であり、ジョージの妻役を演じたキルステン・ダンストも助演女優賞にノミネートされ、夫婦そろってノミネート獲得の快挙となりました。
大穴:J・K・シモンズ (『愛すべき夫妻の秘密』)
※日本語字幕のないトレーラーです。
今回のノミネーション発表で、おそらく多くの人が驚いたであろうJ・K・シモンズのノミネーション。
アーロン・ソーキン監督の『愛すべき夫妻の秘密』からの選出です。
『セッション』(2014)での怪演で、助演男優賞を受賞したことがまだ記憶に新しいシモンズ。今作でも、持ち味発揮の頑固ジジイを演じていて、J・K・シモンズがJ・K・シモンズしていました。
アーロン・ソーキン特有の早口演出とも、相性抜群でしたね。
ただ、オスカーノミネーションとなるとは思ってもみませんでした。
確かに好演ではありますが、ベン・アフレック(『僕を育ててくれたテンダー・バー』)やジャレッド・レト(『ハウス・オブ・グッチ』)などノミネーション落ち組と比べると、なんだか首を傾げたくなってしまう渋すぎのチョイスですね…。
前哨戦の結果
ゴールデングローブ賞を制したコディ・スミット=マクフィーの一強と踏んでいましたが、トロイ・コッツァーが全米映画俳優組合賞と英国アカデミー賞を受賞し、コッツァーを最有力候補と推す声が強くなってきましたね。
男性聾者俳優初のノミネーションで、受賞となれば、もちろんそれも初。
これまでの手話で行う受賞スピーチでは、ユーモアを交えながらの非常に達者の一面も垣間見え、オスカーの壇上で見てみたいな、とも思ってしまいます。
ただ、スミット=マクフィーの繊細な演技も捨てがたく、受賞の瞬間まで断言はできませんね。
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