見出し画像

サンドイッチの中身

Scanwiches Jon Chonko https://www.amazon.co.jp/dp/157687589X/ref=cm_sw_r_tw_dp_KZGC0ZEPJYN10BQ9CYXR

「食べ物の断面図は盛り上がる」という声を聞いたことがあるが、正直断面は断面なので…と思っていた時期もあった。

私もそちら側の人間だったと気付いたのはこの本と出会った時である。多分一般的なそれとは違うかもしれないが、とにかく盛り上がったのだ。

まずそもそも、サンドイッチという存在を愛しているのだが、レースのカーテン越しに日差しが差し込む明るいテーブル、もしくはピクニックのように青空の下でカラフルな布を敷いたバスケットに詰められたものこそが、一番輝ける場所だと思っていた。(次点は純喫茶などでいただく際の、白熱球の照明の下のそれ)

しかし、この本の作者は新たな扉を開いたのだ。

光源に左右されないとはいえ、スキャナに直接食べ物を乗せて、断面図を撮影するのだ。サンドイッチの断面以外は全部黒。闇だ。しかもきつめの光源により、食材の輪郭は嫌な意味でコントラストがきつい。鮮やかさも微妙だ。

とにかく不味そうに写っている。

スキャナによる事務仕事のような作業に、相応しい写真が撮れている。個人的には食べたいと思えないのが本当に面白い。ちなみに著者の前書きでは、これを読むことで読者のお腹をすかせられれば良いのにと添えているが、ちょっと難しいように思う。

各サンドイッチに添えられた解説は、紀元などをユーモアまじりで紹介しておりとても面白いが、「証拠物件」のような印象がとても強い。(私は英語が読めないのに洋書版を購入した。専ら翻訳ソフトのお世話になっている)

私の本棚にはレシピ本、図鑑、写真集の類が多いのだが、正直この「食欲の沸かないサンドイッチ図鑑」をどの場所におくか未だに決めかねている。暫定、レシピ本のところに並んではいるが、今回このテキストを書くにあたり読み直してみたところ、具の種類が書いてあるだけなので、レシピと読んで良いのかどうか…。

私のテキストの有益さはもとより狙っていないが、美味しくなさそうな食品写真集として、誰かの心に留まればこれ幸い。

以上

【追記】

日本語版のデザインがあまりにも酷いので、リンクを載せておく。本国のデザインとの温度差に引くレベルだった。

https://www.amazon.co.jp/LOVEサンドイッチ-ジョン-チョンコ/dp/476612331X

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?