見出し画像

【イ・ヨンジ】SHOW ME THE MONEY11 残る最終決戦 女性初の優勝者となるか

所要時間:9:30-10:30(1時間)

ガラスの天井を破ったイ・ヨンジ、’SHOW ME THE MONEY11’初の女性優勝者の座に挑戦[TENStarfield]

イ・ヨンジ、’SHOW ME THE MONEY’シーズン初の女性優勝者の座に挑戦
3年前’高校生ラッパー3’で優勝した初の女性優勝者
ひびの入ったガラスの天井、完全に破ることができるか
 
[10asia=ウビン記者]
 
音楽には性別はない。しかし唯一ヒップホップでは、’ラッパーは男性の専有物’とされてきた。
 
1970年代、ニューヨークブロンクス。貧困な黒人たちが始めたお尻を振る(Hip hop)という音楽は、その始まりから男性性を持っていたのかもしれない。差別と適者生存の現実からDJボックスを考案したDJ Kool Hercもまた男性だった。アウトサイダーたちの過激ながらも独立的な勇気ある歌詞がヒップホップの根幹となったというのは周知の事実だ。
 
韓国国内のヒップホップの始まりは米国とは異なる。第1世代の留学生と米軍たちが1980年代後半から広めた国内のヒップホップ文化は、アウトサイダーではなく文化上流層が主導した。太平洋を挟むふたつの国は、ヒップホップの系統は違えど男性性という目的地は同じであった。
 
有名ヒップホップ歌手の大部分が男性であるのに加え、’国内ヒップホップ第1世代’と呼ばれるラッパーも男性であったため、’ヒップホップ=男性’というイメージが固まっていった。’SHOW ME THE MONEY’や’高校生ラッパー’のようなラップサバイバルを見ても、大多数が男性の参加者だ。女性は生産者ではなく消費者として扱われ、ヒップホップの底は浸食されていった。
 
男性だけのリーグになり、大衆性からは徐々に遠のいていった。歌詞の大部分が罵詈雑言で金と異性との性的共感がテーマのため気持ちよく聞くのは難しい。暴力的で強めな音楽的要素を除外したとしても、麻薬や飲酒など事件事故を起こしラッパーへの好感度は落ちていった。
 
ヒップホップという文化シーンのガラスの天井にひびを入れたのはイ・ヨンジだ。2019年10代ラッパーたちのサバイバル番組’高校生ラッパー3’に出演し、一瞬にして視聴者の目を奪った。ラップを始めて6カ月というヒヨコラッパーイ・ヨンジ。健康な精神と健全さが漂うメッセージを乗せたラップをする’才能のある’高1女子だった。
 
脱色、ピアスで繕う同齢の参加者たちのなかで、唯一制服を着ていたことがイ・ヨンジのアイデンティティーを表している。’私がするのはヒップホップではない’、’ヒップホップ、君を理解するのが難しい’と言って、制服にネクタイまで締めている、自主退学してない、修学旅行に行かなかったと馬鹿にする参加者に囲まれながらもイ・ヨンジは毅然としていた。「どこで習ったの?そんなヒップホップ」と言って、笑って流した。そして高1で唯一最終ステージに進み、TOP6に上り詰めた。
 
ラップの世界とは無縁に見えるイ・ヨンジだったが、誰よりもヒップホップだった。重みのある声量と並外れたトーン、スマートなディクションにボーカルの実力と音色までを兼ね備えた生まれ持っての才能。さらに審査員たちのプロデュースで着々と成長し、アマチュアがプロになるのは一瞬だった。イ・ヨンジは’高校生ラッパー3’で優勝し、Mnetヒップホップサバイバルで初の女性優勝者タイトルを勝ち取った。
 
イ・ヨンジは3年ぶりにふたたびMnetのヒップホップサバイバルに挑戦した。この3年間でイ・ヨンジは歌も出し、バラエティー番組で成功を収めながらポジションを確立した。イ・ヨンジが’SHOW ME THE MONEY11’の予選に登場するやいなや「なんで出てきたの、食料奪いに来たの?」と参加者によるけん制が始まった。
 
‘SHOW ME THE MONEY’にはこれまで有名ラッパーや認知度のある芸能人も挑戦してきた。しかし、唯一イ・ヨンジの挑戦には神経をとがらせ、「わざわざなんで?気に入らない。芸人じゃないの?」と劣等感を隠せない様子。
 
論争を静まらせたのはイ・ヨンジの実力だった。イ・ヨンジを審査するパク・ジェボムは、「君の時間だね、君の時期なんだ、思う存分やりな」と評価した。予選と本選、いくつかのミッションとセミファイナルまでイ・ヨンジのステージは話題を呼んだ。1話から作り上げられた’どうせ優勝はイ・ヨンジ’という言葉は、ファイナルを目の前に今日まで続いている。
 
イ・ヨンジの’SHOW ME THE MONEY11’のミッション曲’NOT SORRY’は、音源公開と同時にチャートを駆け上がり、TOP5に安着した。公演映像は、Youtube人気急上昇動画4位にあがり、300万再生を軽く超えた。他のミッション曲’WITCH’と’WE’もチャート100位に留まった。
 
イ・ヨンジは、ヒップホップの性差別をなくすのみならず、ラップに対するマイナスなイメージを払拭した。柔らかく強いカリスマ、ヒップホップに対する自信と確信が光った。自身の考えと経験を大切に伝えようとする姿勢と心地よいビートに乗せられた健康的で希望的な歌詞が大衆を魅了した。「ラップに火のように熱くなれるのか知りたい」と言っていたイ・ヨンジ。イ・ヨンジは熱く、またそれを聴く者も同じく熱くなった。
 
‘高校生ラッパー’につづき’SHOW ME THE MONEY11’の優勝タイトルを勝ち取る確率は25%。’どうせ優勝はイ・ヨンジ’という言葉が現実になるのか、それを知る日まであと1日だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?