心が女性なのに体が男性の人が女湯に入るのは法律的にどうなのか?

先日、高等裁判所が、性適合手術を受けないまま、戸籍上の性別を変更することを認める判決を言い渡しました。

女性ホルモンの接種により、身体がある程度女性化している、ということが決めてだったようです。

もし心が女性である人が、男性の性器を携えたまま女湯に入ってきた場合、法律的にどういうことが考えられるでしょうか?

法の専門家でもない私が勝手に考えてみます。

これは、建造物侵入罪と、公然わいせつ罪が成立すると言われています。
どうして建造物侵入なのかというと、建物の所有者の意思に反しているからです。

男なのに女湯に入るということは、想定していないからですね。入っちゃいけないと言っているのに上がり込んでいるようなものです。

ですが、もし所有者が、あなたは心が女なのだから、女湯に入ってもいいですよ!と認めてしまったら、この罪には問えなくなりますよね。社会が段々とLGBTQの人に対しての理解が深まって行くにつれ、こうしたことも起こりえるようになってきます。

というわけで、次の公然わいせつ罪について考えてみます。

公然 というのは、自分以外の不特定多数の人間が存在している空間や、誰もいなかったとしても、自分の意思如何に関わらず、その場所に不特定多数の人間が侵入できる状態にある空間を意味しています。

だから、自宅のふろ場で自分が裸になっても、公然わいせつ罪にはならないんですね。

次に、最も大きな問題が、『わいせつ』とは何か?ということになります。

この『わいせつ』という言葉の定義は、いまだに不明なんですよね。
裁判官の頭の中にあると言われていますし、それは間違いないと思います。

刑法は国民の自由を守るため、罪刑法定主義という建前を取っています。つまり、何が犯罪に当たり、何が犯罪に当たらないのかを事前に国民に示しておくことによって、国民が委縮してしまわないようにしている、ということなのです。

わいせつっていう言葉の意味を好きに解釈され、決められてしまうと、もうダメなんですよね。

そこで、『わいせつ』の定義について、純一思想家が挑戦します!

段々、タイトルと話がずれてきていますね。

わいせつとは、『猥褻』と漢字で書くわけですが、『猥』には、男女間のだらしないこと…と言った意味や、汚らわしい、みだら、いやらしいという意味が込められています。

次に、『褻』の意味ですが、意外なことに『普段着、平服、私服、はだぎ、下着』と言った意味があり、やっぱり、「けがれる、けがらわしい、汚い」という意味も持っていることがわかりました。

この意味は、新漢語林という辞書から引いています。

つまり、猥褻というのは、いやらしいこと。みだらなことを、難しい漢字で表現したものだ、ということが癒えます。

『公然いやらしい罪』とかっていう名前だと、何か変ですよね。


さて、ここまで進めると、何で男と女の性的関係っていうのが、『いやらしい』って表現されるのか、言葉の起源が気になるところですよね。

私は、最初『卑しい』という意味で、『卑らしい』だと思っていたんです。
でも、漢字では『嫌らしい』とか、『厭らしい』というのが正しかったです。

東京では、やらしいというと、エッチだ!という意味を持っているみたいですね。

で、こういう言葉が使われているときというのは、大抵、肌の露出が多い服を着ているとか・・・。卑猥なコンテンツが載せられた物品を持っているとか、そういうことになります。つまり、肌の露出が多いと何が問題かというと、男性や女性の象徴と言える性器が外部に露出する、あるいはそれを思わせるところがあるからですね。

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で、公然わいせつ罪というのは、公共の法益に対する罪に分類されています。これは、個人の法益に対する罪とは違います。個人の法益とは、例えば人の命、身体、財産とかです。公共の法益とは、社会不安とか、社会風俗に対するもの、社会への信用を揺るがすとか、そういった罪になります。

裸の人がそこかしこに外を闊歩往来していたら、怖くて歩けませんよね。

世の中には変態さんがいるようで、自分の陰部を外で見せつける行為を行う人がいます。

特に、男性が女性に陰部を見せる事件が多いようです。公然と性交渉を行うとか、そういうところを見ると、うっ・・・となりますよね。(見たことありませんけど。)

その時、女性からすれば、不快な感情を引き起こされることになります。
また、そうした人が増えれば増えるほど、社会風俗は落ち込んでいく。頽廃していくと言われます。

この時引き起こされるのは、激しい嫌悪感かもしれませんし、激しい羞恥心かもしれませんし、激しい嫉妬心かもしれません。いずれにせよ、人の心に不快感を抱かせることは、在りうる話ですね。

また、こんなことをする人たちが社会に野放しになっていると、段々と、あれ?そういうことってしていいんかな?と思う人たちも出てくると考えられています。

いや、外国や日本にも、そういうことを公然としてもいいという暗黙のエリアがあると聞きます。

ただ、公に認められている場所としては、公衆浴場でしょう。

そして、何よりも、皆さんが疑問に思っているのは、いわゆる『混浴風呂』だと思います。

過去の記事、自然権のお話で、何故『釣り』はいいのに『密漁』はダメなのか?ということをお話したのですが、なぜ公然わいせつはダメなのに、『混浴風呂』はいいのか?

これについて疑問に思われた方は、多いのではないでしょうか。

別に混浴風呂であろうが、公然とした風呂であろうが、性器を見せればわいせつが成立する・・・。なぜ内と外でこれだけ違うのか・・・。

一つは、あえて自分が混浴風呂であることを認識して入る、ということは、男性や女性の性器を見たとしても、それほどの感情を抱きません、という意思表明。(つまり、手術をする時に自分の体にメスを入れるのを承諾するように、自分がその風呂に入る際には、自分への被害は気にしませんということの意思表明があるとする)によって、そういうものを公然と見せられたとしても、違法性が阻却される(難しい言葉ですね)と考えるわけですね。

つまり、公然わいせつ罪が保護しようとしているものを、破るとまでは言えない・・・と考えられます。

ただ、ぶっちゃけたことを言わせてもらうと、混浴風呂は経済のためだと思っています。異性の裸を見れるかもしれない!と期待している人が一定数集まるにきまってるじゃん・・・。と私個人は思うんですよね。そしたら、お金払ってもらえるじゃん。となると、一種の風俗営業すれすれまでになるわけです。

とりあえず、混浴風呂だってことを認識して入るってことは、もう自分は気にしていません!ということの表明であること・・・。それによって、かろうじて許されているのだと考えることができます。

しかし、混浴風呂で一緒だった男女が、その外に出て、さっき裸だったからね!という理由で、改めて性器を露出した場合はどうなるでしょうか。

その場合は、情状酌量の余地はあるかもしれませんが、恐らく逮捕されます。

法律は結局見なしの世界です。混浴風呂内と混浴風呂外で、周囲の人の目から見た時に、犯罪であるかどうかが決められる側面を持つのです。

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で、結局猥褻というのは、人間の性の象徴である性器を、公然と他者の面前に露出すること。それは、メディア媒体を通してでも同じです。そして、それによって、混浴風呂に自ら入ってくるような承諾なく、それをさらすことによって、相手に不快な感情を抱かせる場合に成立します。

なお、やっぱり法律は見なしの世界なので、裸で外に出て、何ともラッキーなことに、誰とも会わずに元の家に戻ることができた場合、公然わいせつ罪は成立しようがありません。誰も見ていないから、誰も追及できないのです。

わいせつとは、このように、客観的には、それが許されているとされるエリアの内部か、それとも外部か。それを前提として、性器を見せるなどの行為が、それを見る人たちにとって、同意されたものであるかどうかによって定まるわけです。

見ても平気っていう人は一定数いるでしょうし、嫌だという人もやっぱり一定数います。運よく見ても平気という人たちばかりだったとしても、人の心の中はわかりません。公然わいせつの疑いありと見なされれば、その人はつかまるでしょう。

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では、主題の、心が女であり、身体は男である人が、女風呂に入ることは、いかなる問題を起こすか・・・法的にはどのような問題があるか・・・なのですが、これは正直、『ねじれ』の関係がありますよね。

一緒にお風呂に入る女の人からすれば、男性の性器を承諾なく見せられることになる。一方、心が女性である人からすれば、別に女性の裸を見ても気にならないわけです。

では、この性が女の人が男風呂に入るとすれば、この人にとっては、承諾なく、仕方なく男性の性器を見ざるをえなくなる。一方で、男風呂にいる男たちからすれば、何にも気にならないわけです。

このように、複雑な事情を持つことになります。

私が先ほど言ったように、公然わいせつというのは、いかに心が女性であれど、その『性器』という外形的物体を見ることによって、人々がそれに対して抱く感情を問題にしており、また、例えその人が本当に性が女だったとしても、男の性なのに、それを利用して入ってきていると思われる疑いが起きることも当然ありえるわけです。

そういう意味で、その方にとっては本当に残念なのですが、今の状態で、公然わいせつ罪が成立しない・・・ということは考えにくいのではないでしょうか。

というのが、今のところの私の結論であります!






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